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増えるペット、広がらぬ狂犬病予防 中国で流行の兆し

2008年9月6日15時3分

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 【広州=小林哲】中国で狂犬病が流行の兆しを見せている。国内の感染者は96年以降の10年で約20倍に増えた。経済発展に伴いペットとして犬を飼う家庭が増える一方、予防接種が普及していないことなどが背景にある。中山大学公共衛生学院(広州市)の研究チームが英専門誌(電子版)で発表した。

 中国国内での狂犬病の人への感染は、50年代と80年代に2度のピークがあり、それぞれ年間、数千人規模の患者が出ていた。87年に政府が対策を強めたところ減り始め、96年には159人に。その後再び増加に転じ、06年は3279人に達した。増加の傾向は今も続き、感染者数はさらに増えるとみられる。

 研究チームの調査では、広東省の患者(03年と04年)のうち、正確な記録の残っていた244人の約6割が、感染直後に傷の消毒など最低限の治療を受けていなかった。適切な処置を受けたはずの6人全員も亡くなっており、ワクチンの品質などに問題があったとみられる。

 狂犬病は、アジアとアフリカを中心に世界で年間5万人以上の感染者が出ている。人から人へは感染せず、日本では撲滅されている。外国からの帰国者の感染例としては、06年にフィリピンから帰国した2人が発症したのが36年ぶりで、中国からの帰国者ではまだ記録がない。

 研究チームの陸家海・副教授は「一部の都市で飼い犬への予防接種の強制も始まっているが、全体としてはまだまだ対策が遅れている」と認める。日本の国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は「中国では犬には近づかず、もしかまれたら、すぐに信頼できる医療機関を受診して」と話す。

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