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「日本人が優しすぎるから」――ニコ動で“育つ”香港の歌姫 (ITmedia)

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 「恥ずかしいから」と顔は見せてくれなかったが、「ネットスター」では顔出しで歌っている。「香港で買った日本のブランドの服なんですが、日本の流行とは違って恥ずかしい。日本でいっぱい服を買っちゃいました」

 歌うのは、お風呂に入っている時の鼻歌ぐらい。人前で歌うのは恥ずかしいから、カラオケにもほとんど行かない。歌は下手だと思っていた。

 そんな彼女が歌声を届け始めたのは、日本のニコニコ動画ユーザーの優しさに感動したから。透んだ声が今、「ニコ厨」たちの心に響く。

 ハンドルネームは「ほんこーん」。香港に住む高校3年生・18歳の女の子だ。母語は中国語だが、日本語を話し、丁寧な日本語で歌う。

 遊びで「組曲『ニコニコ動画』」を歌い、日本人へのメッセージを添えてニコニコ動画に投稿した。それっきりのつもりだったが、日本人からの優しいコメントがうれしくて、歌い続けた。

 歌い始めて1年も経たないが、急激に成長した。どんどんうまくなっていく自分に、自分でも驚く。「歌手になりたい」。今はそう思う。

 この夏5回目の来日を果たした。これまでのような家族旅行ではない。NHK BS2の番組「ザ☆ネットスター! 9月号」(9月5日午後12時〜)で歌うために。

 来日した彼女は、ふわっとしたシフォンブラウスと、肩まで伸びた真っ黒のストレートヘア。眉毛の上で切りそろえた前髪に、ふちなしの眼鏡がよく似合う。照れくさそうに話す姿は、中学生ぐらいにも見える。

 日本語も上手。「私ニコ厨だよ、サーセン」なんて“ニコ動用語”もナチュラルだ。

 そんな彼女にファンへの気持ちを聞いていたら、突然泣き出してしまった。「みんな優しすぎて、感動します」――眼鏡を外して涙をぬぐう。

 「テレビに出る直前はすごく緊張していて、それをmixi日記に書いたら、ファンのみんながコメントで『緊張しないで、笑顔で歌えばいいよ』って応援してくれて……。日本人は、優しすぎます。みんな大好き」

●小学生からオタクなんです

 歌の動画にはたいてい、自作のイラストを付ける。歌よりも絵のほうが得意だと思っていた。人気の初音ミク曲「メルト」を歌ったときは、自作の絵だけで動画を作った。

 「小学生からオタクなんです」――絵のキャリアは小学校5年生から。歌よりずっと長い。

 5年生の夏休み。暇だったから、人気漫画「ふしぎ遊戯」のキャラクターなどを描いてみた。同い年の子よりうまくてほめられて、うれしくて描き続けた。中学3年生のときに初めて同人誌を作った。香港の同人イベントにも出展する。

 日本語を学び始めたのも5年生の夏休み。ゲームマニアのおじさんの家で暇を持て余し、日本のゲームを手に取った。「セガサターン」の「サクラ大戦」だ。

 日本語は分からなかったが、漢字から意味を推測してやってみたら面白くて、ハマった。グッズやポスターで部屋を埋め、アニメDVDやキャラクターソングの入ったCDを買って日本語を勉強した。中学2年生から日本語の塾に通い、本格的に学んだ。

 香港では日本のポップカルチャーが流行しており、両親はアジア好き。日本の食べ物や音楽、ファッションには小さいころから親しんでいた。家族旅行で初めて来日したのは6歳のとき。前回の来日――16歳のときは夏コミにも足を運んだ。

●「ニコ厨」に

 中学生のころからネットが好きで、学校から帰るとすぐPCに向かう。1日8時間ほど、台湾や日本のサイトを見たり、友人とメッセンジャーでチャットする。

 ニコニコ動画を知ったのは昨年5月。台湾のサイトで面白いMADが紹介されていたのを見て興味を持ち、アカウントを取った。毎日ランキングをチェックし、夏休みはずっと見ていた。「中毒になりました」

