2008年9月4日 21時26分更新
大阪市の平松市長は、職員の給料の5%カットや大阪市営の地下鉄やバスを無料で利用できる「敬老パス」の1か月の利用額を5000円までとすることなどを盛り込んだ歳出削減に向けた素案を4日発表しました。
大阪市は、市の借金である「市債残高」が5兆円を超えており、このままでは平成26年度には、累積赤字が930億円にのぼり国から財政健全化計画の報告を求められる「早期健全化団体」に転落するおそれがあります。
このため大阪市は平成22年度までの5年間で経常経費を900億円削減する目標を掲げていますが達成率は48%にとどまっており、歳出削減に向けて事業の見直しを行ってきました。
4日示された素案では、来年度からの2年間で1200余り事業を見直して411億円を削減し、当初の目標に近づけたいとしています。
この中では、経常経費の6割を占める人件費の削減にもとりくみ、全職員の給料を5%カットするほか、管理職手当も10%カットし、職員の削減と合わせてこの9年間に人件費を500億円削減するとしています。
また、再来年度からは、70歳以上のお年寄りが大阪市営の地下鉄やバスを無料で利用できる「敬老パス」の利用額の上限を、1ヶ月5000円とし、所得に応じて、新たに負担も求めるとしています。大阪市の平松市長は「ここを乗り越えないと大阪市の再建ははないという思いなので理解して欲しい。案を了解してもらえるよう市民や市議会、職員に説明していきたい」と話しています。
素案で、人件費の削減も示されたことについて、市の職員で作る労働組合、大阪市労働組合連合会の石子雅章書記長は「給与など勤務労働条件については労使交渉を行うというルールを無視したもので全く理解できない。人件費削減については反対の立場で、今後、市からの詳しい説明を求めたい」と話しています。
また「敬老パス」に利用額の上限が設けられたことについて大阪市健康福祉局高齢者施策部の山口浩明部長は「敬老パスは高齢者が生きがいをもって暮らすために必要な施策だと思っており制度を今後も継続していくために対応が必要だ。利用者の多くは5000円程度の利用で新たな制度では所得に応じて負担は増えるもののほとんどの人はこれまで通り利用していただけると思う」と話しています。