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「長島昭久を育てる会」

国会質疑

2006年2月14日

【会議録】第164回 予算委員会

【大島委員長】

これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。
次に、長島昭久君。

【長島委員】

民主党の長島昭久です。
本日は、上海総領事館の館員の自殺事件について質疑をさせていただきます。
まず冒頭に、亡くなられました領事官の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。(発言する者あり)領事カンのカンは官という字ですから。

【大島委員長】

 静かに。

【長島委員】

 せんだって、二月の八日に私の同僚高山議員から、政府の情報収集あるいは情報伝達に絞って質問をさせていただきましたところ、インテリジェンスにかかわる問題だということで十分な御答弁をいただけなかった。もちろん、国益の観点から考えれば、どういう情報に政府が関心を持って、そしてそれをどのように収集し、そしてそれをリレーしていくかということについて、こういう公の国会の場ではなかなか答弁しにくい、こういうこともよく理解をしているところであります。
 一方、憲法五十七条では秘密会という規定がございます。出席議員の三分の二の多数で議決をした場合には秘密会を開催することができる、こういう規定でございます。
 私は、本件、これから議論をしてまいりますけれども、この本件の重要な意味、重大性にかんがみて、場合によっては、秘密会という方式で政府と我々立法府との間で正確な情報交換、情報共有をする必要があると思いますが、官房長官、御所見をいただきたいというふうに思います。
〔委員長退席、茂木委員長代理着席〕

【安倍国務大臣】

 秘密会を開くかどうかということにつきましては、院で御議論をいただき、御決定をいただきたいと思います。

【長島委員】

 官房長官、開くか開かないかということよりも、もしこういうケースで開いた場合に、政府として御協力いただけますか。

【安倍国務大臣】

 事柄の性質上、その場において我々が公表できるもの、また公表できないものもあると思いますので、それは、しっかりと精査をしてみないと今の段階でお答えはできません。

【長島委員】

 それでは本題に入りたいと思います。
事実をまず確認しておきたいと思いますが、二〇〇四年の五月六日、在上海総領事館の館員が亡くなられました。自殺ということであります。外務省の発表によれば、いろいろ言っておりますが、いろいろなプライバシーの問題もあって公表を差し控えるが、死亡の背景には、現地の中国側公安当局関係者による、領事関係に関するウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があった、このように報告をされております。
まず外務省にお尋ねをしたい。中国側公安当局関係者とは、具体的にはどういう方々でしょうか。

【塩尻政府参考人】

 お答え申し上げます。 今の御質問でございますけれども、その点については、インテリジェンスの問題にかかわりますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

【長島委員】

 インテリジェンスの関係は全然ありませんよ。これは非常に重要なんです。どういうグループにプレッシャーをかけられたのかというのは非常に重要なんですよ。
後でまた少し議論をすることになると思いますが、亡くなられた領事館館員の方を検視したのは、これも外務省の発表によると、中国側公安関係者、こういうことになっているんですね。事実でなければ訂正していただきたいと思いますが、ここでいう、つまりは、今の外務省の発表によれば、領事関係に関するウィーン条約の接受国としての義務に反する行動をした公安関係者と亡くなられた領事館員の検視をした公安関係者とどういう関係にあるのか、具体的にお答えください。
〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕

【塩尻政府参考人】

お答えいたします。 それから、検視でございますけれども、これは、上海市内の病院におきまして、上海市法院、これは日本の裁判所に当たるような機関でございますけれども、その監察医によって行われております。ただ、その場には総領事館の医務官が立ち会っております。

【長島委員】

遺憾な行為は脅迫のたぐいだという今お話がありましたけれども、外務省として、事件が起こった五月の六日以降どの段階で、かかる条約違反の遺憾な行為が行われたと認識しましたか。認識に至ったタイミングについてお答えください。

【塩尻政府参考人】

 事件が起きました五月六日以降、我が方において調査をいろいろやりました。その結果、先ほど申し上げましたように、ウィーン条約に反する遺憾な行為があったということで、直ちに中国側に対して厳重な抗議を行うとともに、事実の究明を行ったということでございます。

【長島委員】

 いつかを聞いているんです。日時をはっきりさせてください。これはインテリジェンスでも何でもありませんよ。

【塩尻政府参考人】

 いつ中国側に対して抗議を行ったのかという……(長島(昭)委員「違う、違う」と呼ぶ)

