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第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議

 子どもの基本的人権の最も深刻な侵害である「子ども買春、子どもポルノ」の根絶を目指し、「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(以下「第2回世界会議」)が2001年12月17日から20日まで横浜で開催されます。
「第2回 子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(横浜)閉幕
 子ども若者代表の最終アピールに全会賛同の拍手  詳細はこちら!

1. 開催の概要
2. 開催までの主要関連日程
3. 第1回世界会議「宣言」と「行動アジェンダ」
4. 子ども買春・子どもポルノ処罰法について

成立の経緯 法律のポイント 法律の全文

5. 日本ユニセフ協会のこれまでの取り組み
6. 横浜会議を成功させる会事務局
7. 関連リンク集
8. 資料情報
9. 「子ども買春・子どもポルノ」とは?
10. 私たちにできること

1.開催の概要

 「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が、日本政府、UNICEF(国連児童基金)、ECPAT(エクパット=子ども買春、子どもポルノ、性的目的での子どもの売買根絶キャンペーン)及び子どもの権利条約NGOグループによる共催で、2001年12月17日(月)から20日(木)まで、横浜(パシフィコ横浜会議センター)で開催されます。  第1回世界会議は、1996年8月27日から31日まで、スウェーデンのストックホルムにおいて開催され、122ヶ国、約20の国際機関、NGO関係者等、約2000人が出席しました。第2回世界会議は、この第1回世界会議で採択された「宣言」および「行動アジェンダ」のこれまでの実施状況を評価すると共に、「子ども買春」、「子どもポルノ」など、子どもに対する商業的性的搾取を根絶するための今後の取り組みについて話し合います。 主要テーマとしては「子どもポルノ」、「子どもの性的搾取からの予防、保護及び回復」、「子どものトラフィッキング(人身売買)」「民間セクターの役割と関与」、「立法と法執行」及び「性的搾取者」が予定されています。 第2回世界会議には、第1回会議と同様、各国政府関係者、国際機関、NGOが同等の立場で参加する他、関連する民間セクター(観光、インターネット業界、マスコミなど)にも参加を呼びかけます。また日本を含む各国から合計約100名の子どもたちも参加をして、当事者である子どもの立場で、問題の予防や解決について討議します。

2.開催までの主要関連日程

2000年 5月26日 第2回世界会議の日本開催を発表(日本政府)
7月27、28日 国際企画委員会第1回会合(東京)
9月5日 第2回世界会議のための第1回懇談会
10月18日 国内委員会第1回会合
10月23、24日 国際企画委員会第2回会合(ジュネーブ)
11月20日 国内行動計画に関する市民社会組織(CSOs)
ワークショップ(主催:日本ユニセフ協会)
12月20日 第2回世界会議のための第2回懇談会
12月末 日本の「国内行動計画」の完成
2001年 1月29日〜2月2日 国連子ども特別総会準備委員会第2回会合(ニューヨーク)
2月16日 児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画を発表(日本政府)
2月19日 国内委員会第2回会合
2月26日 国際シンポジウム〜第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議に向けて(京都)
2月28日〜3月1日 国際企画委員会第3回会合(東京)
3月8日 第2回世界会議のための第3回懇談会
3月28日 第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議のためのユニセフ子ども&若者セミナー in YOKOHAMA(横浜)
5月17日 第5回 ストックホルム世界会議 フォローアップ会議
6月11日〜15日 国連子ども特別総会準備委員会第3回会合(ニューヨーク)
9月17日〜21日 国連子ども特別総会(ニューヨーク)
12月17日〜20日 第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(横浜)