 投稿したことはなかったし、しようとも思わなかったが、ある日出合った1つの動画に心打たれ、歌を歌って投稿しようと思い立った。

 その動画は昨年11月にアップされた「日本人が台湾人にお返しの組曲作ってみた」。同年8月、台湾のニコニコ動画ファンたちが集まり、「組曲『ニコニコ動画』」を合唱した動画に対する、日本人有志からのお礼の動画だ。

 作ったのは「NNT団」。台湾の動画に感激した有志が「2ちゃんねる」に集まり、「お礼をしたい」と話し合い、3カ月かけて作り上げた。メンバーは掲示板やチャット、Web会議などで連絡。完成まで1度も顔を合わせていないという。

 絵コンテから描き起こして13分の動画を作り、歌詞にも台湾人への感謝を埋めこんだ。「台湾がすげぇと笑いながらコメント」「国が違っても僕たちは友だちさ 僕たちは同じニコニコで笑いあえる」――

 ほんこーんさんはこの動画に心を打たれた。「日本人は本当に優しいなと感動して。香港人もニコニコ動画が好きだから、私も日本のみなさんにメッセージを届けたいと思って」

 そして初めて、「歌ってみる」ことにした。

●300円のマイクで「歌ってみた」

 といっても機材もないし、録音法もよく分からない。日本円で300円ほどの簡易マイクをPCのマイク端子につなげ、歌を歌って吹き込んだ。自画像を描いたイラストに日本語の文字を添え、PhotoshopとWindows Movie Makerで動画を作った。ただ感動を伝えたかった。

 歌い終えた後、こんなメッセージを吹き込んだ。「私だって日本のみなさまのことが大好きだから。サーセン」

 日本語も歌も下手だと思っていたし、音も悪かった。1000人も聴いてくれれば十分だった。だが再生数はすぐ1万を超え、2万、4万を超えた。9月5日までに10万回近く再生されている。「本当に、びっくりしました」

 「かわいい」「萌える」「うまい」――たくさんの優しいコメントに感動した。この動画がきっかけで日本人から連絡をもらい、友だちもできた。

 うれしくて歌い続けた。次に投稿したのが「メルト」。自作の絵で動画も作った。何万回も再生され、温かいコメントがたくさん付いた。

 本当にうれしくて、うれしい気持ちを伝えたくて、また歌った。大好きな「想い出がいっぱい」を日本語と広東語で。動画にはメッセージを書き、ありがとうの気持ちを伝えた。「ニコニコ動画に来て、世界が近くなった」「ニコニコ動画でたくさん友だちができて、本当にうれしいです!」

 ニコニコ動画のコメントは、歌の先生にもなる。「コメントの批評はちゃんと受け取って、直せるように頑張っています」。「うまくなったね」「成長早い」――最近の動画にはそんなコメントも多い。ほめてもらうとうれしくて、もっと頑張ろうと思う。

 台湾の友人に教えてもらい、mixiも始めた。300人以上のマイミクに、毎日の生活や歌への想いを伝える。「mixiのおかげでたくさんの日本のお友だちが増えて、ファンのみなさんから応援ももらえて、みなさんとの距離が近くなりました」

●「みんなに届けたいから、感情を込めて歌います」

 「この子、練習したらすごくうまくなる」――ほんこーんさんの「ニコニコ組曲」を聴き、そう確信した日本人の男性がいた。NNT団の1人・あてっくすさん(31)だ。音楽大学で声楽を学び、卒業後はIT企業勤務。何人かのニコニコ動画の歌い手に、趣味で歌を教えている。

 ネットで声をかけ、メッセンジャーを使って歌を基礎から教え始めた。ほんこーんさんには、音楽の知識はほとんどない。五線譜も読めないし、鍵盤を見ると「頭が痛くなる」というが、あてっくすさんはその成長の早さに舌を巻く。「普通の子が2〜3年かかることを数カ月でマスターした。歌で一番難しいのは感情表現だが、彼女は高度な感情表現をさらっとやってのける」

