夜、店が終わって、飲み会をしていたケイと南のゲイのまさお君の店で待ち合わせた。店に着くとケイは先に来ていた。
ニューハーフに少し飽きて、最近ゲイバーにハマっている^^;
「お疲れ~」と、ケイとまさお君。
カウンターには27,8ぐらいの男性が一人。この子がスッキリとした品を感じさせる顔のいい男だった。
まさか、ゲイじゃないよね?と、勝手に思う私^^;
まさお君は贅沢で、高級な食べ物好きだ。付き合う相手との、恋愛感情の差で求める物が違うらしい。自分が大好きな相手には、我が侭は言わない。尽くしに尽くしまくると言う。でも、それが相手には重くなって、別れを切り出されるらしい。反対に自分が惚れられてると感じると我が侭が爆発するのだ。そんなの、相手はたまらないよね(>_<)それで結局、付き合いは長くは続かない。
彼は、都内の高級住宅街に両親と住んでて、数年前まで転勤で大阪にいた。転勤を終えて、東京に戻ったのだと言う話だ。
お坊ちゃんかな?そんな雰囲気を醸し出している。「大阪はどうだった?」と、私。
「好きでしたよ」
「お仕事で来てるの?」
「いいえ、今日は代休で土日にが休みだから、ちょっと遊びに」
「そうなんだ。親と住んでるんだったら楽でいいじゃない」
「そうでもないですよ。連れ込めないし」
彼もやっぱりゲイだったことを悟る私。。勿体無い。。女にモテルだろうに、こんないい男が。とほほ(/_;)
「そうよね。私なんて母親と姉に、カミングアウトしてるからどうってことないけど、親が居る家に彼を連れ込むわけには行かないわよね」
「お母さんは知らないの?」と、私。
「言ってはいないけど、帰ったら部屋掃除してて、枕の下に雑誌引いていたんだけど、カバーが取り替えられてから知ってると思う」
「それじゃあ、友達って男性を家に連れて行くわけにもいかないね?」
「そうなんですよ。だから、一人暮らししたいんです」
「出会いが欲しいわ」と、まさお君。
「誰か紹介してよ」と、あのいい男が言う。
「どんな人がタイプなの?」と、まさお君が聞くと「こんな人」と、写メを見せる彼。とある有名大学のラクビー部員だという。
「付き合ってるの?」
「ううん。僕が好きなだけ」
神様はもう少し考えて、おちんちん付けてあげればよかったのにね。
いらない子におちんちんつけて。。
まさお君、その彼、ケイまでもが女の子に生まれたかったというんだからね。
「ケイが女の子なら、すご~く可愛い子になってたと思う」と、根拠のないことをいうケイ(ーー;)
でも、きっとあとの二人も同じことを思っていることだろう(-_-;)
ラグビー部員の話を聞いて、またもや、勝手に相手を想像する私^^;
「タレントで言えば誰が人気あるの?」
「ケンドーコバヤシよ」
「そうなの?」
「……?」ケイは知らない。
ケンコバはゲイに絶大な人気があるらしい。
ゲイの人の好みは私には理解できない。。
ケンコバが悪いって言うのじゃないけどね。
男前やハンサム顔にはあまり人気がないみたいだ。
「彼のどこがいいの?」
「う~ん、総合的にかな?バランスが取れてる」ってことらしい。
「彼はゲイなの?」
「違うみたいよ」と、まさお君。
そこに、彼の携帯がなって話し終わると、夜の南の町に消えて行った。
「あのね、来週お見合いするのよ」と、まさお君。
「誰と?」
「出会い系で知り合った人と。京都に会いに行くの」
「来てもらえばいいじゃない」
「来てもらって、嫌だったら断りにくいでしょ?私が行って嫌だったら帰るって、帰ってこれるからその方がいいの」
「なるほど。それもそうだね」
「写メ交換したり、メールを何度もやってるんだけど、その彼なんか貧乏臭いのよね」
「それはダメだよ!無理だよ。私は貧乏臭いとか品がない人ってダメ」
「でしょ?そう思うんだけどね」
「そういうのって、結構育ちが関係してるよね?染み付いてるって言うか、ねっ。品はなくてもいいけど、下品は許せないなぁ」
「そう、そう。るみかがそんな考えだから私と合うのよ」いつの間にか呼び捨てにされている(^^ゞいいんだけどね。
そこに、キャバクラ勤めを終えた、キレイな女の子が入ってきた。この子が全く品のない子だった。まさお君は女の気持ちが分かるので女性客も多い。彼女の愚痴を散々聞かされていた。彼女は他にお客さんがいるのも構わず、大きな声で愚痴り続けていた。
ケイと私は不愉快な気分になり呆れて顔を見合す。
ママの悪口も出だす。私はママに嫌われているというのだ。嫌われて当然!自分の容姿に絶対的な自信を持ってるだろうけど、性格は最低だ!ストレスが溜まるのは分かるけど、あんただけがこの店に来てる客じゃないないのよ!そんなことに、少しも気遣うことができないなんて、自分がしてることだけを前面に押し出して、自分ができてない、していないことに全く気づいていない。どれだけ、キレイでもそんな人間が人から好かれるわけがない!と、思わず言いそうになるのを抑える私。
しかし、お口チャック。。
キレイなお顔を両親から貰ったのに勿体無い。
翌日、二日酔いで目が覚める。お昼だ。
「るみか、リベンジ行かないと」スロットだ!ケイはそう言うけど、私はそんな元気はない。
とりあえず起きて、ランチだ。今日は久しぶりにペペロンチーノを作った。
食べ終わって、洗濯機を回している間、週間漫画を読む。テレビを見ているケイがマッサージをしてくれる。
「今日は何もする気になんない」
「ダメだよ!取り戻しに行かなきゃ」と、ケイ。
私はそんなことを言ってるのではない(ーー;)
掃除や片付けなど、ケイに取ってはどうでもいいのだ。
でも、それがいい♪
私は男が細かいことをいうのが嫌い。
普段はちゃんとしているから、基本的にケイがお休みの日は、酷く汚れてない限り掃除はしない。休日は女も休みたいよね。
キッチンでタバコを吸っているケイが、ごそごそと何かしていた。覗きに行くと、食器を洗ってくれてた(>_<)
「洗ってくれてるんだ!」
「るみか、しんどそうだからたまにはね」
「ありがと」
こんなケイの優しさ思いやりが、すごく嬉しい♪
ケイと出会って良かったと今更ながら思う瞬間だ。
出合って2年も過ぎたのに、未だにこう思えることが沢山ある。
その度に、別れて約10年も経つのに元夫のことが脳裏をかすめる。食事が終わって、テーブルの上を片付けて、ほっと一息ついてると元夫は不機嫌になった。すぐに洗い物をしないと気に入らないのだ。かといって自分からすることなど皆無だった。
休日は、私がゆっくりと寝ていると「いつまで寝てるんだ!」と、怒り出す。何かを一緒になんて考えられない人だったなぁ。。
大した事でないのに「どうするんだ!どうするんだ!」と、私を責めた。
ケイはというと、私がどうしよう?と思うことでも「こうすればいいよ。これで大丈夫でしょ?」と、躊躇もなく先に提案してくれる。
だから、私は本当に悩みが少なくなった。悩んでなくても、ケイに話せばいいのだから。
まっ、男も女も相手次第ってことかな?……。