3.第1回世界会議「宣言」と「行動アジェンダ」

(和訳:宇佐美昌伸)
ストックホルム宣言
  1. 我々は、122ヶ国の政府、NGO、「アジア観光における子ども買春根絶国際キャンペーン(エクパット)」、ユニセフその他の国連機関、及び世界中の関係団体・個人を代表して、「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」に参加するためにストックホルムに集まった者であり、ここに、子どもの商業的性的搾取に反対するグローバル・パートナーシップへのコミットメントを表明する。 〔「エクパット」の正式名称は当時のもの。現在は、「子ども買春、子どもポルノ、性的目的での子どもの売買根絶キャンペーン」である。〕
挑戦
  1. 毎日、世界中でますます多くの子どもが、性的搾取及び性的虐待の犠牲となっている。この事態を終わらせるためには、地方、国内、地域及び国際レベルでの協調行動が必要である。
  2. 全ての子どもは、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から完全に保護される権利を持っている。このことは、普遍的重要性を持つ国際法文書である「子どもの権利条約」(191ヶ国加盟)において再確認されている。各国は、子どもを性的搾取及び性的虐待から保護し、被害に遭った子どもの身体的並びに心理的回復及び社会への再統合を促進することを求められている。
  3. 「子どもの権利条約」は、子どもに関わるあらゆる行動において、子どもの最善の利益が第一に考慮されるべきであり、彼らの権利はいかなる種類の差別もなしに享受されるべきものであるとしている。子どもに影響を及ぼすあらゆる問題に関して、子どもの意見が、その年齢及び成熟度に従って、正当に重視されなければならない。
  4. 子どもの商業的性的搾取は、子どもの権利の根本的な侵害である。それは、大人による性的虐待、及び子ども又は第三者に対する現金又は現物による報酬提供によって構成される。子どもは性的な対象物、そして、商業的な対象物として扱われる。子どもの商業的性的搾取は、子どもに対するある種の強制及び暴力を形成しており、強制労働及び現代的形態の奴隷制に等しいものである。
  5. 貧困は、子どもの商業的性的搾取をもたらし得る環境の形成に寄与するが、だからと言って、このような搾取の正当化に用いることはできない。その他の複雑な寄与要因は多岐にわたり、経済的格差、不公正な社会経済構造、家庭の機能不全、教育の欠如、拡大する消費主義、都市−農村間の人口移動、性差別、男性の無責任な性行動、有害な伝統的慣習、武力紛争、子どもの売買などがある。これらの全ての要因のために、女の子と男の子は、彼らを商業的性的搾取のために周旋しようとする者に対して、さらに弱い立場に置かれるのである。
  6. 犯罪者及び犯罪ネットワークは、弱い立場に置かれた子どもを商業的性的搾取のために周旋し、誘い込み、このような搾取を存続させることに関わっている。このような犯罪者及びネットワークは、子どもから不法に性的満足を得ようとする、主に男性の客が性市場において生み出す需要に応えている。子どもの商業的性的搾取に直接的又は間接的に寄与するさらなる要因として、腐敗並びに搾取への共謀、法律の不在並びに/若しくは不十分さ、法執行の緩さ、及び子どもに与える有害な影響に対する法執行職員の感度の低さがある。このような搾取は、一個人による行為であったり、小規模に(例えば、家族や知人)又は大規模に(犯罪ネットワーク)組織されるものであったりするのである。
  7. 社会のあらゆるレベルの、広範に渡る個人及び集団が搾取的活動に寄与している。これには、仲介人、家族の構成員、企業部門、サービス提供者、客、コミュニティ・リーダー及び政府職員が含まれる。彼らは全て、無関心、子どもが被る有害な結果に対する無知、又は子どもを経済的商品とみなす態度及び価値観の維持を通じて、搾取に寄与するのである。
  8. 子どもの商業的性的搾取は、子どもの身体的、心理的、精神的、道徳的及び社会的発達に対して、深刻で、一生続く影響をもたらすものであり、命を脅かすことさえある。その影響とは、早期妊娠の危険、妊産婦死亡、負傷、発育の遅れ、身体的障害、HIV/エイズなどの性感染症などである。彼らが子どもの時期を楽しみ、生産的で、報いられ、尊厳ある生活を送る権利は著しく侵害される。
  9. 子どもの商業的性的搾取に対抗するための法律、政策及びプログラムは存在するが、これらの法律、政策及びプログラムの精神及び文言を有効なものとするためには、より大きな政治的意志、より効果的な実施措置及び資源の適切な配分が必要である。
  10. 子どもの商業的性的搾取と闘う義務は、第一義的に国及び家庭にある。市民社会も、子どもの商業的性的搾取の防止及びこのような搾取からの子どもの保護において果たすべき本質的な役割を持っている。このような搾取と対抗するためには、政府、国際機関及びあらゆる社会部門の間で強力なパートナーシップを構築することが不可欠である。
コミットメント
  1. 本世界会議は、「子どもの権利条約」に留意しつつ、子どもの権利に対するコミットメントを再確認するものである。そして、全ての国に対して、国内・国際機関及び市民社会と協力して、以下のことを行なうよう求める:
−子どもの商業的性的搾取に対する行動に高い優先順位を付与し、この目的のために適切な資源を配分すること;
−子どもが性取引に入ることを防止し、及び商業的性的搾取からの子どもの保護における家庭の役割を強化するために、政府とあらゆる社会部門との間の協力の強化を推進すること;
−子どもの商業的性的搾取を、その他の形態の子どもの性的搾取とともに、犯罪とし、現地住民であると外国人であるとに係わらず、犯罪者を有罪とし、処罰すること。その際、このような行為の被害に遭った子どもが処罰されないことを確保すること;
−子どもの商業的性的搾取を廃絶するために、法律、政策、プログラム及び行動を、適当な場合には、見直し、改正すること;
−子どもを商業的性的搾取から保護するための法律、政策及びプログラムを執行し、法執行当局間のコミュニケーション及び協力を強化すること; −子どもの商業的性的搾取に対する地域、国内及び地方の関係機構の支援を得て、法律、政策及びプログラムの採用、実施及び普及を推進すること;
−子どもの商業的性的搾取を防止し、被害に遭った子どもの保護並びに支援を行ない、及び彼らの回復並びに社会への再統合を促進するために、包括的でジェンダーに配慮した計画及びプログラムを立案し、実施すること;
−両親その他の子どもに対して法的責任を有する者が、子どもを商業的性的搾取から保護する権利、義務及び責任を履行できることを確保する環境を、教育、社会的動員及び開発活動を通じて創出すること;
−各国における子どもの商業的性的搾取廃絶の取り組みを支援するために、政治的その他のパートナー、及び政府間機関、NGOなどの国内・国際コミュニティーを動員すること;
−子どもの商業的性的搾取の防止及び廃絶における、子どもをはじめとする市民の参加の役割を高めること;
  1. 本世界会議は、子どもの権利の保護、特に「子どもの権利条約」その他の関連文書の実施を支援し、以って世界中から子どもの商業的性的搾取を根絶するために、この「宣言及び行動アジェンダ」を採択する。
子どもの商業的性的搾取に対する行動アジェンダ
  1. 本行動アジェンダは、既存の国際的なコミットメントを強調すること、行動の優先順位を明確にすること、及び関係国際文書(付属書I参照)の実施を支援することを目的としている。本行動アジェンダは、政府、あらゆる社会部門及び国内・地域・国際機関に対して、子どもの商業的性的搾取に対する行動を取ることを求める。

