稲葉:最後にお伺いしたいのは、ずばり、勝てるトレーダーと負けるトレーダーの決定的な違いを教えていただけますか。システムトレードの範囲内でも結構です。
斉藤:基本的には、勝っているトレーダーも負けているトレーダーも、それほど違いはないと思っているんです。極端な初心者とか、何年やっていても全然成長がない人なんかは別だとは思うんですけども。
勝つために必要なのは売買ルール、資金管理、メンタルコントロールと一般的に言われますけど、売買ルールとか資金管理というのは、少なくとも理論では大切だというのはみんなわかっているはずなので、結局、ルールを守れるかどうかということだけになると思うんですよ。要はメンタルコントロールということですかね。
私の知っている限りでも、初心者は除いて、常に負けているという人はあまりいないと思うんですよ。ほとんどの人は、こつこつこつこつと勝っている人が多いんですね。ただ、そういう人たちが長続きしないというのは、今まで順調だったのにほんの数回の取引で大きな損失を出す傾向があるんです。
というのは、私から見ると、ルール違反というのは資金管理の部分のルール違反が多いかなという印象があって、使っている売買のルール自体は有効なのにもかかわらず、結局、資金管理、例えば難平は1回までと決めているはずなのに2回、3回、4回と難平を繰り返したり、最終的には1銘柄に資金が偏っちゃったり。
結局、負けるのって、そういうことだと思うんですよね。売買のルール自体が間違っているとか、そういう根本的な問題ではないはずなんですよ。
結局は、最終的にはルールを守れるかどうかに終始すると思うんですけども、ルールを守れるかどうかというのは、先ほどの話と重なるんですけども、自分でコントロールできる、精神に影響を及ぼさない範囲の資金で運用すること以外は、私はちょっと思いつかないですね。
稲葉:なるほど。わかりました。売買ルールそのものよりも、結局は自分自身の問題だというところですね。
斉藤:そうですね。
稲葉:システムトレードに限らず裁量トレードも、あるいはテクニカル分析に限らずファンダメンタル分析も、結局はそこに尽きるのかなというところで落ちつきましたね。
斉藤:そうですね。これを聞かれている方は『システムトレード実践マニュアル』を見ている方ですよね。そうすると、少なくとも長期的に有効なシステムは知っている方ということじゃないですか。その人たちが負けるといったらやっぱり、ルールを守れない、要は特に資金管理のルールでミスを犯す人だと思うんです。
稲葉:資金管理というのは、自分の資金の問題もあるし、性格の問題もあるから、そこでコントロールするというところが大変なところではあるんですけど。特に個別株という銘柄が多いですので。
斉藤:そうですね。
稲葉:わかりました。本日は長い間ありがとうございました。
斉藤:どうもありがとうございました。
(終了)斉藤正章インタビュー 第二部 目次