【大島委員長】

官房長、よく質問者の内容を聞いて、確かめてお答えしなさい。
もう一度、長島昭久君。

【長島委員】

官房長、よく聞いてください。
ウィーン条約違反の遺憾な行為が行われたと外務省が認識をしたのはいつかと聞いているんです。

【塩尻政府参考人】

今、答弁が途中になりましたけれども、中国側に対しては、最初に五月十二日に抗議を申しております。したがいまして、五月六日に自殺が発見された以降、この十二日の間にそういう判断をしたということでございます。

【長島委員】

その認識に至ったときに、外務省としては、今おっしゃいました五月十二日に最初の抗議が行われた、五月六日に事件が起こった、その間に認識をしたということですね。もう一回確認させてください。

【塩尻政府参考人】

そのとおりでございます。

【長島委員】

大分想定外に答弁が混乱されていると思うんですが、事件の全容、真相を解明するために、外務省は独自の監察査察担当参事官を現地に送りましたね。それはいつですか。

【塩尻政府参考人】

お尋ねの監察査察担当参事官の上海の派遣でございますけれども、平成十六年の五月十六日から二十日にかけて派遣しております。

【長島委員】

五月十六日から派遣された監察査察担当参事官のミッションは何ですか。

【塩尻政府参考人】

監察査察担当参事官のミッションでございますけれども、幾つかございます。 まず、事実関係の究明、さらなる究明ですね。それから秘密保全体制の点検、それから再発防止策の検討、それから館員のメンタルヘルスの問題の対応ということでございます。

【長島委員】

ということは、その監察査察官による調査の前に既にウィーン条約違反というふうに外務省としては断定をして、先方に最初の抗議を行った、間違いありませんか。

【塩尻政府参考人】

そのとおりでございます。

【長島委員】

では、そのように断定した根拠は何ですか。

【塩尻政府参考人】

本件につきまして、我が方として領事関係に関するウィーン条約上の接受国の義務違反があったということの判断をした最大の根拠というのは、死亡した館員の遺書の内容でございます。
我が方として、事件発生後、できる限りの調査をいたしておりますが、その結果、遺書の内容以上の情報は得られておりません。それで、この遺書の内容から、館員の自殺の直接の原因となったものは、現地の中国側公安当局関係者による脅迫、恫喝ないしそれに類する行為であったというふうに判断しております。

【長島委員】

ウィーン条約違反、脅迫、恫喝、外務省としてこの事件を、当時、我が国の国家主権に対する、あるいは我が国の国民の生命に対する重大な侵害行為であったという認識はありましたか。

【塩尻政府参考人】

おっしゃるとおりでございます。
本件は、先ほどお話ししましたように、現地の中国側公安当局関係者による遺憾な行為によって自殺に追いやられたということで、当然のことながら、極めて深刻な問題として受けとめ、対処してきたということでございます。

【長島委員】

その対処の仕方についてこれから議論していくわけですけれども、もう一回繰り返しますが、本件は、我が国の国家主権に対する重大な侵害、そして我が国の国民の生命に対する重大な侵害、これはダブルカウントですよ。二重の、しかも重大な侵害行為が行われた。
官房長官、官房長官は昨年の十二月二十七日の記者会見で次のようにコメントされています。指摘のような事案が発生する場合には、当然ながら、相手国政府に対する抗議も含め適切な対応をすることになると考えている、こうおっしゃいました。
こういう今申し上げたような重大事案に対する対応の仕方、官房長官として、どんな対応をすることが適切だというふうにお考えですか。

【安倍国務大臣】

今回の事案において外務省がとったいわゆる対応のごとく、しっかりと先方に対して抗議をすることが必要であるというふうに考えています。

【長島委員】

官房長官、抗議だけですか。必要な、適切な対応というのは、抗議をすることだけでしょうか。

【安倍国務大臣】

主に抗議を行うということでございます。
今回の事案におきましても、その抗議については、累次にわたって中国側に抗議をしているというふうに承知をしております。

【長島委員】

それが全くなされていないんですね。まともな抗議がなされてこなかったというのが実態なんです。
最初の抗議、さっきおっしゃいました五月の十二日、だれが、相手側のどなたに、どういう形の抗議を行いましたか。

【佐々江政府参考人】

お答え申し上げます。
最初の抗議につきましては、平成十六年の五月十二日でございますが、我が方でございますが、在中国大使館の公使から当時の外交部アジア司副司長に対して申し入れを行っております。
申し入れの基本的内容につきましては、先ほどお答えしましたとおり、ウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があったということで、厳重な抗議と事実関係の究明を求めたということでございます。

