リニア中央エクスプレス建設促進長野県協議会(会長・村井仁知事)の2008年度総会は27日、伊那市役所で開いた。昨年12月、JR東海が自己資金を前提に南アルプスを貫通する直線ルートでの建設を表明したことに対し、諏訪、上伊那地域を通るBルートでの早期建設を求めていくことを決議。一方、JR東海側は直線ルートでの建設を推進する意向を改めて示し、両者の思惑の違いが浮き彫りとなった。
県や市長会、町村会など17団体で構成する会員約50人が出席。会長代理の望月孝光県企画部長は「リニア中央新幹線は県にとって観光振興、経済の活性化に大きな役割を果たすもの。全国新幹線鉄道整備法の規定通り、地域振興という観点が重要」と強調、県として決定したBルートでの建設実現を目指して、関係機関の協力を求めた。
建設促進団体を代表してあいさつしたリニア中央エクスプレス建設促進上伊那地区期成同盟会長の小坂樫男伊那市長は南アルプスについて、現在も隆起が続いていることや世界遺産への登録を目指す動きがあることなどを指摘した上で、直線ルートでの建設を疑問視。JR東海側に「(国鉄民営化の際には)大赤字を国民が負担している。国民の声はしっかり聞いてほしい」と苦言を呈し、地元の声に耳を傾けるよう求めた。
JR東海執行役員で東海道新幹線21世紀対策本部の宇野護副本部長は直線ルートを選択した経過を説明。民間会社として「安定経営の確保が第一」とした上で、バイパス機能向上の面からも「距離は短いほうが望ましい」とし、同ルートでの建設に理解を求めた。
ルート上の中間駅建設については、設置場所の利益につながる問題として「地域で負担してほしい」と要望。Bルートを求める意見に対しては「いろんな考えがあることは承知している。今後、考え方の調整を図っていきたい」とした。
総会では県内ルートをBルートとし、県内に必ず駅を設置することや、今後のリニア推進に当たっては沿線自治体と十分調整するなど7項目を国や関係機関に求めていくことを決議した。