  2. 調整及び協力:
i)地方/ 国内レベル
  1. 商業的性的搾取の危険に晒される子どもの数の減少及び子どもの権利に資する環境、態度並びに慣習の促進を目標とし、実施の目標及び時期の設定が伴なった国内行動アジェンダ及び進捗評価指標を2000年までに策定するために、包括的、部門横断的及び統合的な戦略及び措置を早急に強化すること;
  2. 関係調査の情報が伴い、年齢・性別・民族・生来の地位・商業的性的搾取に影響を与える環境によって細分化されたデータに特別の注意が払われるともに、特に公表に関して被害に遭った子どもの秘密が尊重される形で、商業的性的搾取の危険に晒されている子ども及び搾取者に関するデータベースを2000年までに作成するために、市民社会と協力して、国内及び地方レベルにおける実施及び監視機構又は拠点を早急に開発すること;
  3. 商業的性的搾取からの子どもの保護に家庭並びにコミュニティーを動員するキャンペーン及び資源の適切な配分が伴う形で、子どもの商業的性的搾取に対する措置の計画、実施及び評価を行なうために、政府と非政府部門との間の緊密な交流及び協力を醸成すること;
ii)地方/国内レベル
  1. 各国と子どもの商業的性的搾取廃絶において重要な役割を持っている地域機関その他の触媒的組織などの国際機関との間の、よりよい協力を推進すること。このような機関には、「子どもの権利委員会」、ユニセフ〔国連児童基金〕、ILO〔国際労働機関〕、ユネスコ〔国連教育科学文化機関〕、UNDP〔国連開発計画〕、WHO〔世界保健機関〕、UNAIDS〔国連エイズ合同計画〕、UNHCR〔国連難民高等弁務官〕、IOM〔国際移住機関〕、世界銀行/IMF〔国際通貨基金〕、インターポール〔国際刑事警察機構〕、国連犯罪防止・刑事司法部、UNFPA〔国連人口基金〕、世界観光機関、国連人権高等弁務官、国連人権センター、「国連人権委員会」及び同「子どもの売買に関する特別報告者」、「〔国連人権小委員会〕現代奴隷制部会」などがあり、それぞれが自らの責務に従って行なう活動において、「行動アジェンダ」から指針を得る;
  2. 子どもの権利を唱道し、及びそのための支援を動員するとともに、子どもを商業的性的搾取から保護するために適切な資源が利用できることを確保すること;
  3. 既に定められている期限に従って「子どもの権利委員会」に報告する義務の履行をはじめとして、加盟国による「子ども権利条約」の完全な実施を強く求めること。又、子どもの権利の完全な実現に向けての各国の進捗を、「国連人権委員会」及び同「子どもの売買に関する特別報告者」をはじめとするその他の関連国連組織・機関・機構の文脈においてフォローアップをするよう奨励すること。
  1. 防止:
  1. 子どもの地位を向上させる手段として、彼らに対して教育へのアクセスを提供するとともに、初等教育を義務化し、全ての人が無料で受けられるようにすること;
  2. 追放者、ホームレス、難民、無国籍者、非登録者、拘留者及び/又は国家施設収容者を含む、商業的性的搾取の危険に晒されている家庭及び子どもの、関連の保健サービス、教育、訓練、レクリエーション及び支援的環境へのアクセスを向上するとともに、彼らにこれらを提供すること;
  3. 子どもの権利に関する教育を最大化し、適当な場合には、あらゆるコミュニティー、家庭及び子どもを対象とするフォーマル及びノンフォーマル教育に「子どもの権利条約」を組み込むこと;
  4. 子どもの権利及び子どもの商業的性的搾取の不法性並びに有害な影響について、政府職員及びその他の一般市民の意識を高め、教育するために、ジェンダーに配慮したコミュニケーション、メディア及び情報提供キャンペーンを開始すること。又、子どもの発育、尊厳及び自尊心に調和する形で、社会において責任ある性的態度及び行動を促進すること;
  5. 子どもに対する性暴力を防止するための特別介入を伴いつつ、家庭教育及び家庭の発展支援において、両親の双方が対等に子どもに対する責任を有していることについての理解の促進をはじめとして、子どもの権利を推進すること;
  6. 子どもの商業的性的搾取に対抗するために、仲間による(ピア)教育プログラム及び監視ネットワークを特定し又は確立すること;
  7. 商業的性的搾取の危険に晒されている子ども、家庭及びコミュニティーが子どもの商業的性的搾取につながる行為に抵抗することを支援するために、家庭内虐待、有害な伝統的慣習並びにその女の子に与える影響、及び子どもを商品ではなく人間と見る価値観の促進に特別の注意を向けつつ、ジェンダーに配慮した国内社会経済政策及びプログラムを策定又は強化し、実施すること。又、収入の上がる雇用、所得創出その他の支援を推進することによって、貧困を削減すること;
  8. 「子どもの権利条約」に留意しつつ、子どもの商業的性的搾取の防止に関係する法律、政策及びプログラムを立案又は強化し、実施し、及び普及させること;
  9. 子どもの商業的性的搾取をもたらす又は助長するような法律、政策、プログラム及び活動を見直し、効果的な改革を行なうこと;
  10. 観光業界をはじめとする企業部門のネットワーク及び施設が子どもの商業的性的搾取に利用されないようにするために、これらの部門を動員すること;
  11. 子どもの商業的性的搾取のあらゆる側面に関して、最高の質、信頼性及び倫理水準を持つ情報を提供することにおいてメディアが果たす役割を強化するための戦略を、メディアの専門家が立案するよう奨励すること;
