八月下旬から今月初めまで米国を訪れ民主党大会を中心に取材した。ハイライトは何と言っても、米史上初の黒人大統領を目指すオバマ上院議員の演説だ。
約八万人で埋まったデンバーのスタジアムはスターに熱狂するコンサート会場のようだった。歓声と拍手に加え、床を足で踏み鳴らす音が地鳴りのように響き、会場全体を揺り動かすのには驚いた。
訪米中に副大統領候補が相次いで発表された。オバマ氏が選んだのは党重鎮のバイデン上院議員。外交面での経験不足をカバーするための手堅い選択といえるが、オバマ氏の看板である「変革」という主張が薄まったことも否めない。
一方の共和党の大統領候補マケイン上院議員のサプライズ人事には衝撃が走った。アラスカ州の女性知事ペイリン氏。四十四歳で、オバマ氏より三歳も若い。民主党大会の熱気に冷水を浴びせる効果は十分だったようだ。
ただ、経験不足といった批判が早くも出ているほか、未婚の長女の妊娠や夫の逮捕歴などマスコミをにぎわせている。共和党大会は、ハリケーンで一日目の日程縮小というハプニングにも見舞われたが、四日のマケイン氏の演説で閉幕した。
十一月四日の投票日まで、二カ月を切った。今度はどんなサプライズが飛び出してくるか、選挙戦から目が離せない。