SOFT レビュー
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タイトル 『グラディウスジェネレーション』 レビュアー HAL

アナタの記憶が試される、ある意味シリーズ集大成(4,650文字)

 世の中には「オリジナリティがない」「古臭い」「変わりばえしない」という、クリエイターにとっては耳が痛い言葉があります。実は、この『グラジェネ』、まんまとその言葉があてはまります。でも、このゲームの場合、「オリジナリティのなさ」も「古臭さ」も「変わりばえしない」ことも、意図的に仕掛けられた策略なのです。なぜなら『グラジェネ』は、今までのシリーズ作品のパク…いや、言葉を変えましょう。かつての作品のオマージュとして、ステージ構成や敵などをアレンジして流用…いやいやリミックスして、寄せ集め…おっと…結集させた『グラディウス』シリーズの集大成的な総集編的作品なのです。なにしろ全ステージにおいて、かつての作品をほうふつとさせるエッセンスが続出するので、「コレどの作品から引っ張ってきたかわかる?」という、我々プレイヤーの記憶とやり込み度を試すかのような構成となっています。TVチャンピオンで「グラディウス王選手権」がもしあれば、このゲームを問題として出しても十分通用するのではないか、と思います。
 つまり、かつて『グラディウス』シリーズに親しんだ者こそ、やらなければならない作品なのです。そこで、自分の記憶とこじつけを駆使して『グラジェネ』の全貌に迫ってみたいと思います。

●自機タイプはお好きにどうぞ
 自機のパワーアップで特筆すべき点は、ミサイル、ダブル、レーザーが2段階パワーアップできるということです。これはPS『グラディウス外伝』やFC『グラディウスII』などで使われていた仕様です。この2段階パワーアップによって、斜めダブル+テイルガン、バーチカル+テイルガンというダブル系装備の併用が可能になり非常に使えるようになっています。また、ミサイル系ではフォトントーピドが上下に撃てるという、2ウェイ以上の威力を誇る装備になっている機体もあります。
 そしてビックバイパーがベースとなっている機体では、レーザー1段階は通常の糸引きレーザー、2段階はAC『沙羅曼蛇』のC(サイクロン)レーザーになっています。ロードブリティシュベースの機体では、オプションを装備すると「マルチプル」とボイスで言われるんですけど、これが『曼蛇』チックでいいですね。それ以外の機体では通常どおり「オプション」です。
 なお、リップルレーザーとツインレーザーの威力が弱めになっていますが、4タイプの自機はどれを選んでも問題なく使えます。といいつつ、最近、私はビックバイパーベースの機体しか使ってませんが…。

●過去の遺産が次から次にプレイヤーに襲いかかる!!
 それではステージの紹介です。ここでは、過去の作品をパク…ではなくアレンジして使った部分をメインに紹介していきます。ですから、知らない人にはどういうものかまったくわからないと思いますが、これを覚えれば知ったかぶりできます。といっても、これは私が気がついたものですので、まだまだ流用されている部分があるかも。

