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『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』菊地凛子、加瀬亮
ポスト・スカイクロラの2人が見た日本
海外との交わりが硬直化した日本を潤す

2008/09/04
 第65回ヴェネチア国際映画祭のコンペ部門に選ばれた『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の声優を務める菊地凛子と加瀬亮。海外プレスからの社会学的な質問に応える押井守監督の両隣で静かにたたずむ2人は、何かを悟っているようでもある。ヴェネチアという国際舞台に立つ“ポスト・スカイクロラ”の2人は、今、何を感じているのか。

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
——菊地さんは『バベル』(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)や、10月に全米公開予定の“The Brothers Bloom”(ライアン・ジョンソン監督)などで、国際派女優として活躍してらっしゃいます。一方の加瀬さんも『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド監督)や『TOKYO! <インテリア・デザイン>』(ミシェル・ゴンドリー監督)に出演するなど、ハリウッド映画と縁が深い。今回、声優とはいえ『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』で共演を果たしたお2人ですが、お互いの海外での活躍をどのように感じていらっしゃいますか?

菊地凛子(以下、菊地) 私もそうなんですが、海外にこだわっているというよりも、監督一人ひとりとの出会いが大きい気がしますね。今後もリスペクトしている俳優さんとして、いろいろな作品で加瀬さんを見ていきたい。今回は声優としてやらせていただきましたが、いつか共演できる日が来たらいいなと思っています。

加瀬亮(以下、加瀬) 菊地に限らずですけど、日本人が海外に進出したり、海外の人が日本に来て映画に関わるのは見ていてとてもうれしいです。良い悪いは別として、どうしても日本だけでやっていると、ある種、硬直化してしまう。それを潤すためには、やはり海外からの力がないとどうしようもないと思いますね。これは映画に限った話ではなく、グローバル化の動きは見ていていつもうれしく感じます。

——言葉や文化の違う監督やスタッフなど、外国の人とお仕事をされる機会が増え、彼らに日本について説明することもあるかと思います。日本という国を離れ、客観視できるような立場にあるお2人ですが、日本への感じ方が変ってきていれば教えてください。

菊地 自分自身が日本人であることに愛着を持てるようになりました。海外に出て行きたい、住んでみたいという若いころの夢は現実となったものの、そうなればなったで日本では起きないつらく苦しいことにも直面します。そんなとき日本人同士なら察してくれる文化がある。そういうものにすごく愛着を感じるようになりました。撮影で海外に長くいると、特にそう感じます。ただ、自分はあまりにも(日本について)知らなすぎたと感じますし、すごく興味を持てるようになったのは、やっぱり外に出てみて、眺めることができたことが大きいですね。

加瀬 海外にいると、良い面も悪い面もそれはもう細かいところまで見えてきますね。自分が生まれ、住む場所としての日本は本当に好きです。でも、先ほども話したように硬直化している面が映画に限らずあって、外国のほうが圧倒的に自分のペースで暮らしやすいと思います。今の日本は少し窮屈に感じます。でも、日本の中だけで、この状態をどうこうするのは難しいと思う。だからこそ、映画も含めて、海外とちゃんと混ざることが新しい風通しになる気がしています。

——先ほど、押井守監督は、「最近、日本の映画に“大人”がいない。子どもと老人の映画ばかり」とおっしゃっていました。『スカイ・クロラ』の主人公たちは、永遠に年をとらない子どもの“キルドレ”ながら、精神年齢は35歳に設定されていますね。実際のお2人はまだ少しお若いですが、現代の日本にとって、とても重要な世代にいらっしゃると感じます。親が子どもを殺したり、自殺したりする。子どもたちは、そんな大人を見習えなくてどうしていいか分からない。『スカイ・クロラ~』で役を演じられる際に考えられたとは思いますが、自分たちの世代に今何が起きていると思われますか?

菊地 人の目線を通してでしか、自分を判断できないようになってきているのかもしれません。人間としての本質っていうより、外見に重きを置くというようになっていると感じます。みんなメディアに敏感になりすぎて、踊らされているというよりも、踊らざるを得なくなってしまい、自分たちをどんどん狭くしていってるんじゃないかな。そして、そういう人ほどその状況にあまり気づいていない。特に日本でそれを感じるのは、すごく寂しいことだと思います。

加瀬 今回、映画祭に来て、いろいろな人と会ってみると、みんな、ちゃんと責任を持っている。それがこの映画のテーマでもあると思うんですが、今、(日本の自分たちの世代には)圧倒的に欠如していると思いました。自分がどれだけ物事に対して責任を持てるのかというと、ちょっと分からないですけれど、自分も含めてどうしても逃げる方向に進んでしまいますよね。やっぱり逃げるほうが楽だし、ある意味、心地いいからだと思うんです。でも、全体が向かう方向をちゃんと見極めている人と出会うと、意識が変りますね。演技でもそう。役者だとしたら、他人から見られている自分であったり、自分から見ている他人という関係の中で演じている人には、興味が沸きません。そこを超えて、もっと人の中の絶対的な本質に向かって取り組んでいる人って言うのは、役者でも、監督さんでもいて、そういう人が作家と呼ばれるんだと思います。そこに自分はずっと感動してきたし、これからも役者として関わって行きたいと思っています。

photo by Kazuko Wakayama

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