日本の交易条件が悪化し、黒字だった貿易・サービス収支(季節調整値)も6月には赤字に転じた。輸出・輸入のデフレーター(輸出入の価格のインフレ率)で見ても、04年ごろから交易条件は悪化し続けている。また、海外との受け払いを反映している実質GNI(国民総所得)の対前年比の数値は、06年後半あたりから急速に減少し、ついに今年に入りマイナスとなった。
業種別の交易条件では、石油・石炭製品や鉄鋼などの素材業種はもちろん、金属製品や一般機械などの加工業種でも04年ごろから悪化傾向が始まっている。原因は明らかに石油や原材料価格の高騰である。
このまま交易条件の悪化が続けば、企業収益の悪化から個人所得や個人消費の減少や設備投資の縮小となり、日本経済に悪影響を及ぼすことは必至だ。現に今年に入り、雇用者所得や消費支出は減少しているし、実質設備投資も減少傾向にある。
どうすれば事態を打開できるのだろう。日本だけのことを考えれば、為替を超円高にすれば輸入物価を下げられるが、これは国際的に許容されるはずはない。食料自給率を高めることはもちろん、やはり内需拡大が最良の策だろう。
具体的には代替エネルギーの開発(10年後には電気自動車や燃料電池自動車しか走らないようになって欲しい)、安価な太陽光発電の開発、原子力発電の更なる活用、海外の観光客の積極的誘致(特に地方へ)、非効率な政府の関連事業や資産の見直し、真の内需拡大に効果的な税の活用や全国一律的な課税方式の見直しといった経済活性化のための柔軟な税制など、様々なことが考えられる。
ぜひとも新内閣に早急なる検討を期待したい。(QJ)