津久見市の離島、保戸島の医療を一人で守っている保戸島診療所の内倉洋三院長(69)が「(契約いっぱいの)来年3月末で辞任したい」との意向を市などに伝えている。市は慰留に努める考えだが、3日開会した定例市議会に後任確保のための募集広告料など約80万円の特別会計補正予算案を提案した。島の医療に「空白」を生じさせないための措置。
人口約1200人の保戸島には05年5月まで民間診療所があった。その後1年間、無医地区となった。市が06年に診療所を建設、運営を市医師会に委託した。開設した同年4月以降、1日平均75人が受診、多い日には100人を超えるという。
内倉院長は別府市の開業医で、週4日島の診療所に勤める。06年の着任当初から「勤務は70歳になる3年が目安」としており、市関係者には今年5月ごろ、来春の辞任を伝えたという。
市は「内倉院長は人柄が良く、住民の信頼が厚い。島民が安心できる先生」と慰留を続ける。しかし、一方で「体調面や年齢面から先生の辞任の意志は固い」(吉本幸司市長)として、医師会と協議しながら後任確保の作業も進めていく。【古田健治】
毎日新聞 2008年9月5日 地方版