週刊金曜日第1回コンビニ問題勉強会

 

「名ばかり経営者」から脱しよう!

第1回コンビニ問題勉強会

7月31日(木)16時〜18時

 

昨日、週刊金曜日の主催でコンビニ問題勉強会があり自分も出席してきました。

各チェーン各地域のオーナーの他、マスコミ関係者も多く出席したようです。

全国FC加盟店協会のメンバーも数名いたと思われ、総勢30人前後でした。

今、週刊金曜日ではセブン−イレブンの記事を毎月特集しており、今後もこの雑誌の「タブーをやる」姿勢に期待したいと思います。

お世話になった編集部の山口舞子さんの話では、勉強会の最終目的として個別対応の他、オーナーの横の連携を応援することが挙げられていました。

業界外部の方がこのように親身になっていただけるのは、大変ありがたいことではないでしょうか?

 

勉強会の概要は以下のとうりです。

1.北村肇編集長あいさつ(約5分)

2.中村昌典弁護士講演(約1時間)

中村氏は7月4日の最高裁勝訴判決で主任を務められた最前線で活躍する弁護士です。

@請求書引渡等請求事件について(約30分)

A契約書の問題について(約30分)

3.質疑応答(約1時間)

10人くらいが質問に立ったのに対して、中村弁護士はていねいに答えてくれました。

かなり強烈な方が多いなかで、僭越ながらぼくも質問させてもらいました。

目からうろこの内容もあり、すっきりした次第ですが、今さらながら「本部独り勝ち」の現状が明らかになりました。

 

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中村昌典弁護士講演内容

1.請求書引渡等請求事件について

 

請求の内容

オーナー対ベンダーの取引なのに、個別の仕入れ値はわからない。

個別商品の仕入れ値・値引き・支払日。

ベンダーに領収書・請求書を求め、本部には報告を求める。

 

法的構成

@私人間でどのような契約をしようと自由(私的自治の原則)だが、

民法・商法に反する契約は無効であるし、契約にない部分は民法・商法

が適用となる。

仕入れ決済代行の事務の委託は、民法の準委任契約(656条)にあたり、

本部は受任者として報告義務がある。

A領収書・請求書を渡すのは、商慣習上あたりまえ。

税法上も領収書の保管義務がある。

BCタイプ契約書35条には何を渡すか書いていないが、

税務会計上、青色申告に必要な書類である。

また、次の条で本部に領収書を提出することになっているので、

同様に本部も領収書を渡さなければならないはず。

 

請求棄却の内容(本部の主張)

@フランチャイズ契約は、民法に規定のない非典型契約であるし、

民法は適用できない。

A商慣習とまでは言えない。

B(仕入れ値を隠しているのは認めたが)

グループ別の商品ごとで、値引きで割り戻したのは分かる。

実質の仕入れ値を教えて、同業者にばれた場合、

フランチャイズシステムが崩壊する。

 

最高裁判決

@支払い代行は、民法上の準委任契約にあたる。

A商品の仕入れは加盟店経営の根幹を成すものであり、

加盟店経営者が、仕入れ代金の支払いについて、

具体的内容を知りたいと考えるのは当然である。

B契約に定めがないからと言って報告義務がないとは言えない。

本部の報告義務を認めた。

 

義務の具体的内容について高裁で審理する。

仕入れ値・値引き・支払日のみならず、期間の限定もないので、

全面的に報告するという意味。

中抜きがされているかは、まだ分からない。

9月5日は傍聴できない。口頭弁論は10月以降。

フランチャイズ契約に民法の適用があるとした初の判例で、

他チェーンも従うことになる。

 

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2.契約書の問題について

(なぜ、名ばかりオーナーと呼ばれるのか)

 

契約書には、オーナーの義務しか書かれていない。

ことごとく、本来あるべき権利は制約されている。

契約前に相談されたとして、どんなに良い店をもらっても、

「この契約書では、ちょっと・・・危険すぎやしませんか?」

と申しあげる他ない。

 

セブン−イレブンCタイプ加盟店基本契約書

http://www.eva.hi-ho.ne.jp/misako_itoh/sue711/sej_fc_agreement.html

 

@売価の決定と値引き(セブン−イレブンCタイプ契約書30条)

 

オーナーが自分の小売価格を自分の判断で決定。

オーナーがひとたび決定した小売価格は、オーナーを拘束する(なぜ?)

