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香川大の夢 宇宙へ、人工衛星が完成
来年初め、打ち上げ予定
完成した「STARS」を前に、実験内容を説明する能見准教授(高松市の香川大工学部で)
香川大工学部の学生らによるプロジェクトチームが開発を進めていた超小型人工衛星「STARS(スターズ)」が完成し、4日、報道陣に公開された。2005年のチーム結成から3年越しに実現する宇宙への夢。筑波宇宙センター(茨城県つくば市)などで最終点検を受け、来年初めにも大型ロケット「H2A」で打ち上げられる予定で、学生を指導した能見公博准教授は「宇宙での実験を成功させ、地方の大学でも人工衛星が作れることを証明したい」と抱負を語る。
STARSは縦横約16センチ、高さ約40センチの直方体で、宇宙空間で親機(高さ約28センチ)と子機(同約12センチ)に分離する。2機はテザーと呼ばれる直径1ミリ以下の化学繊維の糸で結び、地上から親機を通じて子機を操作する。“親子”衛星の打ち上げは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「きく7号」に次いで2例目という。
この日、記者会見した能見准教授は、東北大大学院在学中からテザーを使った人工衛星を思い描いていたと説明。宇宙では子機に搭載したカメラで親機を撮影する実験を行うといい、能見准教授は「宇宙ステーションの外壁の点検に使えるほか、アームを取り付ければ簡単な作業もできる」と述べた。
STARSは7日以降、大阪府東大阪市と筑波宇宙センターで耐震性などのテストを受け、来年1〜2月に、東大阪宇宙開発協同組合の「まいど1号」などとともに宇宙へと旅立つ。
チーム結成当初から携わってきた学生は約20人。大学卒業後、香川大非常勤研究員として製作に取り組む山本健志さん(26)は「やっとここまできた。テストが残っているので気は抜けないが、血と汗と涙が詰まっているので、実験を成功させたい」と話した。
(2008年9月5日 読売新聞)
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