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自己破産した労働者、3分の2が非正規雇用 近畿6府県(1/2ページ)

2008年9月4日19時2分

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 多重債務を抱えて自己破産した労働者110人の破産記録を分析したところ、全体の3分の2がパートや派遣など非正規雇用の人だったことが、近畿弁護士会連合会の調べでわかった。うち4割は生活保護基準に満たない低賃金だった。不安定な雇用で働いているワーキングプア(働く貧困層)が、生活苦から借金に頼らざるをえなくなっている実態が裏付けられた格好だ。

 関西6府県の弁護士会がつくる同連合会は、13日に「非正規労働」をテーマに開くシンポジウムで分析結果を発表する。シンポを企画した弁護士15人が最近1年間に扱った自己破産のうち、無職や自営業者を除いた労働者の記録を一人10件程度持ち寄った。

 110人のうち正社員は35%で、残り65%はアルバイト、契約社員、派遣など非正規雇用が占めた。男性は正社員と非正規雇用の割合がほぼ半々だったが、女性は8割が非正規雇用だった。

 賞与や手当などを含む平均月収は20万円以下が72%、10万円以下も34%。非正規雇用に限ると10万円以下は54%を占めており、賃金の低さが際立った。

 平均月収と生活保護基準との関連も調べた。全体の32%は生活保護基準以下の月収しかなく、要保護状態にあった。ただし、生活保護を受給している人はいなかった。

 これを雇用形態別にみると、要保護状態の割合は正社員で15%だったが、非正規雇用だと41%にのぼった。同連合会は、時給の低さや手当の不備、勤務の不安定さなどが影響しているとみている。

 大阪府内の男性(40)は99年、正社員として勤めた会社が経営悪化したため退職。しばらくは退職金やアルバイトでしのいだが、この数年は月収7万〜10万円の日雇い派遣しか働き先がなくなった。男性の場合、家賃分を含む生活保護基準は月12万6千円程度で、当時の月収はこれを下回った。信販会社などから生活費をたびたび借り入れ、滞納家賃を含む借金は約600万円に膨らんだ。昨年、尿管結石でひどい痛みに襲われたが保険証がないため病院にも行けず、自己破産した。

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