2008-09-07(Sun)
ファニーメイの破綻を解説してみる
危ないぞ 危ないぞ と言いながら崖っぷちでヨロヨロしていた「ファニーメイ」と「フレディマック」が、ついに国有化されるようだ。
ファニーメイとフレディマックというのは、アメリカの住宅ローンの胴元のような会社。
全部で10兆ドル(1100兆円)くらいある住宅ローン残高のうち、半分の資金を出している打ち出の小槌だ。
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と言っても、もちろん自動的にオカネがざくざく降ってくるワケじゃないので、借金をしている。
MBSとかいう名前の(毎日放送じゃないよ もちろん)借金証書をつくり、それを投資家に売って、その代金を住宅ローンに回している。
サカサマから言えば、住宅ローンの利子や返済を、MBS債券の利子や返済にあてている。
日本の場合、銀行の貸出残高の総合計が400兆円くらい。うち、住宅ローンが180兆円くらい。
だから、ファニーとフレディの2社だけで、日本中の銀行を全部のさらに1.5倍近い規模がある。
■■
この超巨大ローン会社に降りかかったのが、住宅価格の暴落だ。
例のサブプライムローンの破綻で、サブプライム以外の普通の住宅ローンのものも含めて、住宅の価格がどか〜んと2割も下落した。
2社のローンは、サブプライムはそれほど多くないが、それでも、踏み倒しの危険が非常に高いものと相当高いものをあわせると、13%くらいある。
このうち半分が踏み倒されただけでも、3000億ドル以上。
しかし、2社の自己資本は890億ドルしかない。
桁が大きすぎてピントこないかもしれないので、ちょっとスケールダウン。
89万の貯金しかないファニーさんとフレディさんの夫婦は、Aさんから5200万借りて、それをBさんに又貸しして利ざやを稼いでいた。
ところが、貸していたBさんが急に返済できなくなって、300万円踏み倒された。
でも、Aさんには返済しなくちゃならない。
でもでも、手元には89万しかない・・・
どうだろう、ファニーとフレディの窮状が理解してもらえただろうか。
■■
しかも、大問題はその先にある。
二人がカネを借りたAさんというのは、実際は世界中の投資家であり、国である。
だから、「すんません、返せません」と言ったとたんに、二人は世界中から、
「あいつらに金貸したら、返ってこないで!」 というレッテルを貼られる。
そればかりか、貸していた方も、資金繰りがたたなくて連鎖倒産が相次ぐはずだ。
実際に、
米政府系金融の混乱、韓国に波及=ウォン下落に拍車
2008/09/07 時事通信
韓国政府は外貨準備の一部を両社が発行した債券で運用しているが、信用不安の高まりで債券の売却が困難となり、ドル売り介入に必要な資金の調達が難しくなったことがウォン下落の一因とみられている。
なんてこともすでに起きている。
こうなると、カネを貸していた方は、一刻でもはやく返してもらおうと、殺到する。
ファニーとフレディの家の前には、借金取りが長蛇の列をつくる。
■■
今までは、自分のカネは89万しかないことなんて忘れて、何千万ものカネを右から左へ動かして豪遊していたのに、一晩にして一文無しだ。
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これが、現実の世界では、アメリカからの資金の逃避とドル暴落になる。
日本も中国もオイルマネーも、世界中からアメリカに投資されている資金が、ザザザザ〜〜と引き上げられる。
引き上げられたお金(ドル)は、売られてそれぞれの国の通貨に戻されるから、ドルは大暴落、というわけ。
アメリカ経済は、その軍事費も含めて、世界中からの借金でまかない、返済に困ればドル札を刷って誤魔化してきた。
ところが、その借金が貸し剥がしになり、ドルが暴落したら、あとは「追いはぎ」をするしか生きる道はない。
(実際、そうするだろう。)
ファニーさんとフレディ君は、なにせ日本中の銀行の1.5倍近い規模だから、ここが破綻すれば、アメリカ中の金融機関が信用を失う。
三井住友と三菱東京UFJが破綻したときに、みずほ銀行にカネを貸したいと思う人間はごく少数だ。
■■
そんなわけで、今回のファニーメイとフレディマックの国有化が決まったわけだ。
もう、それ以外、ここに書いたような最悪のシナリオを避ける方法がなかった。
一説では400億ドルとか250億ドルとか言われているが、これも、住宅価格が今のラインでとどまった場合だろう。
東洋経済の記事などでは、さらに2割は下がると書いてある。
そうなれば、どこまで公金の使い込みがふくらむのか、予測が立たない。
アメリカの財政赤字は、アフガン戦争以降、うなぎ登りにふくらんで、5000億ドルを超えているらしい。
これに、一気に数百〜数千億ドルが上乗せされる。
財政の極端な悪化は、アメリカ国債の信用悪化 → 国際価格の下落 = 金利の上昇 を招いて、不況に拍車がかかり、アメリカ経済の信用がさらに低下し、資金が流出し・・・
と、結局は同じシナリオになっていく。
これを避けようと思ったら、増税だ。
増税は、もちろん景気を後退させる。で、これもまた、同じシナリオに行き当たる。
■■
最後にとっておきの秘策がある。
判断能力を失った金持ちに、儲かるどころか絶対に損をする投資に、有り金を出させるのである。
甘い言葉と、暴力的なおどしで、何兆円ものカネをつぎ込ませる。
そんなお人好しの金持ちがどこにいるかって?