小売価格を変更する場合、一定の様式で本部に通知しなければならない。

 

○いくらで売るか原則自由

○推奨小売価格を変更するには、大変な手続きがいる

○大変な手続きを入れることで、価格を変更させたくない

○介入できるようにしている

 

(依頼者の例)弁当等の値引き

現場のOFCは邪魔しに来る。

なぜ、妨害するのかと言うと、ロスチャージとの話が出てくるから。

 

控除項目の売上原価から、廃棄を控除するので、マイナスのマイナスはプラスになる。

極端に値引きすると、ロスチャージが取れなくなる。チャージが減る。

1円まで値引きをすると、内容証明で来た。

チャージを不当に免れているとの内容。

 

最後、裁判所の調停で、本部は弁当類の5割程度の値引きを認めた。

(口頭で、ある程度の値引きは良いと裁判官の前で認めた)

 

セブン−イレブンはロスチャージは取ってないと言っている。

しかし、値引きをすると、チャージを免れていると言って妨害してくる。

 

A期限前解約(違約金)と契約更新

 

a.やむをえない事情で解約するのに違約金を払えと書いてある(45条)

15年やろうと思っていたが、売上不振等でそれができなくなった。

仕方なくやめたい、どうしようもないのでやめたい。

この場合でも、一定の金額を別途払えと書いてある。

違約金でやめにくくしている。

 

b.本部からの契約解除事由と、オーナーからの契約解除事由が偏っている(46・47条)

本部からは、たいしたことないのになんでも解除できる。

オーナーからは、民法でも解除できるようなことしか書いてない。

(重大な債務不履行・催告しても見直さない等)

一方にやめさせる権利がたくさんあって、一方にはない。

 

c.契約更新権がオーナー側にあるか?(42条)

店がうまくいって15年経ち、契約更新を望んだ場合。

契約更新がオーナーの権利として書かれていない。

新しく合意ができないと終わる。

本部がノーと言ったら、せっかく15年かけてりっぱになったお店をやる権利がない。

(15年でチャージ下がってからが勝負と思っていたら、本部に楯突いたお前とは更新しない等)

 

不当な話だが、契約書にはそうとしか書かれていない。

 

結論として、商売のやめ時を自分で決められない。

 

E相続権と譲渡権

 

これも権利として契約条項にない。

もし、万が一の時息子に継がせたい→どこにも書かれていない。

むしろ、オーナーの死亡で終わってしまう書き方をされている。

 

商売をやめるけど、営業権をプレミアム付けて売る→×

不振店を売る→×

良いお店になったので誰かに継がせたい→×

 

15年働いていただいてありがとう、サヨナラみたいな・・・

 

B会計問題

 

セブン−イレブンが帳簿を付けることになっている。

本部に言わせると、オーナーさんのためにやっている。

難しいことは全部本部のコンピュータでやってあげます、

ということになっている。

逆に、どうなっているか自分でやるから、見せてくれ、返してくれ、

ということができない。

それが、仕入れ・報告に関して裁判につながった話。

オーナーのためと言いながら、そこが本部の一番したくない

領域になっていて、ブラックボックスだ。

中抜きしているかは分からないが、決して見せようとしない。

公明正大であるなら、知りたい者には当然見せて良いはずなのに、

・・・そうでない。

アメリカの契約書を見ると、お互い帳簿を精査する権利がある、

と書いてある。

だから、この契約書は日本に持ってきた時に、そこを非常にいじって、

本部にしか分からないしくみに変えたんだろうと思う。

このしくみについては、なぜか他の本部も横並びになっている、

と思います。

 

C売上金は自分の物か?(送金義務・26条)

 

毎日、これを本部の指定する口座に振り込む。

本部の許諾と協力によるセブン−イレブン店経営の成果であって、

オーナーが個人で自由に処分できるお金でない。

自分で商品を仕入れて商品を売ったのに、

売った瞬間自分のお金かどうかわからんという話に契約上されている。

しかも、営業費として引いて良いのは決まっている。

オーナーに戻されるのは、月次引出し金と呼ばれる毎月決まった額。

本部は売上金に利息をつけない。

他方、オープンアカウントがマイナスになると、そっちには利息をつける。

売上金は、本当は自分で稼いだお金なのに、

自分のお金を自分で借りて利息を払う話に成りかねない。

 

