2008-09-03 11:18:59

さくらのデビュー

テーマ:ブログ

うちのさくら(駄犬)はとくに役にも立たないし、アタマと運動神経がぬきんでて悪いが、唯一「美形」というとりえがある。

いつかスカウトされるにちがいないと思っていたらやはりお誘いが来た。


とあるメーカーの広告にやさしくかわいい柴犬が必要とのこと。

それでその撮影にさくらとポンチョ(人)が出かけて行った。ポンチョはさくらのデビューにかなり興奮していた。


スタジオに着くなりブラッシング、シャンプー、ジェットバス、ブローとセレブな扱いを受け、撮影に臨んださくら。

しかしすぐに運動神経の悪さがバレてしまった。時計回りに回る仕事だったが、さくらは反時計回りしかできなかった。


するととんでもないことがおこった。

「ひかえのさくら」が登場したのだ。生後5ヶ月のあどけない柴犬だったらしいが、ぶぃぶぃ時計回りをこなし、次いでジャンプや立ち歩きなどをパーフェクトにこなした。


広告代理店の人たちが、こっちで行こう、と盛り上がったとき、ちょっと待った!とポンチョはあわててさくらの家庭教師を呼び出した。「この子、先生が来れば何でもできるんです!」


教え子が生後たった5ヶ月の若輩犬に負けそうと聞いて駆け付けた先生は早速時計回り旋回を厳命したが、さくらはすっかりアタマが混乱しオタオタ反時計回りを繰り返した。


ねばるポンチョと先生に代理店の人たちが「もうこっちのさくらちゃんで撮れたので、結構です」。



登板の前に降板になってしまった。



ポンチョはえらく傷心で夜遅く猫背で会社に戻って来た。


ポンチョを慰める会が急遽結成され飲みに出ることになった。「ステージママ」って単語だけは使わないこと、と会員同士厳しめに申し合わせたが、飲み屋への道中、M原がポンチョを「モンスターペアレント」と呼んで、始まる前から飲み会の趣旨が「慰め」から「傷塩」に変わってしまった。



それにしても「ひかえのさくら」はいったいどこから出てきたのだろうか。

その仔の名は本当にさくらなのか・・・

そしてその仔は本当にひかえだったのか・・・


いろんな疑問が残るが犬界も実力主義ということだけは確からしい。