報道陣の質問に応じる三笠フーズの財務担当社員=5日午後4時13分、大阪市北区梅田1丁目、山本裕之撮影
農林水産省は5日、米販売会社・三笠フーズ(大阪市北区)が工業用に限った用途で仕入れた「事故米」を、食用と偽って転売していたと発表した。事故米からは、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件でも問題になった有機リン系の農薬成分・メタミドホスや、発がん性が指摘されているカビ毒のアフラトキシンB1が検出されている。同社の工場がある福岡県は、食品衛生法(有害食品などの販売)に基づき回収命令を出した。
事故米は菓子や焼酎の原料として加工されたとみられるが、農水省は、アフラトキシンについて「三笠フーズが発生したカビの塊を抜き出して米粒を洗浄するなどして出荷しており、健康被害の心配はない」、メタミドホスについても残留基準(0.01ppm)の5倍程度であり「すぐには健康被害のおそれはない」とみている。
メタミドホスが検出されたのは、もち米で、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき03年度に政府が中国から輸入した。その後、導入された残留農薬を厳しく規制する「ポジティブリスト制度」によるサンプル検査で、基準値を超える量が検出された。
このため、政府は「主に合板を作る時などに使う工業用ののりに使い、食用には流通させない」との条件で、06年度と07年度に入札を実施。いずれも三笠フーズが落札し、計800トンを仕入れた。しかし、同社は、食用と偽って仲介業者などに販売していた。未出荷分を除く295トンが米菓子や和菓子メーカーなどで加工された可能性があるという。
三笠フーズは、アフラトキシンが検出され事故米となったベトナム、米国、中国産の米計約9トンも仕入れていた。このうち、少なくとも鹿児島、熊本両県の焼酎会社3社に計3トン弱、福岡県の肥料会社には390キロが売られていた。
同社は03年度以降、政府の事故米を毎年仕入れており、農水省は、ほかにも食用と偽って流通させた疑いがあるとみている。三笠フーズは帳簿類を改ざんしており、農水省は会社関係者から詳しく事情を聴き、流通経路の解明を進めている。
この問題は、8月22日と27日に農水省の食品表示110番に「工業用米を食用に横流ししている」との通報があり、立ち入り調査で発覚した。三笠フーズの冬木三男社長が4日夜に食用として流通させていたことを認めたため、調査途中で公表に踏み切った。
◇
〈事故米〉 ウルグアイ・ラウンド合意で日本が輸入を義務づけられた米の一部で、検査などで食用に適さないと判断された分。年間2千トン程度あり、10社程度が購入している。工業用のりの原料のほか、灰にして建設資材に使うために売られることもある。1トンあたり平均で6千円程度。輸入米は全体で現在、年間77万トンにのぼる。みそ、焼酎、せんべいへの加工用が最も多く1トン8万円程度で年間20万〜30万トンが売却される。ほかにも飼料用、外食用としても売られ、海外への援助用にも使われる。