【長島委員】

最初の抗議は上海で行ったんじゃないんですか、局長。

【佐々江政府参考人】

私どもの理解している範囲では、最初の抗議は、この五月の十二日の中国大公使による抗議であるというふうに承知をしております。

【長島委員】

亡くなられた電信官の直接の上司である杉本総領事の抗議は、それではいつですか。上海総領事館の杉本総領事の抗議は、いつ、どういう相手に対して行われましたか。

【佐々江政府参考人】

当時の上海総領事から申し入れを行ったのは五月の中旬でございますが、上海市の当局の関係者に行ったということでございます。

【長島委員】

上海市の当局、何でぼかすんですか。北京の中国大使館の公使の抗議の相手についてはきちっと官職名もおっしゃいましたね。杉本総領事の相手の官職名を濁すのはどういうことですか。みんな疑っているから、私聞いているんですよ。ちゃんと外務省がやっているかどうか、国民みんな不信感を持っているんですよ。ぜひこの場で不信感を払拭してください。

【佐々江政府参考人】

委員御承知のとおり、この問題というのは、諜報の世界、諜報の問題が鋭く関与をしております。当時、上海総領事は、適切だと思う当局の関係者に申し入れたということで御理解願います。

【長島委員】

北京の大使館の公使の抗議は、報道されているところによれば、本省からの訓令に基づく抗議と承っていますけれども、正しいですか。

【佐々江政府参考人】

そのとおりでございます。

【長島委員】

北京の大使館は本省からきちっと訓令で指示をして、きちっと抗議しろ、こういう話ですね。総領事館に対してはそういうコントロールはないんですか。もう一回お答えください。
もっと言えば、杉本総領事は、部下を殺されたからといって、自分の判断で行動するんですか。そういうことを外務省は組織として認めておられるんですか。

【佐々江政府参考人】

当然のことながら、総領事は、本省と十分緊密な連絡をとりながらこの申し入れを行ったわけであります。

【長島委員】

そうであるなら、どういう相手方に抗議をするか、申し入れを行うか、そこまで本省は把握されていて当然ですよね。そこを国民から隠す理由は何ですか。

【佐々江政府参考人】

本件はインテリジェンスにかかわるということで御理解願います。

【長島委員】

上海総領事の抗議の相手がインテリジェンスにかかわっているというのは、私たちとしてはとても納得できませんが、まあ、それはそれでいいでしょう。
それでは、相手方の対応はどうだったのか。総領事館、総領事の抗議、そして北京の日本大使館の抗議、本省の訓令に基づく抗議に対する相手方の反応、対応、どうだったか御説明ください。

【佐々江政府参考人】

まず最初に中国側に抗議を申し入れたのは北京においてでございますが、それに対して先方は、調査するということであったわけでございます。(長島(昭)委員「調査」と呼ぶ)調査です。
それから、上海につきましては、インテリジェンスにかかわることなので、お答えを差し控えたいと思います。

【長島委員】

調査結果についてどのように入手するおつもりだったか。調査をすると言って、ただこちら側は聞きおいただけですか。それですごすごと帰ってこられたんですか。

【佐々江政府参考人】

先方が調査をするということでありますので、その調査を待っていたということであると思います。

【長島委員】

いまだに待っているんですか、一年七カ月。局長、今もなお調査結果について報告はないんですね。今も待ち続けているんですか、ひたすら。こういう対応をすると相手側はどう思いますか。そんなに重大じゃないんじゃないかな、こっちが調査すると言えば、その後、これから申し上げますけれども、一年七カ月ナシのつぶてだったんですよ、日本側から。
麻生大臣、大臣としてこのような状況、さっき私が申し上げました、まさに国家主権の侵害、また我が国国民の生命の侵害、そして、我が国の国家機関の一部を担っている大変重要な方の死、しかも、相手の公安当局者によって脅迫に基づいて死に至らしめられた、こういう状況の中で事務方は、ただ抗議のしっ放し、調査すると言ったら一年七カ月何にもしないで待っている。外務大臣、率直な御所見を伺いたいと思います。

【麻生国務大臣】

一年七カ月何もしなかったというところが、長島先生、そのころ私はそこの現場にいたわけじゃありませんので、一年七カ月間何もしていなかったかどうかというのが、私は今正直なことを言って、それが本当かどうかというのは洗える立場にありませんので、何かしていなかったのかということに関して弁明の機会を与えていただければと存じます。