  12. 子どもの商業的性的搾取を阻むために、このような活動に関与している者を標的として、彼らの行動の変化を促すことを目的とする情報提供、教育並びにアウトリーチ(彼らに手が届く)キャンペーン及びプログラムを実施すること。
  1. 保護:
  1. 加害者の種類及び被害者の年齢並びに環境に応じて、異なった法律上及びプログラム上の対応が必要であることに留意しつつ、子どもを保護し、及び子どもの商業的性的搾取を禁止するために、法律、政策及びプログラムを立案又は強化し、実施すること;
  2. 子ども買春、子どもの売買、子どもポルノ(所持を含む)その他の不法な性的活動に関与したサービス提供者、客及び仲介人の刑事責任を確立するために、国内法を立案又は強化し、実施 すること;
  3. 商業的性的搾取の被害に遭った子どもが犯罪者として処罰されないよう保護するとともに、彼らがあらゆる部門、特に法的、社会的及び保健分野において、子どもにやさしい職員及び支援サービスへの完全なアクセスを得ることを確保するために、国内法、政策及びプログラムを立案又は強化し、実施すること;
  4. 買春観光に関して、自国民が目的国で子どもに対して犯した行為を犯罪とする(「国外犯適用の刑事法」)ために、法律を立案又は強化し、実施すること;  他国(目的国)において子どもを性的目的で搾取した者が、自国又は目的国のいずれかで訴追されることを確保するために、犯罪人引渡しその他の取り決めを促進すること;  目的国で子どもに対して性犯罪を犯した者に対する財産及び収益の没収、差押えその他の刑罰をはじめとして、法律及び法執行を強化すること;  又、関連データを共サービスを受けながら、安全に出身国へ帰還できることを確保するための再入国許可協定を確立すること;  又、関連データを共有すること;
  5. 子どもの商業的性的搾取を監視するために、インターポールを含む国内及び国際法執行当局と市民社会との間のネットワークを特定し、強化又は確立すること;  子どもの商業的性的搾取と対抗するために、法執行機関の中に適切な資源及び子どもにやさしい設備を伴った特別部門を設置すること;  重要な情報の交換のために、警察捜査及び司法手続きにおける子どもの権利の保障を志向する連絡調整担当官を任命すること;  又、全ての法執行職員に対して、子どもの発達及び子どもの権利、特に「子どもの権利条約」その他の関係人権基準並びに国内法に関する訓練を行なうこと;
  6. 子どもを商業的性的搾取から保護するために、市民社会の国内・国際ネットワーク及び連合体を特定し、確立を奨励すること;  事件の監視並びに当局への通報、及び自主的な倫理的行為規範の採用を図るために、コミュニティー、家庭、NGO、観光業者をはじめとする企業部門、世界観光機関、使用者並びに労働組合、コンピューター並びに技術産業、マス・メディア、専門家団体及びサービス提供者の行動及び相互交流を促進すること;
  7. 商業的性的搾取から逃がれた子どものための安全な避難所を創設すること。又、商業的性的搾取の被害に遭った子どもに対して援助を行なう者を、脅迫及び嫌がらせから保護すること。
  1. 回復及び再統合:
  1. 商業的性的搾取の被害に遭った子どもに対しては、子どもの権利との調和を保ちつつ、非懲罰的アプローチを採ること。その際には、子どもが既に被っているトラウマ(心的外傷)が司法手続きのために悪化することがないよう、又、司法制度の対応において、被害に遭った子どもに対して、法的扶助が適当な場合には行なわれるともに、法的救済措置が提供されるよう、特に留意すること;
  2. HIV/エイズなどの性感染症に罹っている者に特に注意を払いつつ、又、子どもの自尊心、尊厳及び権利を促進することを目指ししつつ、商業的性的搾取の被害に遭った子ども及びその家族に対して、社会的、医療的、心理カウンセリングその他の支援を提供すること;
  3. 「子どもの権利条約」その他の関係人権基準に留意しつつ、医療従事者、教師、ソーシャル・ワーカー、NGOその他の商業的性的搾取の被害に遭った子どもの支援を行なっている者に対して、子どもの発育及び子どもの権利についてジェンダーに配慮した訓練を行なうこと;
  4. 被害に遭った子ども及び彼らの子どもに対して社会的汚名が着せられることを防止し、及び取り除くために効果的な行動を取ること;  被害に遭った子どもの回復及びコミュニティー並びに家庭への再統合を促進すること;  子どもを施設に収容することが必要な場合には、子どもの最善の利益に従い、可能な限りの最短期間になることを確保すること;
  5. さらなる商業的性的搾取を防止するために、被害に遭った子ども及びその家族に対して適切な支援サービスを提供しつつ、代替的な生計手段を促進すること;
  6. 子どもに対する性犯罪の加害者に法的制裁を課すだけでなく、加害者の側の行動の変化をもたらすために社会医学的及び心理学的措置を講じること。
  1. 子どもの参加:
  1. =被害者を含む子ども、若者、家族、仲間その他の子どもの支援者になり得る者が、子どもの商業的性的搾取の防止及び子どもの保護について意見を表明し、及びそのための行動を取るとともに、被害に遭った子どもの社会への再統合を支援することができるようにするために、これらの者の参加を促進すること;
  2. 子どもの権利の唱道者としての子ども及び若者のネットワークを特定又は確立し、支援すること。又、政府その他の子どもに関わるプログラムの立案及び実施に、子どもを、その能力の発達に従って、関与させること。

