ソニーは4日、07年5月〜今年7月に製造したノートパソコン「VAIO(バイオ)TZシリーズ」のうち国内で出荷した19機種計約6万7000台を自主回収し、無償修理すると発表した。電源差し込み口周辺や液晶画面の枠が高温になり、変形することがあるという。全世界では280機種、44万台にのぼる。同様の報告が世界で209件(うち国内83件)あり、軽いやけどの報告も7件(同5件)あった。米国でも7万3000台の回収を発表しており、順次、全世界で同様の対応をとる。
本体と液晶画面をつなぐ配線が、開閉を繰り返すうち金属部品と接触してショートする可能性があるという。ソニーは昨年8月に顧客から問題を指摘されたが、公表まで1年以上かかった。経済産業省への報告も今年8月中旬。ソニーは「原因究明と対策に時間がかかった」と説明しているが、対応の遅れに批判が出そうだ。
経年変化で配線が劣化するのが原因で、不良部品を交換する。7月8日以降に生産した製品は設計変更し、問題ないという。ソニーは「業績への影響は軽微」と説明している。
ソニーはノート型パソコンに搭載したリチウムイオン電池で、製造過程の不具合による発火事故が06年に相次いで発生。他社製パソコンに搭載した電池も含め約960万個の回収に追い込まれ、355億円の損失が出た。最初に発火事故がわかったのは05年12月だったが、ソニーの発表は06年10月と遅れ、被害が拡大したと批判された。【秋本裕子】
◇回収対象のソニー・バイオ19機種
国内の回収対象機種は、07年5月発売の90HS、90NS、90S、50B▽07年9、10月発売の91HS、91NS、91S、71B▽08年2月発売の92HS、92NS、92S、72B▽08年5月発売の93NSの一部、93Sの一部、93USの一部、73Bの一部▽免税店などで販売する外国人向け機種の37GN/Bの一部、27GN/B、17GN/B。問い合わせはフリーダイヤル0120・899・773。
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