昭和58年6月を越え幸せのなかにいる梨花に、 知恵から「授業参観」が行われるということを告げられる。 梨花にとって、それはあまり喜ばしいことではなかった。 両親が死んでしまった辛い記憶を思い出すことにつながるからである。 同じような境遇でも、沙都子には詩音という“ねーねー”がいる。 自分だけがひとりだ。こんなときにかぎって羽入の姿が見当たらない。 そんな日の帰り道、綺麗な夕日を見た梨花の頭のなかに一瞬の映像がよぎる。 こんな夕日と同じ景色の中、誰かがほほ笑んでいてくれた。 その光景が頭から離れない梨花は、記憶を頼りに祭具殿を捜索することにした。 すると、そこにはひとつの手作りペンダントが。梨花に懐かしい記憶がよみがえる。 泣いている自分、そして一緒にいてくれた羽入。 それはいつかの授業参観の日の、羽入との思い出だった。
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「今日の部活は肝試しにしようぜ!」 それは圭一のちょっとした意地悪な提案だった。 散歩中の圭一が廃村・谷河村への入口を偶然見つけたという話から、それは始まる。 なにげなく出した話題だったが、そこは過去にあった一家心中事件により、 幽霊が『出る』ことで有名な場所だという。 そして谷河村で起こった凄惨な事件を魅音が語りだす。 信憑性のないこの話を面白がった圭一は、そこで部活をやることを決めたのだった。 盛り上がる部活メンバーだったが、なぜか梨花だけは浮かない顔をしていた。 その日の夜。廃村に6人が集合し、部活という名の肝試しが始まる。 ルールはシンプル。廃村を一周する間、一番怖がったチームの負けだ。 もちろん、勝つためならどんな作戦をたててもOK。 そして、それぞれがふたり一組のペアになり、 懐中電灯だけを頼りに肝試しがスタートする! はたして本当に幽霊は『出る』のか? その正体は? そして、勝者となるのはどのペアだ!?
輿宮に出掛けていた圭一は、突然の土砂降りの雨に見舞われてしまう。 必死の思いで雛見沢まで戻ったものの、 自宅までは辿り着けず、バスの停留所で雨宿りをする羽目になる圭一。 そのバス停には、先客がいた。沙都子とのひと時の時間。 静かで優しげな時が過ぎていく中、圭一はふと気付く。 「そういや最近、沙都子のトラップに掛かってないな……?」 少し寂しいような、複雑な気持ちに囚われる圭一。 そんな思いを馳せる圭一に、沙都子が言う。 「どうせお暇なら、ちょっと寄ってお行き遊ばせ」−−−と。 そんな沙都子の誘い、その意図は当然−−−!
「……なあ、梨花ちゃん。『ループしていた百年の間』でさ、『俺に恋人がいた世界』ってあった──?」 きっかけは圭一のそんな一言だった。 鷹野たちとの最後の死闘を終え、平和な世界を迎えてから初めての夏休み。 圭一の発案により、部活メンバーたちは村の集会所で“お泊り会”を開いていた。 話題の中心はなんといっても梨花と羽入の“100年間のループ世界”の話。 さまざまなもうひとりの自分の体験談に、皆は興味深く耳を傾けていた。 そして、圭一はある決意から恋愛話をふってみた。 圭一のある決意とは、“好きなあの子へ告白をする”こと。 知恵からの「女の子は特別なシチュエーションでの告白に弱い」というアドバイスを聞き、お泊り会を主催したのだった。 ところが、お泊り会の話題は意外な方向へ。 梨花と羽入により、別世界での圭一の女ったらしぶりが次々と暴露され…!
昭和59年6月、羽入は人間として雛見沢で暮らしていた。 彼女は梨花たちと共に昭和58年の惨劇を打ち破り、 学校の授業、部活、皆との外出、ありきたりだが幸せな一年間を過ごしていた。 そんなある日の朝、梨花と沙都子が入江から電話で呼び出される。 診療所に寄ってから学校に行くという二人を見送り、 不思議に思いながらも、羽入は一人で学校に向かった。 遅れて登校してきた梨花に、羽入は呼び出しの理由を尋ね、驚く。 なんと、雛見沢症候群治療薬の完成の報せだったのだ。 突然の治療薬完成――その吉報を梨花から聞いた羽入は落胆する。 「自分が雛見沢症候群の親玉であり、雛見沢症候群が消えると自分も消えてしまう」からだ。 治療薬が完成するあと一週間で自分は消えてしまう。 消えたくない。しかし、梨花たちの笑顔を壊したくない。 羽入は平和のため自分が消えることを覚悟した。 だが、その恐怖に耐えられない羽入は教室を飛び出したのだった。
絵の勉強のためフランスに渡っていた圭一が、久しぶりに日本へ帰ってきた。 空港には彼を出迎える詩音の姿があった。 両親以外には帰国の旨を伝えていないはずなのに、 と疑問に思う圭一だったが、詩音の強引なエスコートにより、 ともに雛見沢へ帰ることになった。 その間、ふたりは離れていた数年間のうちに身の回りで起こったことを話し合う。 いろいろなことが変化した事実に圭一は驚き、 昔のようなやりとりを懐かしく思う詩音は笑う。 6年前、彼が海外留学することを一番に相談したのは詩音だった。 悲しませたくないという理由から、部活メンバーへは言い出せなかったのだ。 留学という夢への情熱を語る圭一と、 想いを告げることもせず「しかたない」と諦めているだけの魅音。 待つ身の辛さを知っている詩音はいらだちを隠せず、 ついに圭一へ怒りをぶつけてしまう。 どうして圭一のことを考えると胸が締め付けられるのか、 詩音にはまだわからないまま・・・。
綿流しの夜、鷹野のもとへ雛見沢症候群L5発症者の二人が運び込まれ、 それと同時に傷だらけの富竹も運び込まれた。 彼の包帯や血まみれの姿は死の間際の父を連想させ、 鷹野をひどく動揺させる。 富竹は錯乱した発症者を止めるために争い、 大石の銃を奪って二人に発砲していたという。 発砲しなければ誰かが死ぬことになってしまう。 そう考えた富竹の決断からだった。彼は人の命を救いたかったのだ。 一方で、鷹野はその発症者を使い生体解剖に踏み出そうとしている。 鷹野の心にはある思いが生じる。 富竹の救った命をこんな風に扱ってもよいのだろうか? 生体解剖そのものはずっと待ちわびていたことで、迷いも恐怖もない。 だが、富竹に嫌われることはしたくないと思っている 自分の気持ちに気づいた鷹野は、富竹への思いに、心を揺らすのだった。
まだ「繰り返しの世界」を経験していないくらいの昔。 とある神社の神主夫妻に、リカという娘が生まれた。 少女は他人とは少し変わった不思議な子どもで、 決して人には見えるはずのない“僕”の姿が見えた。 “僕”は足もなく舌もなかったので、 動くこともできず話すこともできなかったが、 それでも “僕”は久しくあり得なかった自身を認める存在に出会い、 それを決して失いたくないと思った。 しかし、それはかなわないことだった。 リカはある夜突然その命を絶たれ、凄惨な姿で横たわっているのを“僕”は見つけてしまう…。
※今回の大賞の一般選考は3社連動でおこなっております。このページにある作品は、最終選考候補作の1/3となります。 ジャンルに関係なく、1作品、これだ!と思う作品にご投稿いただければと思います。 ※投稿してくださった方には壁紙を差し上げます。
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