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【主張】自民党総裁選 政治構造改革はどうした
自民党総裁選の立候補者に論じ合ってほしいテーマに政治の構造改革もある。核心部分は政官業の癒着構造である。自民党はこれを守るため、国民の利益実現に背を向けているのではないかという不信感が強まっていることを直視すべきだ。
具体的には、ずさん極まる年金記録問題を抱える社会保険庁や、税金の無駄遣いが発覚した国土交通省などの不正や腐敗に対し、福田康夫政権が本気で正そうとする姿勢をみせなかったことだ。「国益より省益」の官庁組織を擁護していると受け止められている。
この自民党と官僚のもたれ合いの構図はかねて問題になっていた。象徴するのは事前審査制度である。内閣提出法案は、自民党による事前審査で承認され、国会は通過機関にすぎなかった。族議員と官僚の共生は利権の構造をもたらす温床になっていた。
衆参両院の意思が異なる「ねじれ」国会にはなったものの、この制度は与党事前審査という形で残っている。国会改革などの政治構造改革が遅々として進んでいないことを示している。
これは自民党改革が中途半端だったためでもある。自民党は4年前、党改革実行本部を創設し、自前の政策作りに向けたシンクタンクの創設や国政選候補者への公募制導入などを打ち出したが、いつのまにか立ち消えになった。
10日告示の総裁選には5人以上の候補者が出るという。経済政策が主な対立軸になっているが、出馬表明した石破茂前防衛相は「日本がいかにあるべきか、明確な指針を示したい」と語った。
機能不全の国会を改革する方策を今春示した若手議員グループも、代表を擁立する動きをみせている。国民の利益や国益をいかにして実現させるか、政治構造改革の青写真を示すことは国民の信を取り戻すことにつながろう。
自民党の昨年の党員数は前年比9万人減の約110万人だ。最盛期の5分の1にまで落ち込んでいる。業界を基盤とする職域党員が減少しているためだが、健全な保守政党として国民の支持を拡大することにおろそかだった。
今回の総裁選で地方票は都道府県連各3票の計141票だ。本来なら党員・党友による投票で300票が割り当てられる。任期途中の辞任という理由だ。党員などの声をきちんとくみ上げることも自民党の構造改革の課題だ。