・ステージ1 隕石

 前半はMSX『グラディウス2』の1面でしょう。岩が上下しているところは、『グラ2』の上下する石像を思わせます。なお、各面の特定のポイントを通過すると5000点入ります。FC『グラディウス』にもありましたね。
・ステージ2 ガラス
 これ、誰が見ても『グラ2』の古代惑星ステージです。台座や柱がすべてガラスで作られています。『グラ2』ではこの面の曲は屈指の名曲だったのですが、なんかもう耳に残らない曲になっています。
・ステージ3 人口銀河
  まず前半の元ネタはAC『グラディウスII』の人口太陽ステージ。太陽ではなく銀河(??) な感じの星が浮いてます。しかも、その星から登場するのは、炎のライオン。AC『グラディウスIII』の砂のライオンまんまです。そして後半はこれまたAC『グラIII』の炎のステージで、さんざん苦しめてくれた『撃つと分裂する炎』もどきがウヨウヨと飛んで来ます。難易度によって、分裂する数が違いますが、撃たないで避けまくった方が安全です。
・ステージ4 地底火山
 イメージとしてはAC『グラII』の逆火山ですね。後半、細い通路を斜め下に降りていくところはAC『グラIII』です。でも、この通路、砲台が壁にあるわけじゃないのに、妙に長いですね。
・ステージ5 モアイ
 前半はわりとオーソドックスなAC『グラII』のモアイ面。中盤、イオンリングが自機の回りをかこんで出現するあたりは、AC『曼蛇』のワープザブです。壊しても復活する再生モアイ(赤)は、AC『グラIV』。そしてボスのメカモアイは、MSX『エピソードII』。後頭部のメカが露出してるし…。このメカモアイは、足が生えて歩いてくるんですが、これは『モアイくん』(?)。
・ステージ6 生体内
 イメージはPS『グラ外』の生体ステージ。後半の復活細胞エリアはAC『グラIII』。復活細胞の中に穴が空いていて、『グラIII』ではここにプチゴーレムがいましたがこのゲームでは血小板がウヨウヨいます。ボスは生物的なテトランもどき。弾をヘロっと出しながら回ります。そして腕を壊すと、自機のほうへ体当たりしてくる習性は、AC『グラIII』の細胞面のボスに似ています。
・ステージ7 彗星
 AC『曼蛇』2面の隕石ステージの隕石を、AC『グラII』のクリスタルに変えた力技なステージ。AC『曼蛇』の「破壊すると斜めに撃ち返すザコ編隊」もそのまんまです。後半にはAC『極上パロディウス』の宇宙面に登場した「高速ザコ編隊ラッシュ」もあります。でも、この編隊ラッシュは、前方からしかやってきません。そしてボスは、レーザーでこちらの動きを制限して、上下からミサイルをドカドカ…。このミサイル攻撃は、カバードコアとまったく同じです。ここまでくると、もうお好きにどうぞ…てな感じですね。
・ステージ8 要塞
 最終面は空中戦のあと、いきなり高速エリアに突入。PS『グラ外』と同じ展開に涙。まぁ、高速エリアと要塞エリアを合体させたのはFC『グラII』が最初ですが…。そして要塞エリアはAC『グラ』っぽいのですが、動く壁は『ゼクセクス』。前方から飛来する破壊不能の鉄球は『スクランブル』と、もはやなんでもこいって感じになってきます。で、例のラスボス前にある避けるだけのトラップは、PS『グラ外』のソル似な回転盤。おまけとしていっておきますと、この回転盤のよけ方って、『ゼクセクス』1面ボスの安全地帯みたいに、天井の窪みに身を隠すことも可です。さて、これを抜けたら、まだありました。AC『グラIII』の復活細胞&肉ダンゴ地帯を思わせる復活細胞&シャッター地帯。といっても、ここはそれほど恐れることはないでしょう。

 と、思いつくままに挙げてみましたが、これらはすべてファンサービスとして作られているようです。確かに変わりばえしませんが、新しいことをやってもらうより、どこかで見たシーンが連続して登場してきたほうが逆に安心できるし、「これはアレだね」なんて、プレイしながら元ネタ探しをするのも楽しいし…。しかも、このゲームは進んだエリアごとにオートセーブされ、好きなエリアからコンティニューできます。そのおかげか、難易度はそれほど高くないんですが、それでもクリアできない人のために攻略パターンをデモプレイで見せてくれるヒントモードもあります。ボスの安全地帯も、惜しげもなく見せてくれるので、これを見るだけでも楽しいですよ。