もっと恐ろしいのは、26条3項。

売上の送金義務を履行しない時には、

セブン−イレブンシステムの運営の阻害を防止するため、

本部はオーナーに代わって、売上および金銭出納管理ができる、と書いてある。

要するに、売上金から何か営業費にならないものを支出したりすると、

途端に本部の店舗指導員が飛んできて、「オーナーさんレジにさわんないでください」

という権利がある。

レジ管理しますと言った瞬間に、オーナーはお金に一切さわれない。

本部社員がレジのお金を送金する。

 

仙台で依頼者が実際にやられた。

24時間OFCが駐車場に張って、1時間おきにレジのお金を抜きにくる。

実際にそこまでやってしまう体質なんかは、どうかと思いますが、

契約書にこうやって書かれているということは、その意味では、

オーナーに売上金にさわる権利はないんじゃないですか?

と思います。

 

よく、こんな恐ろしい契約書に、皆さん、ハンコを押されましたね、

と申し上げたくなるのが、正直なところですね。

 

実際やるかどうかはともかく、やられる可能性がある。

 

D営業時間(23条)

 

一旦、24時間で契約してしまうと、なかなか変更がきかない。

年中無休で24時間が契約上の義務。

ということは、勝手に閉められない。

 

ローソンの契約書: 冠婚葬祭については本部の指示をあおげと書いてある。

セブンは、冠婚葬祭であっても勝手に閉められない。

ローソンは、本部の指示をあおげと書いてあるだけ、まだマシかもしれない。

 

いつ商売するかは、オーナーが自分で決めることではないかと思うが、

契約上はこれが義務になっている。

 

今、CO2の問題で、地方自治体と本部がいろいろやってますが、

なぜ、オーナーの意見を聞かないのか?と思う。

 

F毎日高いロイヤリティを払って、本部は何をしてくれるのか?(27条)

 

販売促進の広告宣伝をする他、店舗に担当者を派遣して・・・等

助言指導をすると書いてある。

ただ、どこまで助言指導をやらなければいけないかが、何も書いていない。

本当は、個店に対して必要・適切な助言指導を行なってもらいたいし、

そのために、ロイヤリティを払っている。

現場にやってくる指導員は、本部にこの地域ではこれを売れ、

と言われてやってきたよ、本部の助言指導の意味はあるのか?

というレベルの人もいる。

ただ、そういう指導員をよこしてるからといって、

本部の債務不履行や損害賠償・契約解除とは、なかなかこうはならない。

 

サンクス?で争った事案: 週に一度も来ない、たいしたレポートも置いていかない。

下級審の例では、そこまで具体的に書いてないのだから、そうした状況でも、

債務不履行にはあたらないとした。

 

番外編: テリトリー権(6条)

 

セブン−イレブンは経営してもいいけど、テリトリー権はないよ、

と書いてある。

ドミナントで50m先に出されても、文句は言えないよと書いてある。

他方、セブン−イレブンかどうか忘れましたけど、

テリトリーを認めないくせに、その市には出すなとか、

コンビニもどきをやるなと書いてある契約書があったりするので、

本当にびっくりする。

 

いったい、オーナーに与えられたものは何だろうか?

 

契約条項には恐ろしいことがいっぱい書いてあります。

 

御自身で是非、今日帰ったら契約書を見ていただいて、法的にはこういったところが

権利性が剥奪されているということを御確認いただいて、問題提起とさせていただきます。

 

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第2回コンビニ問題勉強会の予定は、8月21日(木)16時〜18時。

なんと、講師は北野弘久教授です。

皆さん、これは絶対参加せねばなりませんね。

 

週刊金曜日↓

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セブン−イレブンをはじめコンビニ問題の記事が毎月特集されています。

 

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2回目の勉強会の申し込みはお早めに !!

 

「名ばかり経営者」から脱しよう

第2回コンビニ問題勉強会

8月21日(木)16時〜18時

東京・貸会議室「内海」(水道橋駅西口1分)

講 師 北野弘久(弁護士)

参加費 無料(*要申し込み、締切8月19日<火>)

主 催 週刊金曜日

問合せ TEL03・3221・8527(山口)

    Mail yamaguchi@kinyobi.co.jp