2008-08-31 入社前から大企業病の君へ。
タイトルは中谷ナントカ風にしようとして失敗。特に意味は無い。
id:elegantlycruelの人がどれだけ本気かはさておき、それなりにガクモンした人間が「働きたくないでござるー」「労働など下々の者がするものでござるー」「金儲けなど、卑しいでござるー」「ニンゲンカンケーとか自信がないでござるー」「規律など守れんでござるー」「とはいえ、働かんと生きてはいけんことはわかってるでござるー」「ジレンマでござるー」ってなるのはむしろ当然じゃないかと思う。ガクモンていわゆるメタ視点で、人間自体または人間の各種営みを研究するもんだけど、シゴトとかカイシャって人間の営みそのもので、一個レイヤー下になっちゃうからさ。私も就職前は嫌というか不安だったし、いまだにレイヤー二つくらい突き抜けて、頭の長い仙人になる白昼夢を捨てきれない。ん、まぁ、それはいいや。
今日のトピック
1.盛大に自分語り
2.大企業人から見た、企業じゃないとできないこと
オレキャリアオーバービュー
文系四大卒→IT大手(SE)→ベンチャー調査会社(社内企画)→IT大手(コンサルタント)
今、6年目。3社目で、今日で転職して丸1年になる。
そのとき楽しいことをして、お客さんを幸せにすることが幸せ。と、マネージャにも言ってある。
自分語りするよー!
浮き沈みが激しい人生のおかげで大学を卒業するのに6年かかった。大学を出る頃はまだ就職氷河期だったが、運よくIT業界最大手の2社から内定をいただき、「NTT系列とか旧態依然な企業はフリーダムなオレ様には無理www」的な消去法で、一社の内定を辞退しもう片方の会社に入社した。もう一方の会社は、役員にガン飛ばしても内定くれるような会社だから、なんかよくわからんけど大丈夫だと思った。*1資本金従600億、業員5000人くらいの大企業だったと思う。*2
4月に入社。研修は5ヶ月。社会人としての立ち居ぶるまい(名刺の渡し方とかお辞儀とか上座とか下座とか会議の進め方とか)から、ネットワークとDBの基礎、Linux、アルゴリズム、C言語、JAVAまで。その後の業務に直接関係なかったが、ここで得た知識は現在に至るまで役に立っている。新卒は250人くらいいたが、この研修にン億円かけてるそうだ。こういうことは、大企業の資金力あってこそだろう。*3
コンピュータサイエンス未経験者の中ではそれなりの成績(10位/200人 くらい)を修めた私は、配属先を選ぶ権利を手に入れた。「あーじゃあWEB系システムで、早めに仕事任せてもらえるとこでよろしくお願いします☆」で決まった配属先は変人の集まりだった。*4おかげですごく溶け込んで上手くやれた。2年間やりたい仕事だけやって、色々任せてもらって、責任の重さに笑って泣いて。やりたいことが無くなった気がしたんで退職。
で、2社目のベンチャーに移るわけだけど、入社初日に愕然としたね。机の下が狭い!*5オフィスが狭い!一人当たりのスペースが狭い!
