国際結婚の悲劇
はじめに
TV関係者、芸能人の国際結婚がマスコミに報道され、適齢期の女性には一種あこがれるものに写るようである。国際結婚であれ国内結婚であれ、うまくいく場合とそうでない場合がある。すなわち、離婚はある。国際結婚で海外在住での離婚は、厳しいものもある。そこで、国際結婚・離婚の状況、ヨーロッパでの日本人女性のケースを紹介し、国際結婚を考えてみるものである。
1.国際結婚の現状
国際結婚の件数について、厚生労働省統計表人口動態(下図参照)によれば1985年では12,181件が登録されていて、2001年には39,727件となり、実に326%の伸びをしめしている。これは、日本人同士の結婚の同期間の伸び率105%に比べ3倍以上の伸び率である。
厚生労働省人口動態統計から作成した
国際結婚の離婚については、下図でみるように1994年7,737件が2001年では13,337件で176%の伸びとなっている。また、日本人同士の当該期間の伸び率は、145%である。離婚についても、日本人同士の離婚を上回っている。
厚生労働省人口動態統計から作成した
上記から、国際結婚が盛んになっている様子が窺われる。また、国際結婚の増加と同様にその離婚も増えている。
2.出会い
ヨーロッパの在住経験から、出会いの典型的な例として、日本人女性が日本の大学で当該国の語学を勉強し、語学を伸ばすために当該国を訪れ、現地の人と接触を行い、恋愛に発展して結婚ということになる。国によれば、恋愛をゲームのように捉えている男性もおり、日本女性の純心さが通じないものもある。その国では、日本人女性が泣き寝入りすることが多いと聞く。
3.破綻の原因
恋愛の後、結婚となり、幸せな生活が営まれる。しかし、子供が誕生し1〜2年後状況が一変する。それは、「子育て」についての認識が異なるために起きるようである。例えば、日本人女性は、子供が万一転ぶことがあれば、飛んでいって起こしてやる。ドイツあたりでは、「自立」を小さい時より教える習慣があり、基本的には、転んでも自分で立つまで待ち両親は手を貸さない。このように、基本的認識が異なるため男性側からすると日本女性の子供に対する「甘やかし」に我慢ができなくなる。この子育てが引き金となり、諸々の問題のとらえ方等に違いを認識しはじめついには離婚となる。宗教・文化・習慣・伝統の違いを思い知ることになる。
4.離婚後の生活
ヨーロッパ在住で現地の人と結婚した日本女性の多くは、日本のパスポートを所有していると聴く。従って、事あらば、日本に帰国する。しかし、中には日本へ帰れない人もいる。帰られない理由として、面倒みてくれる家族が日本にいない、外見から日本人でない子供に対する「いじめ」、帰国しての生活の不安などによるようである。インターナショナル・スクールが日本にもあり、「いじめ」は回避することもできるが、費用が高い。一方、公立の学校では、帰国子女でも「いじめ」に遭うとのことである。
帰国を断念した場合、当該国で母親と子供の生活が始まる。仕事を見つけることが難しく、日本人駐在員家族への語学の家庭教師などをやることになる。無論、少額であるため厳しい生活を強いられているようである。ちなみに、男性からのサポートは、ほとんどないようである。離婚後、多くの男性は、別の女性と時間を空けることなく一緒になるようである。
5.国際結婚に求められるもの
特に国際結婚で求められるものとして、相手の人の国(宗教・伝統・習慣・文化等)を十分理解しておかなければならない。ドイツあたりの例では、ドイツ男性と有色女性(その逆も)とのカップルは、場合により、正式なパーティへの出席を断られることもあると聴く。偏見は、残念ながらある。 パスポートは、当面、当該国のそれにしない方が万一のことを考えると良いかもしれない。
おわりに
統計からも、国際結婚が増加している。また、残念ながら離婚も増えている。国際結婚で重要なことは、相手の宗教・伝統・文化・習慣を十分理解していないと破局が訪れることになる。外地在住の場合の離婚は、厳しいものがある。色々なことを考慮して、特に、国際結婚は行ってもらいたいものである。
若い日本女性を後悔させないためにも関係機関は努力することが求められる。
参考文献
厚生労働省人口動態「婚姻件数」「離婚件数」
石川雄久「結婚」京大ユニセフクラブ1998年研究発表『こころの国境線〜ニューカマーと私』
2003.9.28執筆