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【主張】自民党総裁選 日本をどうすべきか語れ
10日告示・22日投開票の自民党総裁選候補者が出そろいつつある。
派閥の枠にとらわれず、複数の候補者が政策論争を深めることは自民党を活性化するだけでなく、日本が抱える内政外交の諸懸案を解決する処方箋(せん)を示すことにつながる。
日本をどうするかの議論を大胆に逃げることなく、提起してほしい。切磋琢磨(せっさたくま)を期待する。
固まってきた候補者は、近く公約を発表する麻生太郎幹事長に加え、出馬の意向を示した与謝野馨経済財政担当相、石原伸晃元政調会長だ。小池百合子元防衛相も出馬の環境をほぼ整えた。
この顔ぶれによる対立軸は経済政策だ。景気対策を優先する積極財政路線の麻生氏に対し、与謝野氏は消費税上げの必要性を提唱する財政再建路線を打ち出している。石原、小池両氏は経済成長と歳出削減で増税を避けるとする上げ潮派に近いといわれる。
先月末に決めた総合経済対策では所得税などの定額減税の年度内実施が盛り込まれたが、その財源をどうするか。麻生氏は赤字国債発行も辞さないとするが、与謝野氏は否定している。景気浮揚になるかどうかも詰めてほしい。
来年度からの基礎年金の国庫負担割合引き上げの安定財源確保を含め、消費税は避けて通れない。改革に伴う痛みから逃げる傾向があるが、小泉政権以来の構造改革路線への見解も知りたい。
外交・安全保障に関し、麻生氏は自国タンカーの護衛に言及したが、国際共同行動にどう関与していくかも争点だ。福田政権が黙殺した憲法改正や集団的自衛権の取り扱いも明示すべきである。
立候補には20人の推薦人が必要だが、派閥次元で締め付けがあるようだ。派閥の損得勘定がまかり通るようでは自民党は国民の信を失いかねない。
退陣を表明した福田康夫首相には苦言を呈したい。首相は3日の自衛隊高級幹部会同に出席せず、代理も立てなかった。自衛隊の最高指揮官として綱紀粛正などを訓示する責任があった。職務放棄と言わざるを得ない。
新首相が選出されるまで福田首相は日本の最高指導者である。その間、いかなる緊急事態が起きたとしても厳正かつ果敢に対処せねばならない。
国民が一時も不安を抱くことがないよう統治を揺るぎなくすることが指導者の務めである。