付属書本行動アジェンダは、子ども及びその家族に関係する多くの国際文書、勧告及び目標を参照している。それには以下のものが含まれる:

  • 「強制労働に関するILO第29号条約」(1930年)
  • 「世界人権宣言」(1948年)
  • 「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」(1949年)
  • 「強制労働の廃止に関するILO第105号条約」(1957年)
  • 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(1966年)
  • 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(1966年)
  • 「就業が認められる最低年齢に関するILO第138号条約」(1973年)
  • 「女性差別撤廃条約」(1979年)
  • 「子どもの権利条約」(1989年)
  • 「子どもの生存、保護及び発達に関する世界宣言及び行動計画」(1990年)
  • 「子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノの防止に関する国際連合人権委員会行動計画」(1992年)
  • 「世界人権会議」の「ウィーン宣言及び行動計画」(1993年)
  • 「国際連合女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」(1993年)
  • 「国際人口・開発会議」の「カイロ宣言及び行動計画」(1994年)
  • 「国際人口・開発会議」の「カイロ宣言及び行動計画」(1994年)
  • 「世界社会開発サミット」の「コペンハーゲン宣言及び行動計画」(1995年)
  • 「第四回世界女性会議」の「北京宣言及び行動綱領」(1995年)
  • 「人身売買及び他人の売春からの搾取の防止に関する国際連合人権委員会行動計画」(1996年)
 本行動アジェンダは、「子どもの権利委員会」及び「子どもの売買に関する特別報告者」の勧告に留意する。又、インターポール、世界観光機関(特に、1995年の「組織的買春観光の防止に関する世界観光機関声明」)、及び欧州評議会(特に、1991年の「子ども及び若者の性的搾取、ポルノ並びに買春及び売買に関するR9111号勧告」)などの多くの国際及び地域機関による取り組みを認知している。さらに、子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する〔「子どもの権利条約」の〕選択議定書となり得るものの作成過程についても認識している。〔この議定書は、2000年5月に国連総会で採択された。〕

