岩手県を代表する伝統工芸の「南部鉄器」が、旧字を使った「南部鐵器」として中国で商標登録申請されていることが分かった。商標が認められると、輸出販売が難しくなるうえ、ブランド失墜も招きかねない。県南部鉄器協同組合連合会(盛岡市)は8日にも東北経済産業局と協議し、異議申し立てなど対抗策を検討する。
連合会などによると、申請は昨年9月3日で、申請者は香港の業者とみられる。商標登録されれば、本物の南部鉄器を中国へ輸出した際に、「類似商標」として登録業者の申し出などで輸出の差し止め措置などが講じられる可能性があるという。
加盟58社と岩手県内最大の水沢鋳物工業協同組合(奥州市)は、「鋳技(てつぎ)」のブランド名でデザイン、色彩も現代風に工夫した南部鉄器の欧米向け輸出を3年前から本格化。一部の業者は中国輸出も手がけている。今年1月には特許庁から地域団体商標の登録が認められたばかりだ。
組合の後藤安彦事務局長は「岩手ブランドをまねた商標登録は心外だ。異議申し立てをしたり当方から中国で新たに商標登録したり、対抗措置を取りたい」と話す。(加賀元)