私自身,いつかは児童精神科を自分の専門分野としてやっていきたいと思っています。
そしてそのために,普通の臨床のなかではとっても貴重な,こどもさんを診させていただく数少ない機会を大切にしようとずっと意識してきました。
今こどもさんが生じている心身の症状や不適応状況を解決するにはどうすればいいか,どうすれば「出会って間もない赤の他人」の私がこどもさん本人やご家族に対して有効なはたらきかけを行えるのか。
そんなことを意識しながら,こどもさんの診察の経験を少しずつ積み重ねてきました。
でも,ようやく最近になって,「こどもに関わる専門家だからこそ,こどもの人生を長期的な目で見られるようにならなくてはいけない」という気付きに辿り着きました。
考えてみたら,あたりまえのことなのですけど。
保育園や幼稚園から小・中・高,それから大学や専門学校,あるいは就労…,
こどもたちが成長する過程で触れ合えるおとなはたくさんいるけれど,よく考えてみると,たとえば小学校の先生なら担任をしている1-2年間だったり,中学校の部活の顧問なら在学中の3年間だったり,関われる期間が限られているおとなたちがとても多いですよね。
そんななかで,無期限で関わることができる,時間制限なくお付き合いができるのは親御さんと友達と,それから私たちくらいなのかもしれない…。
長くお付き合いするなかで,成長した部分を一緒に喜んだり,学校の先生方のように期間限定で関わってくださる専門家とこどもさんやご家族との橋渡し役をしたり,いつか就労して自立するこどもさんの姿をイメージしながら成長・発達過程でその時々に身につけるべきスキルが得られるよう工夫したり。
そういう役割が求められるケースもじつはたくさんある,ということを意識しておかないといけないな,と思ったわけです。
たとえば,発達障害のある小学生のこどもさんと出会ったら,その子が仕事をして生計を立てるところまでイメージして,そこへ向けて支援していくとか。
もちろん,支援なんてもう要らないよ,と言われてもへばりついていくなんて野暮なことはしたくないけれど,何かのサポートが必要なときにはすぐにお手伝いが再開できるくらいの心づもりでいたいもの。
児童精神科になりたいと思っていても,いや,なりたいと思うからこそ,おとなになってからの,たとえば就労支援なども含めたライフサイクルのどの段階にもサポートできる精神科医でありたいな,と思います。

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