「故意に混入させた」「現場の判断だった」。残留農薬が基準値を超える事故米を食用に転売していたことが発覚した米粉加工業者「三笠フーズ」は五日、肩書のない平社員が終始対応。”食の安全”をないがしろにする事態にも、社長が姿を現すことはなかった。
農林水産省の発表を受け、大阪市北区のビルの一室にある本社に集まった記者は約二十人。対応した財務担当の男性社員は「事実関係をつかんでいない」と説明し、社長の居場所については「連絡が取れない。分からない」と繰り返した。
しかし、約三十分後には説明を一転させ、同じ社員が「九州事業所長の判断で焼酎の原料用に混ぜた」と故意だったことを認め、「申し訳ない」と謝罪。厳しい質問が続くと、新たな事実関係を次々と明らかにした。
「事故米が入った焼酎を飲みたいと思うか」と問われると返答に窮し、「分かりきったことを聞かないでください」と苦笑いする場面も。何度も「肩書はありません」と平社員の立場を強調した。
会見が始まって約一時間。社長ら会社幹部の居場所は最後まで分からないままで、一人で対応した社員が「月曜日にあらためて会見を開く予定なので」と幕引きした。
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