【長島委員】

それでは、佐々江局長、この二回の抗議の後、あの週刊誌報道が出るまでの間、外務省は中国政府に調査結果を示させるためにどのような努力を行いましたか。

【佐々江政府参考人】

何度も恐縮でございますが、この案件は基本的に諜報の事案であるということで……(発言する者あり)

【大島委員長】

お静かに。

【佐々江政府参考人】

その間、我々が何もしていなかったということはありません。いろいろ措置を検討し、防諜対策も含めて、必要な措置をとってきております。
その具体的な中身については、諜報の世界に関することについてはお答えを差し控えたいと思います。

【長島委員】

防諜対策にすりかえないでください。相手側の調査結果を引き出させるために、さっき安倍官房長官もおっしゃいました、抗議も含め、どんな努力をしましたかと言っているんです。こんなのはインテリジェンスでも何でもないじゃないですか。しっかりお答えください。

【佐々江政府参考人】

水面下でどういうことが起きたかについては発言を差し控えたいと思います。

【長島委員】

普通は、こういう場合、局長、期限を区切って回答を求めるんですよ。 拉致問題も同じじゃないですか。外務省は同じ体質があるから、我々は、国民の皆さんは不信感を持っておられるんですよ。特定の語学研修サークル、ずばり言えばチャイナスクールで、現地あるいは本省の中で事を荒立てまい、こういう事なかれ主義で本当に対中外交がうまくいくとお考えですか。
だから大臣に私は申し上げたいんです。
麻生大臣が大臣に就任されて、この問題が勃発をして、外務省の対応は百八十度変わったんですよ。わかりますか。五月六日に事件が起こって、その後のていたらくについては今申し上げた。今皆さんがお知りになったとおりであります。その後一年七カ月、この問題についての話すらなかった。違いますか。そしてあの週刊誌報道が出た。それをよしとした。つまりは、一年七カ月何もしないことをよしとした決定がどこかで下されているんですよ。判断が下されているんですよ。しかし、麻生大臣が就任された。同じ問題ですよ、一年七カ月そのまま移動しているわけですから。今度、どういう対応をされましたか。猛然と報道官を使って抗議されましたね、鹿取報道官。どっちが本当の日本の外務省なんですか。
五月に事件が起こった、二回抗議した、相手から調査結果も出ないけれども口をつぐみ続けてきた、その判断が日本国外務省の判断なのか。それとも、去年の十二月二十七日に週刊誌報道が出てから慌てて抗議をしまくった。中国側からすれば、私は中国の肩を持つつもりはありませんが、何を今さら言っておるのかと思いますよね、これ。
外務大臣、いかがでしょう。

【麻生国務大臣】

前任者の大臣の判断というのもありましたでしょうし、また、最初に事件が起きたときの大臣の判断もあったんだと思いますので、私の立場からすればなかなか判断がしにくいところではあるとは思いますが、今同じような事件が仮に起きたとした場合は、少なくとも官邸に報告するということはやるように、このような事件が二度と起こらぬという保証はありませんから、したがって、もう一回やったら話のほかですから、そういった意味で、二度とこのようなことが起こらないように、以後、この種の話が起きたら必ず大臣に上げるというような話を申し渡してありますけれども、当時の状況と今とはかなり違ったものになったことは確かだと思います。

【長島委員】

外務大臣としてはぎりぎりの答弁をしていただいたと思いますが、外務省の事務方、当局者の皆さんは、二つ問題を犯しているんです。まず、官邸に情報を上げなかった。それから、今、麻生大臣は前任者とおっしゃいましたが、前任者の町村大臣は全くこのことを知らされないままこの間外交をずっと続けてきたんですよ。
東シナ海のガス田の問題、反日暴動、小泉さんが二回も靖国に行かれた、その後始末、尖閣に中国人の活動家が上陸した事案もありました、それから、中国の原子力潜水艦が領海侵犯しました。こういう外交的な重要案件を、国家主権に対する侵害行為であり、我が国の国民の生命が奪われたこういう事件を一方に抱えながら、大臣は知らずに交渉の最前線に立たされていた。これは正常と言えますか、外務大臣。

