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加藤医師の無罪が確定 大野病院事件

2008年09月05日

 県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦医師(40)の無罪が4日、確定した。加藤医師を無罪とした福島地裁判決に対し、福島地検が控訴期限までに控訴しなかったため。これにより、休職中だった加藤医師は同日付で同病院に復職した。

 逮捕から2年半あまり。裁判を担当した平岩敬一弁護士によると、加藤医師は「ホッとした。これでやっと現場に戻れる」と安心したように話したという。平岩弁護士は「確たる証拠に基づかずに起訴されたのだから、控訴できなかったのは当然」と改めて地検を批判した。

 事故調査委員会の報告書で医療ミスを指摘されたことを受け、05年に加藤医師を減給10%(1カ月)の処分にした県病院局は、「できるだけ早い時期に取り消しを検討したい」と話している。

 また、大野病院で今後勤務するかどうかは加藤医師の判断に任せるという。平岩弁護士によると、加藤医師はすでにいくつかの医療機関から声をかけられているという。

 県産婦人科医会の幡研一会長は「安心した」としつつ、「少しでもリスクの高い患者を大きな病院に転送するなど、患者に不利益をもたらした影響は、すぐにはなくならないだろう」と話した。

 一方、手術で娘を亡くした渡辺好男さん(58)は「安心できる医療の確立に努めてほしい」と話した。これからも、医療界が真実を明らかにする体質になるよう求めていくという。「専門家が医療事故を調べる第三者機関は必要だと思う。警察の手が入らなくても、医療界が自発的に事故や過失を公表できるようになってほしい」と訴えた。

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