 感情――ほんこーんさんが一番大切にしているものだ。「感情がこもっている歌こそ、みんなの心に届くと思います。感情を受け取ってもらった時が一番うれしい。私の歌はみんなの心に届けたいから、頑張って感情を込めて歌います」

 詞の世界に入り込めずに悩むこともある。韓国のりるさんと一緒に歌った「peace of the world」。世界への愛というテーマが大きすぎ、うまく感情を込められずに泣いた。詞を香港の社会に置き換えて考え直し、自分の世界を作り、やっと歌えた。

 歌を聴いてよく泣くし、歌いながら泣くこともある。テクニックの練習をする時間より、歌詞の意味を考える時間の方が長い。「初音ミク曲を好んで歌うのは、ミクの声に感情がないから、どう歌っても“正解”だからでは」――あてっくすさんはそう話す。

 毎日歌を練習する。筋トレと発声練習、歌の世界を理解するための、歌詞を深く考える練習。ボイストレーニングも始めた。

 投稿する歌を決めたら、詞の内容を深く考えながら、1週間ほど練習。歌に自分の気持ちを合わせ、3時間程度かけて録音する。ダメならまた、体調と気持ちが合う日に録り直す。

●歌手になりたい

 「歌手になりたい」――そう思い始めたのは最近だ。「音楽が好きになったから。音楽の作り手の気持ちも、分かるようになってきた。私の歌を聴いて作り手が喜んでくれたら、歌ってよかったと思う」

 最近歌った初音ミク曲「つきうさぎ」(OSTER Project作詞作曲)。泣きながら歌った。「天才しか作れない曲。つきうさぎを聴いて、歌詞を読んで、音楽はすばらしいと思った」

 NHKの番組「ザ☆ネットスター」でもつきうさぎを歌ったが、「緊張して声が出なかったし、あんまり感情も入れられなかった」と残念がる。

 「顔が可愛くなくて、歌も上手くいけなくて、ファンの皆さんが失望するかもしれない…本当に、すみません。私、もう頑張ったから…(つω⊂) 嫌がれないでください…(;ω;)」――ブログにはそんなふうに書いている。

●「歌うことしかできないから」

 夏休みが終わり、新学期が始まった。香港の学校は勉強が一番。勉強ができなければ落ちこぼれ扱いで、音楽や美術はほとんど重視されないところが嫌いだという。

 「先生に『歌手になりたい』とか『漫画を描きたい』と言ったら、『目を覚まして勉強しなさいよ』と言われて」

 両親は彼女の歌が好きだ。「父は私の歌をYouTubeで探してきて、家で大きな音で聴いています。母はよく周りの人に聴かせていて恥ずかしい」

 自分の歌が自分でも好き。投稿した曲も、ずっと自分で聴いている。「再生数、自分で増やしてる(笑)」

 歌いたい曲はまだまだあるが、受験生だからなかなか時間を取れない。日本の大学に行くことは親に反対されたから、香港の大学を目指している。でもいつか、日本に留学したい。そしていつか、歌手になりたい。

 「日本のファンにメッセージはありますか?」――そう聞くとしばらく黙ってしまい、涙を流し始めた。

 「みんな優しすぎて……感動する。私はふつうの学生なのに……こんなに人気な人になると思ってなかった。みんなに愛されることにすごく感動する。みんな大好き」

 「私は歌うことしかできないから、私の歌でお返しできれば」

 ほんこーんさんが出演する「ザ☆ネットスター!」は、9月5日の深夜12時(9月6日0時)にBS2で放送、9月7日の午後11時50分からBS hiで再放送される。

 テーマは「ねとすた秋祭り!第1回タレコミランキング」で、視聴者からの“タレコミネタ”を紹介する。ゲストは声優・歌手の桃井はるこさんと、法政大学の白田秀彰准教授。

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[ 2008年9月5日15時46分 ]


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