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2008年9月5日

 銅メダルをもらうことになっても、おそらく本人も複雑な心境に違いなかろう。ハンマー投げの室伏選手は、前回も繰り上げ「金」だった。いずれも上位選手の禁止薬物使用が発覚したからで、これでは競技自体が白い目で見られかねない

とぼけたり、シラを切っても、尿検査はウソを見破る。五輪の不正摘発に限らず、大相撲の屋台骨を揺るがす大麻疑惑も早晩、黒白がつくというから、おろそかにできぬ液体である

不正メダルがあれば、不正合格もある。きのうの大分教員汚職事件初公判で、被告4人が起訴事実を認めた。不正が確認された21人の教員は失職する。点数のかさ上げをまったく知らなかった、とそろって嘆いたと報じられた。本当ならば、同情に値する

禁止薬物使用がやまないのは、検査をすりぬける不正の手口が巧妙化しているからといわれる。新たな検査法が開発されるたび、それをすりぬける悪知恵が巡らされ、こんなイタチごっこが繰り返されているという

五輪大会も教育現場も、夢と情熱が期待される美しい舞台である。だからこそ、不正の汚点はひときわ醜く映る。


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