【タイ】韓国政府が2日、反政府デモ拡大を受け、タイの大部分の地域を「渡航自粛地域」に指定したことで、タイと韓国の摩擦が生じている。
5日付韓国紙朝鮮日報によると、今月19日に両国の国交樹立50周年を記念して行われるタイ王室のための祈祷(とう)行事をめぐり、王室関係者が2日にタイ韓国人会の幹部と会った際、王室側は「デモの規模は韓国のほうが大きいのに、韓国はなぜ真っ先にタイを渡航自粛地域に指定したのか」などと強い不満を表明したという。
同紙によれば、タイ王室の秘書官は「韓国でも牛肉輸入反対デモの際、ソウルのど真ん中で警察とデモ隊が衝突したではないか。それなのに、タイは国民に韓国に行くなとは言わなかった」などと述べた。
韓国政府は今回の措置で、もともと「渡航制限地域」としていたタイ深南部4県を除く地域を「渡航自粛地域」に指定した。在タイ韓国大使館は「タイ王室の不満を間接的に聞いているが、国民の安全が最優先であり、渡航自粛勧告は当然の措置だ」と説明している。
タイでは5月末からバンコクで数千人規模の反政府デモが続き、8月下旬には首相府、国営テレビ局、リゾート地のプーケット空港などが反政府派に占拠された。首相府の占拠は現在も続いている。また、今月2日には政府支持派と反政府派の市民グループの衝突で1人が死亡、約40人が負傷し、タイ政府がバンコク都内に非常事態宣言を発令した。
これを受け、シンガポール外務省は2日、バンコクへの不急の渡航を延期するよう勧告。タイに渡航するシンガポール人に対し、現地情勢に十分注意するよう呼びかけるとともに、渡航前にシンガポール外務省のウェブサイトに渡航情報の登録を求めた。また、日本、米国、カナダ、オーストラリア、フランス、ニュージーランドなどがタイに渡航、滞在する自国民に注意を呼びかけた。