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| 小泉今日子&上野樹里&加瀬亮 インタビュー 「わたしはここに今生きているということを確認できた」 |
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| 愛猫のサバを亡くして漫画を描けなくなってしまった天才漫画家と、彼女を優しく見守るアシスタントたち、そして子猫のグーグーが取り持つ新たな出会いを描いた『グーグーだって猫である』。吉祥寺を舞台に、猫と人間たちの何とも切なくて、おかしくて、ほんわかした物語が繰り広げられる。本作に出演した小泉今日子、上野樹里、そして加瀬亮の3人が、今後の人生について、そしてこの作品の魅力について語ってくれた。 | ||||
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「40歳で人生折り返し」 ―― この映画は生きる糧を与えてくれる作品だと思うのですが、ご自分にとって生きるということはどういうことでしょうか? ■小泉今日子(以下、小泉):わたしは生きるということを現実的にとらえられたのはつい最近のことだと思うんです。40歳を超えて、そのとき誰かに「あぁ、人生折り返しですね」と言葉をかけられたんですが、「あぁ、折り返すのかぁ……」と思ったときに、それまで自分には近くに感じられていた死というものをすごく遠くに感じて、1回通って来た道を今度は折り返して歩いて行くんだと思ったら、生きることが怖くなくなったんですね。今度は生まれたところまで戻るので、ゆっくり景色でも見ながら戻って行こうかなと思ったら、生きることがいとおしくなってきたという感じがします。それまではどっちでもいいとか、その一瞬のことだけしか考えていないとか、今日気持ちよければいいとか、これで死んでもいいと没頭して何かをしているという時間が多かったですね。 ■上野樹里(以下、上野):役に入ったり、何かを作ったりしているときは、やはりばーっと走ることもあると思うんですね。最近ダイビングでライセンスを取るために海に潜ったんです。浦島太郎っておじいさんになっちゃうじゃないですか。それと同じように海の中ってとてもスローな世界で、陸地で待っていると「え、まだ1分しかたってないの? もう10分たった気がする」とか、ヒマだと時間がたつのをとても遅く感じるんですが、海ってゆっくりしているので、「あぁ、10分しか潜れなかった」と思ったら、実はもう30分潜っていたとか。何だかそういう感じで生きたい。日常をせかせか生きるというのではなく、ゆっくりのんびりと生きたい。地球の大きなサイクルから見たら、人間の生きている時間なんてほんの一瞬なんですよね。それならどんなことも怖がらないで、傷ついても前に進めばいいし、のんびり生きればいい。前に前に進むというよりは、大切なものを振り返りながら自然に触れたり、自分の好きなことを大切にしたり、出会った人に教えてもらったりしてゆっくりと生きていきたいです。 ■加瀬亮(以下、加瀬):人生について僕は語る言葉を持っていないですね(苦笑)。何だか毎日ただ生きていくしかないというか……。ただ映画の中ですごく「あっ!」と思った部分がたくさんありました。例えば、体調を崩した小泉さん演じる麻子先生が一人で洗面台で嘔吐(おうと)するシーンがあるんですが、あれってほかに誰も見ていないんですよ。結局人間は孤独な生き物なんですが、それでもみんな最後にはまた一緒に笑っていて、その場所に麻子先生がいて。なんだかそういう小さな幸せがすごくしっくりきたというか、励まされたというか……。 |
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| 2/2 「お年玉は全部姉にあげていた」 | ||||