上伊那広域連合、県伊那保健所などは、医師不足に伴い深刻化する上伊那地域の医療を守るため、医療を提供する側と受ける側が一堂に会し、問題の背景や実態を知り、ともに考える、初の「医療シンポジウム」(長野日報社など後援)を10月13日、伊那市のいなっせ6階ホールで開く。
シンポジウムは午後1時から、埼玉県栗橋町にある済生会栗橋病院副院長で、NPO法人医療制度研究会副理事長の本田宏さんが基調講演。全国的な医師不足の現状や背景、今後の在り方など話す予定。
続いて病院、行政、住民の代表でパネルディスカッションを行う。伊那中央病院(伊那市)の小川秋実院長、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の長崎正明院長、「安心して安全な出産ができる環境を考える会」代表の須田秀枝さん(駒ケ根市)、渡辺庸子県衛生部長の4人をパネリストに迎え、山崎宗広伊那保健所長がコーディネーターを務める。
広域連合では、「住民らが地域医療の実情を知り、その上で何をすべきかを考えるきっかけにしてほしい」と話し、大勢の来場に期待している。
県によると、上伊那の医師数は人口10万人当たり136.8人(2006年)で、県内10圏域では木曽に次いで低い。従来から医療資源が乏しい中、全国的な医師不足で、中心的な役割を果たす公立3病院の医師数も06年の104人をピークに減少し、08年度は91人。中でも昭和伊南病院の減少が著しく、06年比で11人減少した。
医師不足に伴い、分娩を扱う公立病院は伊那中央病院だけとなるなど診療体制の縮小が進み、病院経営にも深刻な影響を与え始めている。