日本に定着し工作を―北朝鮮が女スパイに指令
元脱北者の情報収集、反体制行為に圧力も
【ソウル5日上田勇実】偽造脱北スパイとして逮捕・起訴され、国家保安法違反の罪に問われている北朝鮮の元女性工作員、元正花被告(34)が、韓国を離れ、日本に定着して工作するよう本国から指令を受けていたことが分かった。韓国の捜査当局筋が5日、本紙に明らかにした。
同筋によると、元被告は日本に在住している脱北者の情報収集などに本腰を入れるよう電話で命じられたという。元被告が所属した北朝鮮の国家安全保衛部は、反体制派の取り締まりが主な任務。元被告は韓国の軍部隊で安保講義をした脱北者の氏名・年齢・北での職業など個人情報を本国に報告していたことも判明しているが、同部が日本でも同様の任務を展開するため、元被告を「日本定着スパイ」として送り込もうとしていたことになる。捜査当局は通話記録を確保しているという。
検察の起訴状によれば、元被告は2006年末、北朝鮮の重要情報をもって日本入りした咸鏡北道金策市出身の女性脱北者の居所をつかむよう指令を受け、昨年6月から今年7月までの間、3回に分け、延べ約3カ月にわたって日本に滞在した。その間、大阪に住む在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係者に連絡したり、仙台で脱北者の居所を知っているという女性に会った。
北朝鮮が日本に渡った元脱北者を工作のターゲットにする理由について専門家は、「体制批判などをはじめとする“反共和国行為”に圧力を加えるため」と指摘している。
2008/9/5 21:47