当協会は、「子どもの権利条約」に定める「子どもの権利」の実現を使命としており、「子どもポルノ」問題についても、同条約および議定書に基き活動をしています。
1.「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」第2条(c)によれば、「子どもポルノグラフィーとは、実際のまたはそのように装ったあからさまな性的活動に従事する子どもをいかなる手段によるかは問わず描いたあらゆる表現、または主として性的目的で子どもの性的部位を描いたあらゆる表現を意味する」と定義されています。
したがって、上記の定義に適合した表現は、媒体の種類を問わず、「子どもポルノ」と考えられますので、実在の子どもと同定できる子どもを描いたポルノグラフィックなコミックは、「子どもポルノ」に含まれます。
2.「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」第3条1.は、「各締約国は、最低限、次の行為および活動が、このような犯罪が国内でもしくは国境を越えてまたは個人的にもしくは組織的に行なわれるかを問わず、自国の刑法において全面的に対象とされることを確保する」と定め、そのような行為および活動として、同条1.(c)において、「第2条(c)で定義された子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持すること」と定めています。
したがって、当協会は、最低限、「子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持すること」については、日本国の刑法において全面的に対象とされるべきと考えます。
また、当協会は、「子どもポルノ」は社会法益を侵害するからではなく、子どもの尊厳という個人法益を侵害するが故に犯罪なのであると考えています。実在の子どもを描いたポルノが誰かに見られる毎に、その子どもの尊厳は侵害されるのですから、子どもポルノの単純所持・単純製造も子どもの尊厳・権利を侵害する行為であり、「子どもの権利」を侵害する犯罪であると考えます。
3.実在しない子ども、または子どもにみえる人物を対象としたポルノグラフィックなコミックを含む「子どもポルノ」に関連し、特に、子どもがそのような「子どもポルノ」に日常的に接し得る可能性がある日本の現状について、当協会としては、たいへん憂慮しています。
「子どもの権利条約」第17条(e)は、「第13条1および第18条2の諸条項に留意し、子どもの福祉に有害な情報および資料から子どもを保護するための適当な指針の発展を奨励すること」と定めています。
したがって、当協会としては、「子どもの福祉に有害な情報および資料」が何であるか、また、「(そのような情報から)子どもを保護するための手段」として何が適当かを、日本国内における公開された自由な議論を通じて早急に決定すべきであると考えています。
また、その際に子どもたちに自己の意見を表明する機会が与えられ、表明された意見がその年齢および成熟に従い、正当に重視されるべきであると考えます。