【麻生国務大臣】

友好のために国益を損なうのは愚かです。国益のために友好というのは成り立つんだと思っていますので、優先順位のつけ方が基本的な問題だと思っています。

【長島委員】

私も拍手を送りたいと思いますね。
それなら外務大臣、責任の所在はどこか、きちっと見きわめていただきたいと思います。官邸に報告を上げなかった責任者はだれなのか、外務大臣が交代したときにこんな重要な案件を引き継がせなかった責任者はだれなのか、局長、お答えください。

【塩尻政府参考人】

お答えいたします。 今の御質問で、だれが官邸に上げないことを決めたのかということでございますけれども、ここら辺の問題の処理というのは、担当部局、すなわち大臣官房それからアジア大洋州局でございます。

【長島委員】

そういう集団の、グループの責任にしないでください。だれが責任者だったんですか、当時。

【塩尻政府参考人】

当時の大臣官房長は北島でございます。アジア大洋州局長は薮中でございます。

【長島委員】

外務大臣、これは不問に付すんですか。私は、ある程度省内で決着をつけなかったら次へ進めないと思うんですけれども。
中国側も、日本側の姿勢、この問題に対して日本国政府がどういう対応をするかということを恐らく見きわめようとしているんだろうと思いますね。しかし、今までの対応では明らかに不十分。外務大臣、ぜひ御所見を承りたいと思います。

【麻生国務大臣】

どのような処分をするとかいうような話を急にここに御質問をいただきましたけれども、この点につきましては、今この場でこういたしますという即答をいたしかねますというのが正直なところです。

【長島委員】

ぜひけじめをつけていただきたいと思います。そうしないと、本当の意味での日中間の戦略対話、未来志向の日中関係を築こうと思っても、そういうものは国民の信頼がないと外務省としてもできませんよね、日本政府としても。ここは非常に重要なポイントだということ、僣越ながら、ぜひ御認識をいただきたいと思います。
局長、官房長、ぜひお考えいただきたいんですけれども、今申し上げたように、この問題は、事務方だけで抱えるには余りにも重大過ぎる問題なんですよ。そもそも相手は、事件の存在すら否定しているんでしょう。どうなんですか。最近になって、外務省の努力によって調査するとだけ言った中国側が、少しはまともな対応をされるようになったんでしょうか。

【佐々江政府参考人】

平成十六年の五月につきましては先ほどお答えしたとおりでございますが、昨年の件につきましては、十二月の後半に合計三回、外務省本省あるいは在中国の大使館から、それぞれ中国外交部あるいは在京中国大使館に対して申し入れをしております。これは基本的に、課長クラス、それから局長クラス、私でございますが、それから在中国大の公使レベルで行っております。
それから、本年になりまして、一月九日の日中非公式協議におきまして、アジア大洋州局長、私でございますが、中国外交部アジア局長に対して申し入れを行ったということでございます。

【長島委員】

局長、自信がないのはわかりますけれども、ぼかさないでください。私が申し上げましょうか。もし事実誤認があったら指摘してください。
抗議再開、十二月十九日、別件で出張中の泉中国課長が、相手がだれかわかりませんが、抗議をした。間違いありませんか。

【佐々江政府参考人】

当時出張中の中国課長は、十二月十九日に外交部の日本処長に対して申し入れたということでございます。

【長島委員】

どうして、十二月十九日、突如として抗議が再開されたんですか、課長によって。

【佐々江政府参考人】

この件につきましては、先方の日本担当の課長が交代したということで、この件について改めて先方に対して、本件は継続中の案件でありということで、改めて新任の担当課長に対して申し入れを行ったということでございます。

【長島委員】

相手が交代したからリマインドした。交代した我が国の大臣には引き継がないで、相手には伝えたと。この十二月十九日というのは、週刊文春が麻生外務大臣にインタビューをした日なんですよ。恐らくは、私が推測するに、どうなっているんだということで、慌ててアリバイづくりのために抗議をされたというふうに思います。
十二月二十七日、佐々江局長が抗議をされています。どういう形式でやられましたか、相手方はだれですか。

【佐々江政府参考人】

これは在東京の臨時代理大使でございます。

【長島委員】

電話でやったんですよね、電話で、局長。いや、イエスかノーかでいいですよ。電話でやったんですよ、しようがないから。
大臣、私は大臣が動かれる場面だと思うんですが、例えば在京の中国大使に会って、この件だけできちっと、これまでのほとんど何もやらなかった外務省の事務方の、ある意味でしりぬぐいと言ったら申しわけないですけれども、やはり大臣、日本国としての姿勢を示す必要があると思いますが、いかがでしょう。

