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出産の場 10年で3割減

2008年09月05日

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 県内で出産を扱う病院や診療所が10年前と比べて約3割減ったことが、日本産婦人科医会県支部の調査でわかった。訴訟による廃業や医学部生の産科離れなどが背景にある。産科医の数も地域間格差が広がっている。
(長富由希子)

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 同支部によると、県内で現在、出産を扱っている病院と診療所は計52施設(病院26、診療所26)。98年の計75施設(病院42、診療所33)から23施設減った。

 産科・産婦人科医の数も減っており、県によると、98年には人口10万人あたり7・4人だったが、06年には6・2人になった。

 新潟市西区の新潟こばり病院は4月、出産の扱いを休止した。6、7年前から、産科の常勤医が1人だけだったという。渡辺俊雄事務局長は「通常、分娩(ぶんべん)は1人で診られるが、何かあった場合は1人だけだとリスクが大きい。複数の医師が必要だが、2人の産科医がなかなか確保できなかった」と話す。

 産科・産婦人科医の数には地域間格差も生じている。最も多い新潟医療圏は全国平均より多い医師がいるが、最も少ない魚沼医療圏は、人口10万人あたり4・3人にとどまっている。

 魚沼医療圏の魚沼市で働く産科医は、県立小出病院の2人だけだ。2人で年間
約400件以上の出産を担当しているという。「24時間、呼び出されればいつでもいかなければいけない。休みたくても休めない状態」(同病院)という。

 同医会の徳永昭輝県支部長は「訴訟をきっかけにした廃業もある。いつ呼び出されるかわからないため、学生の産科離れも起きている。医師や看護師の確保も難しい」と、産科医を取り巻く厳しい現状を説明する。

 南魚沼市に住む八木理恵さん(33)は「県外に嫁いだ友人が、里帰り出産したくてもかなわない状況がある。子どもを産みたくても、安心して出産できる環境にない。安心して出産でき、その後のケアが受けられる環境がほしい」と嘆いた。

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