評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日: 2003/8/10〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成15年(2003)8月11日(月曜日)
通巻657号
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インドのソフト産業を脅かす(?)中国
訓練センターでITスペシャリストは中国国内に、やがて400万人ーーー米国企業もインドから中国シフトを開始した
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六年ほど前だったと思う。
大阪の実業家、冬木三男さんから誘われ、インドへ行った。インドはその前年にも行っているが、全日空がムンバイ(ボンベイ)線を新たに開くので株主相手に記念飛行のツアーがあるからと誘ってくれたのである。インド門の真ん前の宮殿のようなホテルに三泊した。
冬木さんは手広く食料の卸、流通、レストランを経営され、スペインにも米栽培の田園を所有されている。インド行きの目的の一つはインド米にジャポニカがあれば輸入の可能性を探りたい、という(各地の米問屋を回ったが類似米はあってもジャポニカはない)。
私にとってムンバイは二度目だったが、どうしても行きたい場所がある。
ムンバイから南へ飛行機で二時間、「インドの軽井沢」と呼ばれるバンガロールだ。
いまでこそ「インドのシリコンバレー」として有名だが、当時、日本企業は一社か二社しか進出しておらず、森嘉郎・首相がインド訪問でわざわざ特別機をバンガロールまで乗り入れたのは、それから三年ほど後のことだった。
実に美しい町で早朝に市内のレストランでメニューにビーフステーキがあったのには驚かされる。
(よく焼き討ちされないよなぁ)。
当時、冬木さんの取引先が大倉商事で、そのバンガロール支店のインド人がハイテク地区や古都のあちこちを案内してくれた。緑豊か、清潔なたたづまいで公園も多い。おまけにベネトンの支店まであって最新のファッションが溢れる。外国人が多いのである。
午前中、クルマで中心地区をみた。インド特有の乞食を見かけないので、
「さすがバンガロール、乞食がいないのですね」と感嘆して言うと、
「え? ここの町の乞食は昼から出勤してきます。まだ寝てますよ」とのこと。
さて、インドが中国との関係を劇的に改善したのは先月のパジパイ首相の北京訪問、このときインド財界は同時に上海を訪れていた。実はインドの上海投資は顕著な増加を見せているのである。
△コンピュータソフト産業が世界産業地図を変えてしまった
理由は何か?
コンピュータソフト産業である。
インド人が数学に異常な才能があることは世界的に知られているが、これに目を付けたアメリカ人がクリントン政権下の「インド経済制裁」の監視の目をかいくぐり、大々的な投資を敢行。ついに2000年にはクリントンが6日間もインドを訪問し、むろんバンガロールへ入って大歓迎を受けたのだ。
アメリカ人のコンピュータソフト・エンジニアは平均4000ドル。インドは700ドル、それが中国なら400ドルで済む。アメリカの十分の一、日本でも若手で3000ドルはとるから、競争力が何処にあるか、小学生でも判断出来るだろう。
まして広東の広州市、深せん市などは華僑系企業の電話センター化しており、保険、航空会社なども予約センターを陸続として中国へ移行させた。いくつかは英語に堪能な中国人オペレータが早朝から深夜まで働いている。
中国は英語が通じない国家として有名だったが、最近の高い進学率と留学ブーム、加えて外国語学校の増殖により、若者たちは必死で英語を覚える。
中国至る所、駅弁大学も出来た。
学生たちは日本の若い世代のやる気のなさとは対照的で、ハングリー精神を発揮し、瞬く間に言葉を習得してしまう。
その結果。
コンピュータソフト産業を支配する言語は英語。だからこそアメリカ人は最初にインドに白羽の矢を立てた。中国でのインド同様のビジネス展開が出来れば、もっと安く出来ると考えるのは企業家のイロハである。
中国のソフトウエア産業は過去三年に三倍、売り上げは50億ドル弱(インドは120億ドル)、ビジネスウィークの予想では2006年に中国のそれは260億ドルになり、インドを並ぶだろう(同誌8月4日号)とまで評価される。
アメリカが中国主要都市に進出して、コンピュータ・エンジニア養成の訓練センターを作った。
インドがこれに続き、いまでは中国全土200ヶ所に「訓練センター」を経営、数年以内に200万人の中国人エンジニアを養成し、2006年には400万人の中国人ITスペシャリストが誕生しているであろう、という。
「そのときにたとえ中国人の平均月給が700ドルに跳ね上がっているとしても、アメリカの4000ドルに比べれば、競争力が奈辺にあるか、改める必要もない。しかし懸念すべきは国内的に失業増大を伴い、アメリカにおける雇用が激減する危険性である」(同前掲誌)。
こうした世界的産業構造の地殻変動に日本企業は、いささか鈍感ではないのか。
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(自治調査研究会 勉強会のお知らせ)
とき 8月27日 午後六時(時間通りに開始)。
ところ 横浜西口 かながわ県民サポートセンター304会議室
講師 加藤 寛(千葉商科大学学長)
演題 「後輩の諸君につたえておかねばならぬ事」
会費 おひとり2000円
どなたでも。そのまま会場へお見えください。
問い合わせ (045)312−1121 or (263)0055
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http://hpcgi1.nifty.com/bellwoods/i-nikki.cgi
西尾幹二さんのHPですが、↑、ワインの随想の中に小生の話もでてきます。
http://j.people.ne.jp/2003/08/08/jp20030808_31388.html
三峡ダムの衛星写真を米国が公開↑
http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/seiron.html
小泉首相の靖国参拝を「精神的苦痛」と訴えた台湾人らの正体(林健良さんの「正論」への論文には驚くべき事実がかかれています。↑
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宮崎正弘の中国報告 新刊のご案内
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「本当は中国で何が起こっているのか」(徳間書店、1500円)
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宮崎正弘著 好評発売中“
小説「拉致」(徳間文庫、590円)
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