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【衝撃事件の核心】北の女スパイ その切り札は「魅惑の媚薬」 (1/4ページ)
韓国で脱北者に成りすまし、スパイ活動をしていたとして国家保安法違反の疑いで摘発された北朝鮮国家安全保衛部(秘密警察)所属の女工作員、元正花(ウォン・ジョンファ)被告(34)。1987年の大韓航空機爆破事件で逮捕された金賢姫元死刑囚以来の“大物女工作員”の摘発で、自らの肉体と秘薬を「武器」に、韓国軍将兵を手なずけた。摘発の直前には、北からのミッションを受けて日本にも潜入。スパイ映画さながらの工作活動は、韓国社会だけでなく日本の公安当局にも強い衝撃を与えた。
15歳でスカウト
韓国紙などの情報を総合すると、元被告は北朝鮮北東部の都市、清津市生まれ。
清津には工作機関が多数存在するとされ、かつて日本の領海に侵入してきた工作船の多くも、清津の港から出航している。
元被告の父も工作員で、韓国への浸透作戦中に死亡。母と再婚した養父(63)も工作員で、今回の事件の摘発で、対南(韓国)潜入工作がバレて逮捕された。
元被告は高等中学校在籍中の15歳のころ、特殊部隊にスカウトされる。工作員養成機関として知られる金星政治軍事大学(現在の金正日政治軍事大学)で訓練を受けたとされる。金賢姫元死刑囚や、昨年、覚醒剤所持で韓国当局に逮捕された安明進元工作員らもこの工作機関で訓練を受けた。
ところが、韓国派遣に備えた訓練中の92年、頭部を負傷して除隊となった。
百貨店で万引の過去も
元被告は除隊になったこともあってか、やさぐれて平壌の楽園百貨店で万引をし、見つかって逮捕されたという。
北朝鮮の百貨店は日本のデパートとは違って、物を買おうとすれば、品物を指さして「販売員同志」に伝票を書いてもらい、それをレジに持って行き領収証をもらい、それをまた販売員に渡してようやく品物をショーケースから出してくれるという、極めて面倒なシステムになっている。
そもそも外国人や特権階級の人たちしか近づけない百貨店で、どのように万引をしたのかは不明だが、元被告の大胆さを象徴するエピソードといえる。