4.子ども買春・子どもポルノ処罰法について

成立の経緯
 「子どもの商業的性的搾取」を犯罪として処罰するための法案(正式名称:「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び保護等に関する法律案」)は、1999年3月31日、自民党、民主党、社民党、公明党、共産党、自由党及び参議院の会の6党1会派による共同提案で参議院に提出され、同4月28日には同本会議で可決、5月18日には衆議院本会議で可決され正式に成立しました。同年11月1日より施行され、すでにこの法律の下での摘発も行われていますが。今後、本法律がより効果的に執行されるためには、捜査・公判上の国際協力、被害者のケアの問題などの課題に取り組む必要があります。 施行されたこの法律を、前年(1998年)5月22日に提出された与党(当時)三党プロジェクトチームによる法案と比べてみると、最大の相違点は、本法律の目的を「児童の権利の擁護に資すること」と明文化したこと、また被害者である子ども達の基本的人権が侵害されないように配慮した規定を第3条に盛り込んだ点にあります。この点は、「子どもの権利条約」に定める「子どもの基本的人権」の実現を使命とする当協会の立場から高く評価できるものです。 しかし、一方で、施行された本法律は具体的な子どもの保護を目的とするという趣旨にもとづき、子どもポルノの定義から「絵」が外され、また子どもポルノの単純所持は対象外とされている結果、現在世界的に問題となっているインターネット上の擬似子どもポルノは取締りの対象外となったことは、大変残念なことでした。集団としての「子ども」の「基本的人権」という考え方が受け入れられていない日本において、法律は具体的な個人法益の侵害に対処するものという考え方を乗り越えることは難しかったのでしょうが、子どもサイバーポルノ問題に取り組んでいく上では、この問題を避けては通れない訳で、今後の課題というべきでしょう。
法律のポイント
法律の全文
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  5.日本ユニセフ協会のこれまでの取り組み

