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中国の障害者、福祉向上に期待 パラリンピック開催

2008年9月6日15時3分

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 6日夜に開幕する身体障害者のスポーツの祭典、北京パラリンピックに中国国内の障害者が注目している。北京では福祉施設が次々建てられているが、地方に行くほどお寒い状況になるからだ。この大会を機に、政府の対策はどこまで進むのか。

 開会式前日の5日、北京市内の障害者施設がメディア向けに公開された。

 そろいの黄緑のポロシャツを着た障害者が「ウエルカム」とあいさつ。手工芸品の制作や調理の訓練、視覚障害者用のパソコンを使った読書システムなどが紹介された。視覚障害者の男性(34)は「ここに毎日来られて楽しい」と仲間と卓球を楽しんでみせていた。

 「スイートホーム」と名付けられたこうした施設はパラリンピックを機に各地で整備が進んでいるという。

 しかし6月初旬、北京五輪組織委員会が作ったボランティア研修用の本が書店から回収される騒ぎがあった。「視覚障害者は感情を表に出さない」「聴覚障害者は率直」「身体障害者は強情」などの表現があり、国内外から「差別意識が残っていることの表れ」との批判が出た。

 中国国家統計局によると、中国の障害者は8296万人。75%以上が農村部に集中する。医療水準が低く安全管理の意識も不十分で、病気や事故の後遺症で障害が残るケースが多い。

 「国家重点貧困県」の一つ、河北省承徳市ラン平県。要子溝地区に一人で住む趙洪武さん(61)の自宅には、2年前から電気がない。

 生まれた時から耳が不自由で、両親は小学校にも通わせなかった。世話をしてくれていた弟が2年前に亡くなると、「消し忘れると代金が払えない」と止められた。

 庭に野菜を植え自給自足の生活を送る。政府からの補助金は年290元(約4640円)で、米なら70キロが買える額だ。これでは足りず、ゴミをあさることもある。親類の女性は「でも、この地区自体が貧しいから、もらえるだけでいいのかも」という。

 十八盤地区に住む張春宇さん(21)は、骨腫瘍(しゅよう)で右足を切断して1年になる。「不便だから、外に出たくない」と、もっぱら自宅で過ごす。地元政府から「義足を無料で提供する」と話があったが、それきり音さたがない。「車いすは高いし、そもそも、道も家もバリアフリーじゃないから、あっても使えない」

 家計は、60歳を超える父親が支える。「障害があっても働ける技術を習得できるよう政府は助けて欲しい。パラリンピックがそのきっかけになれば」と期待を寄せている。(北京=有吉由香、ラン平〈中国河北省〉=阿久津篤史)

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