●熱さと怒りがオーバーヒートするチャレンジモード
 このゲームは、クリアするだけなら簡単なのですが、その物足りなさをカバーしてくれるのがチャレンジモードです。各ステージの各エリアを初期状態からクリアしていくというモードで、いわば「復活オンリーモード」です。『グラディウス』といえば「復活」。そうです。アーケードでは、自機がやられたら身ぐるみはがされ、規定のエリアから再スタート。コンティニューがないから、残機がなくなったらそこで終わりでした。そこで必然的に、復活するための攻略パターンが生まれ、今までにも神の域に達した美しい復活パターンが全国のプレイヤーによってあみだされたものです。その「復活」だけを楽しめるモードがチャレンジモードなのです。
 このモードを出現させるためには、573000点を取ることが必要ですが、これはノーコンティニューで最終面までいけば十分叩きだせます。すると、まず「チャレンジモードA」が登場。これは、2週目程度の難易度で撃ち返し弾があります。ですが、『グラディウス』のファンを自認する人なら、この程度の撃ち返し弾なら、あっさりクリアできるでしょう。
 そしてこれをクリアすると、今度はチャレンジモードBが出現します。これは3週目ぐらいの難易度で、敵の攻撃の激しさと撃ち返し弾の多さはさらに強烈になってきます。チャレンジモードでは、撃ち返し弾を撃たれることを想定した攻略法が必要になってきますが、ヒントモードでチャレンジA、B、それぞれ別のデモプレイを見ることができます。ですから、これを参考に…って、できません!! 私の腕では同じGBAの+キーを使って、同じプレイなんてムリです。
 そもそも、いきなりザコ編隊が襲ってきて弾はバラまく、撃ち返しもハンパじゃないという地獄のような状況で、STGに向いてるとは思えないGBAの+キー使って、0速のとてつもなく遅い自機でどうやって避けろっていうんでしょう。でもね、なんだか気になって、ついついまたやってしまう魔力があるんですよ、悔しいことに。「復活」ってやつぁ、罪なヤツよのぉ〜。
 そして、ついにチャレンジBをクリアすると、今度は「ファイナルチャレンジ・ファイナルステージ」が出現します。たぶん、これって『極パロ』のスペシャルステージみたいなものだと思うんだけどクリアしていないから詳しくはわからないです。というより、これ、クリアできません。もうダメです。
 最初にカプセルが3個でてくる親切設計ではあるのですが、この3個のカプセルで1速+ミサイルなんてパワーアップしたら即死です。まず3速にしないと、敵の猛攻を避けきれないでしょう。いや、避けるというより、カンペキな攻略パターンを作らないと、最初のザコ編隊すら突破できません。しかもそのあとに出現するのは、ワープザブの編隊で、これをよけまくったと思ったら、恐ろしい数の弾幕バラマキ軍団が登場し、やっとの思いで突破したら、上から後ろからダーッと現れて…もう限界。
 まぁ、仮に攻略パターンができたとしても、あの+キーで3速を制御する自信がありません。ムリです。勘弁してください。降参です。ギブアップです。ファイナルだけあって、ヒントもなし…。いや、クリアしたらヒントが見られるらしいんだけど、どうやってアレをクリアしろと…。

●ホントに正しいのは…? どっちの名前ショー
 ちまたでは、「ビッグバイパー」と書かれたりする場合がありますが、正しくは「ビックバイパー VIC VIPER」です。いつから超時空戦闘機は「大マムシ」になったんでしょう。と、思ったら『グラジェネ』のパッケージに堂々と「ビッグバイパー」って…。えっ??? ちなみに「ビッグコア」という表記も見かけますが、これも正しくはビックコアです。あれ? ひょっとしたらゼロスフォースが家庭用移植作品ではビッグアイと呼ばれたように、アーケードとコンシューマーでは呼び名が違うのかも? う〜ん、奥が深いですね『グラディウス』は。



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レビュアー紹介
HAL
 サッカーにおけるモットーは、ゲルマン魂。好きな言葉は、不屈のライオン。育成モノでは、ゲルマン魂を注入して育てるため、ときおり神がかりの勝利を見せる。キライな言葉はファンタジスタ。そのくせ、94年W杯のピクシーのシュートや74年W杯のクライフのドリブルに感動したりする西ドイツ最強信者。


●好きなゲーム
『日本代表チームの監督になろう!』
『湾岸トライアルラブ』
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