1996年12月 「犯罪です。子ども買春。」ポスター1万5千枚を制作・配布
1997年5月28日 駐日スウェーデン大使館との共催により、「児童の商業的性搾取に反対する世界会議」(96年8月ストックホルムで開催)のフォローアップ会議、プレスミーティングおよび国際シンポジウムをスウェーデンのシルビア国王妃ご臨席の下で実施。フォローアップ会議では「共同声明」に署名。
1997年6月9日 当協会澄田会長、東郷専務理事が、バールクヴィスト駐日スウェーデン大使、谷垣ユニセフ議連事務局長と共に自民党の山崎拓政調会長、橋本総理大臣を訪問し、上記「共同声明」を手渡すと同時に、本件に関する立法措置の実現を強く訴える。
1997年10月14日 ジュネーブにおいて、子どもの権利委員会が開催した「子どもの権利条約の実施状況に関する日本政府報告書の予備審査会合」へ参加。「子どもの商業的性的搾取」に関する日本の法制度の問題点と改善策について意見を表明。同意見は、子どもの権利委員会が作製する対日本政府質問状に反映されている。
1998年4月7日 ストックホルム世界会議の第2回フォローアップ会議を駐日スウェーデン大使館、ストップ子ども買春の会との共催により実施。「共同アピール」に署名。
1998年12月4日-5日 ユニセフグローバルフォーラムin東京---「犯罪です、子ども買春。」を開催。
1999年3月24日 「子ども買春・子どもポルノを禁止する法律の制定を求める在日外国人コミュニティーが開催するプレス・コンフェレンス」に当協会の東郷専務理事、アグネス・チャン当協会大使がスピーカーとして出席。
1999年5月18日 「子ども買春・子どもポルノ 等禁止法」成立
1999年5月22日 ストックホルム世界会議の第3回フォローアップ会議を駐日スウェーデン大使館、ストップ子ども買春の会との共催により実施。
1999年9月29日-10月1日 ウィーンで開催された「インターネット上の子どもポルノと戦う国際会議」に当協会の東郷専務理事が参加。
1999年10月15日 「国際シンポジウム─子どもサイバーポルノを考える─」を駐日スウェーデン大使館、ストップ子ども買春の会、日本ガーディアン・エンジェルスとの共催により実施。
1999年12月 子ども買春リーフレット(改訂版)を30万部作成・配布。
2000年4月 「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」の日本開催を求める署名活動開始。約2ヶ月間で4万人の協力を得る。
2000年4月27日 ストックホルム世界会議の第4回フォローアップ会議を駐日スウェーデン大使館、ストップ子ども買春の会との共催により実施、さらに同日、第2回世界会議に向けた国際シンポジウム「犯罪です。子ども買春」を開催。
2000年5月24日 上記署名を持って「第2回世界会議」の日本開催と、NGOや国連機関、政府が参加する「開かれた国際会議」の実現を求め国会請願。5月26日に、日本政府が、国際エクパット、ユニセフとの共催で、2001年12月17−20日に横浜パシフィコ横浜会議センター及び国立大ホールにて同会議を開催すると正式発表。
2000年7月26日 「第2回世界会議」に向けたNGO・市民グループ、政府関係者、報道関係者による第1回勉強会を実施。
2000年7月27日-28日 東京にて行われた第1回準備会合(日本政府、ユニセフ、国際ECPAT及び子ども権利条約に関する国際NGOグループ代表が参加)に当協会東郷専務理事が出席。
2000年9月5日 NGO・市民グループ、政府関係者、報道関係者による『「第2回世界会議」及び「国内行動計画」に関する第1回懇談会』を実施。
2000年11月20日 「国内行動計画」ワークショップを開催
2000年12月20日 「「第2回世界会議」及び「国内行動計画」に関する第2回懇談会」を開催。
2001年2月26日 国際シンポジウム「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議に向けて」を外務省との共催で開催(京都)
2001年3月8日 第2回世界会議のための第3回懇談会を開催(東京)
2001年3月28日 ユニセフ子ども&若者セミナーin YOKOHAMA を神奈川大学との共催で開催(横浜)


6.横浜会議を成功させる会事務局

日本ユニセフ協会は、第2回世界会議開催に向けて日本国内の関連NGO等が意見交換を行う「横浜会議を成功させる会(旧称「第2回世界会議のための懇談会」)」の事務局を務めております。日本のNGO、子どもの第2回世界会議への参加につきましても、この「横浜会議を成功させる会(旧称「第2回世界会議のための懇談会」)」事務局が取りまとめを行う予定になっております。「横浜会議を成功させる会(旧称「第2回世界会議のための懇談会」)」およびNGO、子どもの参加につきまして御関心のある方は、下記までお問い合わせください。
横浜会議を成功させる会(旧称「第2回世界会議のための懇談会」)事務局
(財)日本ユニセフ広報室 内
Tel:03-5789-2016 Fax:03-5789-2036 e-mail:jcuinfo@unicef.or.jp


7.関連リンク集


8.資料情報

「犯罪です。子ども買春」(買春根絶ポスター) 詳細はこちら
「買春リーフレット」 詳細はこちら
「児童買春」禁止、次のステップ
(執筆:アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使、1999年6月4日付朝日新聞「論壇」より)
詳細はこちら
「ロサーリオの死」マイグル・アクセルソン著 詳細は資料情報ページへ
「ストックホルムから横浜へ、そして、子どもたちの未来へ(行動アジェンダ実施に関する第4回(1999年−2000年)報告書)」
発行:国際エクパットト
PDFファイルでご覧いただけます。
 
「こどもの権利を買わないで ―プンとミーチャのものがたり」
(監修:横田洋三、文:大久保真紀、絵:森野さかな、英訳:スネル博子、発行:自由国民社 定価:1600円)
タイで本当にあった話を元に、子ども買春の問題を子どもたちにもわかりやすく描いた絵本(和英文併記)。最寄の書店でお求めください。
 
「沈黙する子どもたち ―子どもポルノに利用された子どもたちについて」
(執筆:カール ヨーラン スヴェディーン & クリスティーナ ベック 発行:レッダ・バーネン(スウェーデン・セーブ・ザ・チルドレン) 日本語版発行:ECPAT/ストップ子ども買春の会)
お問い合わせはECPAT/ストップ子ども買春の会(Tel:03-5338-3226 Fax:03-5338-3227)まで
 


9.「子ども買春・子どもポルノ」とは?