【麻生国務大臣】

先ほど聞き漏らしましたけれども、週刊文春のインタビューを受けたということはこれまでもありません。ありません、それだけは確認をさせておいていただきます。週刊誌は読んだことが余りないのでよく知りませんけれども、今あったと言われましたので、もしインタビューをしたというのであっては、それらのことはありません。
それから、今、臨時代理大使というのはけしからぬと多分おっしゃりたいところでしょうが、王毅は、多分あのときは、当然局長だったら大使なんですが、あのときにたしか王毅という大使は中国に帰っておったと思うんですね、十二月の末から一月半ばぐらいまで。かなり長期にわたっていなかったでしょう。何を理由か知りませんけれども、長期にわたっていなかったときにあれは重なっていますので、ちょっとその点が、大使を呼んでやるところがそういうことになったんだと思いますけれども、対応として、日本政府の対応は、この問題は非常にしこっている問題なんだ、大変大きな問題なんだという点をきちんとウオーニング、警告しておく必要はあろうと存じます。

【長島委員】

場合によっては大臣が動かれる、そういう御答弁と承りたいと思いますが、臨時大使ではいけないのかという今大臣のお話でちょっと私も思い出したんですけれども、一回目の北京での日本大使館の抗議、本省の訓令に基づく抗議、これは何で阿南大使が直接行わないんですか。何で公使だったんですか。しかも、この公使は政務担当公使ですね。特命全権公使というのがいらっしゃいますね、大使の次席に。何で二人吹っ飛ばして、ナンバースリーかどうかわかりませんが、そういうレベルの方を相手に差し向けたんですか、局長。

【佐々江政府参考人】

済みません、今の御質問は一番最初の抗議の件でございますね。
これは、当時の川口大臣と報告、相談しながら、日本政府として当時訓令を出しております、大使館あてに。しかしながら、先方の次官が都合がつかないと、後から聞きましたら入院をしていたというふうに聞いておりますが、したがいまして、その次の者に対して、しかるべく同等のレベルの公使から申し入れを行ったというふうに聞いております。

【長島委員】

うそつかないでください。次席は政務担当公使じゃないですね。特命全権公使、原田さんがいらっしゃいますね。何で原田さんが行かないんですか。

【佐々江政府参考人】

それは、その時々のケースによって、特命全権公使がやったりあるいは政務担当の公使がやったり、いろいろなケースがあると思います。必ずしも特命全権公使でやらなければいけないというふうには思いませんが、当時は、先方の都合のつき方でそういうふうになったというふうに聞いております。

【長島委員】

大臣、やはり麻生大臣、今のをお聞きになっていかがですか。相手が病気だった、ですから大使はしようがない。私は、それでも阿南さんが出ていくべきだと思いますけれどもね。次席を吹っ飛ばして三席で行った、これはやはり日本政府の姿勢が問われるんじゃないですか。大臣から御答弁いただきたいと思います。

【麻生国務大臣】

抗議をする場合、だれが行くか、まただれを相手に指定するかというのは、確かに長島先生おっしゃるように、要素の一つとしては大きなものだと思います。
ただ、この場合に、三席だったから軽く問題を見ておるんじゃないか、次席だったら、大使だったらというような種類とは少し違うような感じがいたしますけれども、いずれも、今のような形でこちら側の姿勢に誤解を招くという点があったというのであれば、その点につきましては反省をしておかないかぬところなのかもしれません。

【大島委員長】

お時間でございますね。

【長島委員】

すべてがきちっと行われていれば、私もこんなことで次席だ三席だなんて申し上げないんですよ。
私たちは、あの瀋陽の総領事館で駆け込み事件があったときに、副領事が中に侵入してきた向こうの公安当局者の帽子をとってあげた、あの映像が目に焼きついているから、北京や上海や瀋陽や、我々の代表で出ている人たちは本当に大丈夫なんだろうか、国民の皆さんは心配だから、私はそれを代弁したんですよ。
私は、このように、今回の件で明らかになったように、やはり事務方で余り重大な問題を閉鎖的に持ち過ぎるのは、今回でぜひおやめになっていただきたいと思います。そうしないと……

【大島委員長】

長島君、時間が。守りましょう。

【長島委員】

わかりました。
政治家が介入して初めて、大きな、大局的な、そして戦略的な外交ができるということ、そのことをぜひお考えいただきたい、このことを申し上げて質問を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。