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国際司法裁判所(ICJ)
The International Court of Justice


1.概要

   国際司法裁判所は、1945年、国際連合憲章及びその不可分の一体をなす国際司法裁判所規程に基づき設置された国連の主要な司法機関である(国連憲章第92条)。
   国連加盟国は当然に国際司法裁判所(ICJ)規程の当事国になるほか、国連非加盟国も、安全保障理事会の勧告に基づいて総会が決定する条件の下に規程当事国となることができる(第93条)。当事国数は2007年6月現在192ヶ国。なお、我が国は1956年の国連加盟以前の1954年に当事国となっている。

2.構成(別添:2007年6月現在の裁判官の構成)

  (1) 国際司法裁判所は、「徳望が高く、各自の国で最高の司法官に任ぜられるのに必要な資格を有する者又は国際法に有能の名のある法律家のうちから、国籍のいかんを問わず」選ばれる15名の裁判官で構成される(ICJ規程第2、第3条)。

  (2) 裁判官は、常設仲裁裁判所の国別裁判官団(又はこれと同一の条件で当該政府が任命する国別裁判官団)によって指名される者の名簿の中から、国連総会及び安全保障理事会の選挙によって選出される。裁判官の任期は9年で、5人ずつ3年ごとに改選される(ICJ規程第4条、同第13条、ICJ規則第2条)

  (3) 裁判所には、所長及び次長がおかれ、3年の任期で裁判官の中から選挙される(ICJ規程第21条、ICJ規則第10条)。

3.管轄権

  (1) 当事者資格:裁判所に係属する事件の当事者となることができるのは国のみである(規程第34条)。具体的には、(イ)国連加盟国、(ロ)国連非加盟国の裁判所規程当事国、及び(ハ)国連憲章及び裁判所規程に従い管轄を受諾し、判決に服すること及び憲章第94条に基づく義務を受諾することを予め一般的に又は個別に宣言した国が当事国となりうる。

  (2) 管轄権の基礎:裁判所の当事国がこの裁判所に付託することに同意した事件及び国連憲章又は他の条約に特に紛争を国際司法裁判所に付託することを定めた事件のすべての事項に及ぶ(規程第36条第1項)。具体的には以下のとおり。
    (イ) 紛争当事国が紛争処理をICJに付託する旨の当事国間の特別合意書(コ ンプロミー)をICJに通告することによって紛争を同裁判所に付託する場合。
    (ロ) 条約に裁判所の義務的管轄権を受諾する規定がある場合。
    (ハ) ICJ規程の当事国が、第36条第2項に従って、裁判所の管轄権を当然に、かつ特別の合意なしに義務的であると宣言する場合。
    (ニ) 一方の当事国の一方的提訴により、他方の当事国が明示的又は黙示的に同意したと推定できる場合(forum prologatum)。
      (注1)ICJ規程第36条第2項:この規程の当事国である国は次の事項に関するすべての法律的紛争についての裁判所の管轄を同一の義務を受諾する他の国に対する関係において、当然に且つ特別の合意なしに義務的であると認めることを、いつでも宣言することができる。
(イ)条約の解釈、(ロ)国際法上の問題、(ハ)認定されれば国際義務の違反となるような事実の存在、(ニ)国際義務の違反に対する賠償の性質又は範囲
      (注2)義務的管轄権の受諾を宣言している国は、2007年6月現在66ヶ国。我が国は1958年9月にこれを受諾した。

  (3) ICJは、これまで、領土・国境紛争、外交的保護等、多方面にわたる問題を扱っている。2007年6月現在、12の事件が係属中である。

4.勧告的意見

   裁判所は、国連憲章等に従って関係国際機関が要請するときは、いかなる法律問題についても勧告的意見を与えることができる(憲章第96条、規程第65条1項)。勧告的意見を要請できるのは、国連総会と安全保障理事会の他、国連の全ての機関と専門機関であって、国連総会が許可したものである。国家が勧告的意見を要請することは認められていない。1996年7月に核兵器の違法性に関する勧告的意見を出したことは良く知られている。

5.我が国との関係

  (1) サンフランシスコ平和条約第22条(1951年9月8日署名、1952年4月28日効力発生)は、解釈適用に関する紛争が生じた場合には、紛争当事国の要請により国際司法裁判所に付託しなければならない旨規定しており、我が国は裁判所規程当事国になる前に、一定の範囲で裁判所の管轄権を受諾している。その後、1954年4月2日国際司法裁判所規程の当事国となった。

  (2)
また、我が国が規程当事国になる前、1953年10月8日には、豪州との間のアラフラ海真珠貝漁業紛争について国際司法裁判所に付託するよう提案し、先方もこれに応じたが、裁判に付託するための特別合意書について合意が成立しないまま同問題は別途話し合いにより解決された。さらに、1954年9月25日、竹島の領有問題に関する紛争につき同裁判所への付託を韓国側に提案したほか(先方これに応じず)、66年3月には、ニュージーランドの一方的な漁業水域設定について同裁判所に付託するよう提案した(付託以前に同問題は解決)、72年にはソ連(当時)に北方領土問題の付託を提案した(先方拒絶)。

  (3) 我が国からは、田中耕太郎博士が1961年から70年2月5日まで裁判官を務めたほか、76年2月から2003年2月まで3期27年間にわたり、小田滋博士が裁判官を務めた(1991年2月から1994年2月まで副所長を務めた)。現在は、2003年2月6日から、小和田恆氏が裁判官を務めている。



国際司法裁判所裁判官の構成
(2007年6月現在)

  アジア:3  
任期
 
  シー Shi Jiuyong(中) 2012年まで  
  小和田 Hisashi Owada(日) 2012年まで  
  アル・ハサウネ Awn Shawkat Al-Khasawneh (ジョルダン) 2009年まで  
 
  アフリカ:3      
  コロマ Abdul Koroma(シェラ・レオネ) 2012年まで  
  ランジェヴァ Raymond Ranjeva(マダガスカル) 2009年まで  
  ベヌーナ Mohamed Bennouna(モロッコ) 2015年まで  
 
  欧米・その他:5      
  ジンマ Bruno Simma(独) 2012年まで  
  バーゲンソール Thomas Buergenthal(米) 2015年まで  
  ヒギンズ Rosalyn Higgins(英) 2009年まで  
  アブラハム Ronny Abraham(仏) 2009年まで  
  キース Kenneth Keith(NZ) 2015年まで  
 
  ラ・米:2      
  アラングレン Gonzalo Parra-Aranguren(ヴェネズエラ) 2009年まで  
  セブルヴェーダ

Bernardo Sepulveda(メキシコ)

2015年まで  
 
  東欧:2      
  トムカ Peter Tomka(スロヴァキア) 2012年まで  
  スコトニコフ Leonid Skotnikov(露) 2015年まで