 アジアだけでも100万人以上の子どもたちが「子ども買春、子どもポルノ」の犠牲になっていると推定されています。「子ども買春、子どもポルノ」は、子どもたちの心と身体の発達に、深刻で、一生残るかもしれない影響をもたらします。リスクを伴う早期妊娠、負傷、HIV/エイズなどの性感染症などにより、命をおびやかされることさえあります。子どもたちが、心身ともに健やかな、また自らの可能性を最大限に伸ばすことのできる子ども時代を過ごす権利は著しく奪われてしまうのです。 残念なことに、その加害者には、日本人ツーリストも含まれています。また、世界で流通する子どもポルノの多くは日本で製造されています。特に近年の情報通信技術の発展に伴い深刻化しているインターネット上の子どもポルノの問題もあります。インターネット上の商業的な子どもポルノの80%が日本から発信されているというインターポール(国際刑事警察機構)の報告もあるのです。

◆問題の背景
 「貧困」は、家族の生活を支えるために子どもたちが働かなくてはならない状況を生み出すという意味で、「子ども買春、子どもポルノ」問題の主要な背景とされています。ですが、だからと言って、この問題の存在を正当化することはできません。家庭の崩壊、基礎教育や職業教育の欠如、拡大する消費主義、性差別、男性の無責任な性行動など、その他に様々な要因が関わっています。子どもたちを「買春、ポルノ」の犠牲としないために、また犠牲となってしまった子どもたちを保護し、回復、社会への再統合を支援するために、私たちにできること、私たちがやるべきことはたくさんあります。
◆言葉の説明
 「子ども買春」とは、対償(お金や物など)を供与し、又はその供与を約束して、子どもに対して、(1)性交等(性交もしくは性交類似行為)をする、(2)自己の性的好奇心を満たす目的で、子どもの性器等(性器、肛門または乳首)を触る、(3)自己の性的好奇心を満たす目的で、子どもに自己の性器等を触らせることです。
 「子どもポルノ」とは、写真、ビデオテープその他の物で、(1)子どもを相手とする、または子どもによる性交等を描写したもの、(2)子どもの性器等を触る行為等で性欲を興奮させ又は刺激するものを描写したもの、(3)衣服の全部又は一部をつけない子どもの姿で、性欲を興奮させ又は刺激するものを描写したもの、のことです。インターネット上の子どもポルノも取り締まりの対象となります。
「子ども買春」「子どもポルノ」および、これらの目的のために「子どもを人身売買すること」を含め、この問題を「子どもの商業的性的搾取」と呼んでいます。
なお、この場合の「子ども」とは、18歳未満の全ての子どもが対象となります。


10.私たちにできること

インターネット上でもし子どもポルノ関連サイトを発見したら…
→「日本ガーディアンエンジェルス」が、ネット上の子どもポルノをパトロールし、警察への通報などを行っています。同団体のホームページ(http://www.angels.or.jp)に掲載されているメールアドレスinfo@angels.or.jpまでご連絡を。
問題の実態や背景を深く知ろう
→資料情報はこちら
セミナーや勉強会などのイベントに参加してみよう
→第2回世界会議開催に関連してこれから様々なイベントが開催されます。このホームページ上のお知らせ欄でもご紹介していきますので是非ご参加ください。
この問題について家族や友だちと話してみよう
→この問題は私たちには関わりのないこと、日本から遠く離れた途上国の子どもたちが犠牲になっていること、…と思いがちですが、本当にそうでしょうか?
途上国での予防や回復のためのプログラムを支援しよう
→ユニセフでは、子ども買春、子どもポルノの根絶を目指し、政府への働きかけ、現地NGOが実施している職業訓練などの予防プログラムや犠牲になってしまった子どもたちの保護・回復のプログラムへの支援、家族レベルでの子どもたちへの保護の向上を図る等の活動を行っています。ユニセフ活動へのご協力をお願いいたします。ユニセフへの協力方法はこちら

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