新聞社に就職を果たして…、PJのつぶやき

【PJ　2008年09月06日】− 今年７月に茨城県内の地方紙の契約社員から「正社員」に登用された。所属は「販売局」から「編集局報道部」への配属。つまり「新聞記者」として採用された。

　営業などの仕事で実績を上げなければ契約を切られる不安定な身分からやっと解放されて、正社員の新聞記者としてニュースの取材に専念できる環境へと一変した。就職氷河期の苦しい時代を乗り越えて、正社員記者として就職できたのは、率直に言ってうれしいことこの上ない。

　正社員として入社後は、自分が担当する市町村にある市役所の記者クラブに加盟こそしたが、地方紙は記者クラブ発の官庁情報だけでは紙面は埋まらず、全国紙との読者獲得競争にも勝てないので、自前の情報源をフルに活用して街ダネ取材にこれまで以上に精を出している。

　通常の業務に加えて「ＰＪニュース」に書いていた時と同様に非正規労働の若者の苦悩をはじめ、さまざまな労働問題などを取り上げて記事やコラムを書いているが、上司や先輩記者からは「若いのに問題意識がある」と高く評価されている。勤務している地方紙は記者の数が少ないので、私一人で担当地区市町村の官庁発表記事や町の話題、独自の取材記事、時には本社運動部の応援要員としてスポーツなどの取材もこなしている。

　そのため、平日、週末問わず取材活動に励んだため、すっかり「ＰＪニュース」の執筆から遠ざかってしまったことを、あらためて編集長はじめＰＪ、読者の皆さまにおわびしたい。

　さて、「新聞記者」というと「高給取り」と思われるＰＪおよび読者の方が多いと思うが、私の勤務先の給料は…。残念ながら詳細はお教えできない。というのも、会社の先輩記者から「会社の恥になるから、給料のことはあまり言うな」と言われている。

　ただ、大きな声では言えないが「朝日新聞の若手記者一人分の年収が、私の年収の約２年半分に匹敵する」とだけ伝えておく。新聞業界でも高給で知られる朝日新聞の初任給が約24万6000円で、残業代が平均で月10万円、年間賞与が入社２年目の社員で約200万円、単純計算しても若手社員の年収は約615万円。それを2.5で割ると…。…そこから先は各自で計算して欲しい。

　「ワーキングプアがワーキングプアの問題を書いている」と指摘される向きもいるかもしれない。しかし、「全国紙の若手記者みたいに過労死寸前まで酷使されない分だけでも『ありがたい』と思わなければいけない」と考えるようにしている。というのも、ある先輩記者から「若い全国紙記者なんか次々と辞めている」と、全国紙の支局の職場環境の厳しさを聞き、まるで「高給と引き換えに精神的につぶされるまで働かされるか、精神的自由と引き換えに安月給に甘んじるか」の「究極の選択」を迫られているようだった。これでは「精神的に荒れる」のも無理は無い。

　「ＰＪニュース」では、一部マスコミ人の素行の悪さを取り上げているが、素行の悪さの背景には、ある地方紙社員いわく「（入社して）最初から記者をやらせると、勘違いを起こすのがいる」というのがあると思われる。個人の資質以外にも「モノを言えない社内環境」、「まん延するパワーハラスメント」、さらにテレビ業界で顕著な「下請けのテレビ番組制作会社の社員教育の不徹底」「発注元のキー局社員と比べての異常な賃金・待遇格差」など、さまざまな問題がある。

　私は以前のように「ＰＪニュース」に寄稿はできないが、ぜひ編集長はじめPJのみなさん、とりわけ若い世代のＰＪには精力的に「足で稼いだ『読ませる記事』」を書いていただきたい。【了】

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パブリック・ジャーナリスト　崎山 勝功【 茨城県 】
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