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国の救急搬送詳細調査、10月から東京都でスタート

 消防庁の「救急業務高度化推進検討会」の「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」(座長=有賀徹・昭和大学病院副院長)は9月4日、救急搬送の実態についての詳細調査を、東京都の一部地域を対象に、10月中旬から実施することで大筋で合意した。3月に消防庁が発表した実態調査では受け入れ困難事例の理由で「処置困難」が多く挙がっていたことなどを受け、さらに状況を細かく調査する。前回会合で、最初から全国規模で行うのは難しいとの指摘が上がっていたため、まず東京都で始めるとした。

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 調査は、地域差などを見ることも考慮し、都内の都市部と郡部などに分けて実施するとした。前回の会合で事務局は、全国規模の詳細調査を提案していたが、委員から「最初は地域を限定して調査し、その結果を見てから全国で行う方が合理的」「まずは近くの東京都でやってみては」などの意見が挙がっていた。

 調査は重症以上の傷病者も含むすべての搬送が対象。▽産科・周産期▽小児▽救命救急センター―については特に、カテゴリーにも分ける。それぞれの調査項目は、実態調査と同様で、▽搬送人員▽医療機関に受け入れ照会を行った回数ごとの件数▽現場滞在時間区分ごとの件数▽受け入れに至らなかった理由ごとの件数▽救命救急センターにおける救急搬送の受け入れ状況―で、消防機関に回答を求める。
 受け入れに至らなかった理由については、▽手術中・患者対応中▽ベッド満床▽処置困難▽専門外▽医師不在(救命救急センター搬送の調査では除く)▽初診(かかりつけ医なし)▽応答なし▽理由不明、その他―の8項目から選択する。このうち、「ベッド満床」をさらに「救急専用ベッド」「集中治療室等」「一般病床」「その他」に、「処置困難」を「設備・資器材不足」「手術スタッフ等不足」「高次医療機関での対応」「その他」に、分けるとした。

 今年3月に消防庁が発表した、2007年の救急搬送に関する実態調査結果では、三次救急で受け入れられなかった1万2322件中、最多の理由は「ベッド満床」で約4割だった。また、二次救急以下の医療機関で受け入れられなかった1万8215件中、最多の理由は「処置困難」で約4割を占めた。消防庁は「二次以下の救急医療機関で受け入れられなかった患者が三次救急の受け入れ要請につながり、三次救急がベッド満床や患者対応などを理由に受け入れられない実態がある」と分析。「ベッド満床」と「処置困難」についての詳細分析が必要としていた。

■「照会11回以上」の詳細調査?
 事務局はまた、照会回数が11回以上になったケースについて、傷病者の発生状況や背景などをさらに詳しく調べることを提案した。火災や交通、労働災害などの事故の種別についても記載し、傷病種別については東京消防庁が使用している「傷病名等コード表」を使って区分けするとした。このほか▽既往症▽「認知症」「透析」などの傷病者の医学的背景▽「高齢者」「住所不定者」「酩酊」「外国人」などの社会的背景▽「住居内」「老健施設等」などの発生場所―についても詳しく記載するとした。
 しかし、海野信也委員(北里大産科婦人科教授)が、前回の実態調査で照会回数が11回以上だった搬送が「重症以上」で0.3%、「産科・周産期」で0.2%にとどまっていたことなどに関連し、「『11回以上』とした理由は何か。多分数件しか出てこないのでは」と、疑問を投げ掛けた。有賀座長は、「すべてのケースについてできるかどうか検討してみてはどうか。もし負担が大きければ調査の日数を少なくしてもよいのでは」と提案。調査期間について事務局は一か月間と示していたが、短くすることもできるとした。これに対し、事務局は「東京消防庁と事務局などで話し合って検討していく」と答えた。

 同作業部会は詳細調査の内容について、9月19日に開かれる、救急業務高度化推進検討会に報告する。
 10月6日に開く次回作業部会では、医療機関に対する国の財政的な支援などについての検討を開始する予定だ。


更新:2008/09/04 17:50   キャリアブレイン


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