福田康夫首相(自民党総裁)が一日、辞意を表明しました。一年前の安倍前首相をほうふつさせる突然の退陣劇には、驚くというより、あきれた人も多かったのではないでしょうか。
自民党では、新首相につながる後継総裁選びが本格化し、麻生太郎幹事長をはじめ、複数の候補による総裁選の構図がほぼ固まりました。いずれも知名度のある有名議員とあって注目を集めそうですが、気になるのは、各候補の地方に対する政策スタンスです。
福田、麻生両氏による前回総裁選では、広がる地域間格差への不満が二〇〇七年参院選での与党惨敗の要因となったこともあり、そろって「地方が自立できる税制の検討」「地方への権限、財源の移譲」といった政策を打ち出しました。
もっとも、この一年間、地方を取り巻く状況は好転するどころか、原油・原材料価格の高騰といった経済状況もあって悪化の一途をたどっています。地方分権にも目立った進展はありません。
「地方再生」を口約束でなく、具体的にどう進めるのか―。総裁候補として名前の挙がっている自民党議員は東京選出が多い分、余計に気になります。
与党は新総裁・首相が決まれば、総裁選の勢いを持続したままに、年内の衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まっています。十月には岡山県知事選(九日告示、二十六日投票)があるため、ひょっとしたらダブル選挙となる可能性も。こちらも大いに気になります。
(政治部・桑原功)