『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の押井守監督、声の出演を務める加瀬亮、菊地凛子がヴェネチア入りをした。
飛行機が空を飛ぶシーンに、リアリティと迫力がある。公式記者会見では外国人ジャーナリストから、「飛行機はどのようにデザインしたのか」「なぜアニメにする必要があったのか。実写にしようとは考えなかったのか」という質問が寄せられた。
「飛行機は、子供が乗るのにふさわしいデザインを意識しました。また、これまでの映画で描かれてきた空中戦のシーンと違って、空を飛んで戦うのがどれほど肉体的に厳しいことなのかを表現したつもりです。それが作品のテーマ上必要でしたから。なぜアニメなのかという質問は日本でも何度か受けました。ひとつには予算の理由がありますし、永遠に年を取らないキャラクターを誰に演じさせるのかという問題もあります」(押井監督)
加瀬と菊池は声優初体験。「声優は実写と違って芝居が決まっていて、そこに自分を持って行くというのが、いつもと一番違う体験でした」(加瀬)、「しぐさ、歩き方など全部できている上で、それをどういうふうに見ていただくか。それは繊細な作業でした。難しかったです」(菊地)
映画の中で「人は戦争を必要とする」というせりふが出てくることに対して、イタリア人記者から「それはある意味危険な発言では」という質問も飛び出した。それに対し、押井監督は「人間がいる限り、戦争はなくならないと思います。戦争のあり方が変わるだけ。いま自分たちのいる場所では起こっていないかもしれないけれど、完全な平和というのを人間が実現したことはないんです。だから、僕は戦争が存在するというところから考えます」ときっぱりと答えた。
今年、日本からは『崖の上のポニョ』『アキレスと亀』とこの作品の3つがコンペ入りを果たした。受賞結果は現地時間6日夜に発表される。
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
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取材・文:猿渡由紀