そのへんにいるさ。
そのへんにいる、日本に住むひとみんな。
金持ちは、相続税や(もしかしたら)財産税で、一般庶民は所得税や消費税で、ぎっちり搾り取られて、破産したファニーさんとフレディ君のウチに送られる。
どっちみち搾り取られる税金ならば、漠然と取られるのではなく、こうして盗られているんだということを、知っておきたい。
ファニーメイとフレディマックというのは、アメリカの住宅ローンの胴元のような会社。
全部で10兆ドル(1100兆円)くらいある住宅ローン残高のうち、半分の資金を出している打ち出の小槌だ。
と言っても、もちろん自動的にオカネがざくざく降ってくるワケじゃないので、借金をしている。
MBSとかいう名前の(毎日放送じゃないよ もちろん)借金証書をつくり、それを投資家に売って、その代金を住宅ローンに回している。
サカサマから言えば、住宅ローンの利子や返済を、MBS債券の利子や返済にあてている。
日本の場合、銀行の貸出残高の総合計が400兆円くらい。うち、住宅ローンが180兆円くらい。
だから、ファニーとフレディの2社だけで、日本中の銀行を全部のさらに1.5倍近い規模がある。
■■
この超巨大ローン会社に降りかかったのが、住宅価格の暴落だ。
例のサブプライムローンの破綻で、サブプライム以外の普通の住宅ローンのものも含めて、住宅の価格がどか〜んと2割も下落した。
2社のローンは、サブプライムはそれほど多くないが、それでも、踏み倒しの危険が非常に高いものと相当高いものをあわせると、13%くらいある。
このうち半分が踏み倒されただけでも、3000億ドル以上。
しかし、2社の自己資本は890億ドルしかない。
桁が大きすぎてピントこないかもしれないので、ちょっとスケールダウン。
89万の貯金しかないファニーさんとフレディさんの夫婦は、Aさんから5200万借りて、それをBさんに又貸しして利ざやを稼いでいた。
ところが、貸していたBさんが急に返済できなくなって、300万円踏み倒された。
でも、Aさんには返済しなくちゃならない。
でもでも、手元には89万しかない・・・
どうだろう、ファニーとフレディの窮状が理解してもらえただろうか。
■■
しかも、大問題はその先にある。
二人がカネを借りたAさんというのは、実際は世界中の投資家であり、国である。
だから、「すんません、返せません」と言ったとたんに、二人は世界中から、
「あいつらに金貸したら、返ってこないで!」 というレッテルを貼られる。
そればかりか、貸していた方も、資金繰りがたたなくて連鎖倒産が相次ぐはずだ。
実際に、
米政府系金融の混乱、韓国に波及=ウォン下落に拍車
2008/09/07 時事通信
韓国政府は外貨準備の一部を両社が発行した債券で運用しているが、信用不安の高まりで債券の売却が困難となり、ドル売り介入に必要な資金の調達が難しくなったことがウォン下落の一因とみられている。
なんてこともすでに起きている。
こうなると、カネを貸していた方は、一刻でもはやく返してもらおうと、殺到する。
ファニーとフレディの家の前には、借金取りが長蛇の列をつくる。
■■
今までは、自分のカネは89万しかないことなんて忘れて、何千万ものカネを右から左へ動かして豪遊していたのに、一晩にして一文無しだ。
これが、現実の世界では、アメリカからの資金の逃避とドル暴落になる。
日本も中国もオイルマネーも、世界中からアメリカに投資されている資金が、ザザザザ〜〜と引き上げられる。
引き上げられたお金(ドル)は、売られてそれぞれの国の通貨に戻されるから、ドルは大暴落、というわけ。
アメリカ経済は、その軍事費も含めて、世界中からの借金でまかない、返済に困ればドル札を刷って誤魔化してきた。
ところが、その借金が貸し剥がしになり、ドルが暴落したら、あとは「追いはぎ」をするしか生きる道はない。
(実際、そうするだろう。)
ファニーさんとフレディ君は、なにせ日本中の銀行の1.5倍近い規模だから、ここが破綻すれば、アメリカ中の金融機関が信用を失う。
三井住友と三菱東京UFJが破綻したときに、みずほ銀行にカネを貸したいと思う人間はごく少数だ。
■■
そんなわけで、今回のファニーメイとフレディマックの国有化が決まったわけだ。
もう、それ以外、ここに書いたような最悪のシナリオを避ける方法がなかった。
一説では400億ドルとか250億ドルとか言われているが、これも、住宅価格が今のラインでとどまった場合だろう。
東洋経済の記事などでは、さらに2割は下がると書いてある。
そうなれば、どこまで公金の使い込みがふくらむのか、予測が立たない。
アメリカの財政赤字は、アフガン戦争以降、うなぎ登りにふくらんで、5000億ドルを超えているらしい。
これに、一気に数百〜数千億ドルが上乗せされる。
財政の極端な悪化は、アメリカ国債の信用悪化 → 国際価格の下落 = 金利の上昇 を招いて、不況に拍車がかかり、アメリカ経済の信用がさらに低下し、資金が流出し・・・
と、結局は同じシナリオになっていく。
これを避けようと思ったら、増税だ。
増税は、もちろん景気を後退させる。で、これもまた、同じシナリオに行き当たる。
■■
最後にとっておきの秘策がある。
判断能力を失った金持ちに、儲かるどころか絶対に損をする投資に、有り金を出させるのである。
甘い言葉と、暴力的なおどしで、何兆円ものカネをつぎ込ませる。
そんなお人好しの金持ちがどこにいるかって?
そのへんにいるさ。
そのへんにいる、日本に住むひとみんな。
金持ちは、相続税や(もしかしたら)財産税で、一般庶民は所得税や消費税で、ぎっちり搾り取られて、破産したファニーさんとフレディ君のウチに送られる。
どっちみち搾り取られる税金ならば、漠然と取られるのではなく、こうして盗られているんだということを、知っておきたい。