それ以外にも色々あって、少人数で人間関係が密になる分、人間関係はドロドロするし、大企業みたいにわだかまったかたらって入れ替えさせられないからしんどい。設備も良くないし、研修もない。とにかく、ヒトに投資できない状態で、前も書いたけど、専門性の割りに給与が低い。
もちろん悪いことばかりではなくて、色々企画して役員を巻き込んでウン千万の予算をブン取ったときは、ホント快感だったし、本になるような仕事に関わることができたのも、幸せだった。あと、描いた絵がめくるめくって某大企業に商標ロゴ登録されたとか。*6事業なり社内プロジェクトを自分で企画して、動かせるのが中小規模の会社の魅力だろう。ただし、右も左も判らない新卒だと使い走りにされて消耗してしまう可能性がある。OJTばかりで体系だてた知識がつかないのは、大企業の新卒と比較すると不幸だと思うよ。
そこで1年と半分働いて、自分の成長が止まった感じがしたのと、社長と喧嘩したんで4人くらい連れて辞めた。ぷ。
3社目に入社したのが去年の9月1日。外資。IT業界に出戻るにあたって、SEではできない仕事+新規性のある仕事(+マネージャーに一目惚)ってことで今の会社に。もともと野良犬なので、育ちのいいヒトビトの考え方に気圧されるときはあるけど*7、基本個人主義なのでやっぱりキラク。裁量労働制なので、仕事が無い日は4時に帰ってもOKだ。
大企業だと仕事を選べないというのは間違いで、私は相変わらず仕事を選ぶ。だって一日の殆どを仕事に費やしてる以上、退屈な仕事で時間潰すのはもったいないよー。*8
フリーになるということ
仕事する以上、人間関係は発生する。会社が仕事回してくれるわけじゃないから営業も自分でしないといけない。アイドリングタイムは自分で吸収しないといけない。何かあったとき、会社がケツ持ってくれないから、責任は全部自分に回ってくる。明日の保障はない。
そこそこリスクのある中、腕に覚えがあってフリーになった人たちは「やっぱ金じゃね?」と言って去っていった。っていうかそれしか理由ないと思う。会社員の月単価は大体150-200万だけど、給料は40万-60万。フリーになれば、同じ仕事を月70万で請け負って、さっさと終わらせれば余剰時間に次の仕事詰め込んで(゚д゚)ウマーということも可能だし、同じ余剰時間で田舎でのんびりすることも可能だろう。あ、もちろんあんまりぼやぼやとしてると、明日の仕事がなくなるけど。
それでも企業じゃないとできないこと
1)新しいこと
新規性のある仕事は、企業でないとできない。
失敗する可能性の高い新規性のある仕事は、リスクヘッジできない個人には振れない。
2)できないことへの挑戦
企業に入れば、伸び代があればできない仕事を振ってもらえる。
少し高めの負荷を与えられて、企業人は自分を伸ばすことができる。
また、負荷が高すぎて失敗しそうになった部下を上司はサポートする義務がある。
フリーになった人たちも言う。
「でも、ちょっと退屈なんだよね。できる仕事しか回ってこないし」
あとさー
家族がいない中で、会社っていう帰るとこがあるって、やっぱいいよ。うん。
眠くなってきたので、会社の写真貼ってお茶濁し気味に終わる。んじゃ。
追記(09/01)
ネタ元の引用忘れてた、ので。
京大生没落エリートがこの先生きのこるためには、という話。 - elegantly cruel. @ d.hatena
京大生没落エリートがはたらいたこともないくせに会社勤めとフリーランスを考えてみたで、という話。 - elegantly cruel. @ d.hatena
フリーを夢見るすべての若者たちは読め。あるいは、若者たちはもっとおっさんたちの話を(よく選んで)聞くべき。 - elegantly cruel. @ d.hatena
*1:その後、仕事でNTTの各社に絡むことは何度もあったが、今でもあの選択は間違ってなかったと思うよ…。NTT系列は悪い会社じゃないが、縛りが多すぎる。
*2:今どうなってるかは知らない。
*3:ちなみに研修の修了段階で「やっぱ違う」「公務員試験あるから」と3人くらい辞めた。新卒に研修するのもリスク高いわぁ…。
*4:会社休んだら、机の引き出しにコガネムシのフィギュアが20個くらい入ってたりとか、そういうイタズラ大好きな人人。一応女なんですけど。
*5:足が長いので、机の下が狭いとしんどいのです。
*6:あ、ロゴの話は単なる自慢ね。
*7:週末はホームパーティとか、記念日にワイン送られてくるとかどういう嫌がらせだよ。
*8:会社で好きな仕事しかしない方法についてはこっちに書いた。→http://elastica.jugem.jp/?eid=185
> 新規性のある仕事は、企業でないとできない。
>「でも、ちょっと退屈なんだよね。できる仕事しか回ってこないし」
これもフリーの弊害か。なるほどなあ。やっぱり大企業→中小企業→フリー・ベンチャー、というルートは鉄板だということですね。
> 大企業だと仕事を選べないというのは間違いで、私は相変わらず仕事を選ぶ。
これ、目から鱗!しかもちょうかっこいい!id:companeetさんも書いてたけど、こうゆう要領の良さを身につけたい。組織で生きやすくなる知恵というか。思えばポジティヴな大企業観って、あんまり聞いたことなかったかも(いまどき大企業ってボロクソ言われるし)。
なるほどなあ。外資についてもよく知らないので、よければいまの会社がどうたらこうたら語っていただけるとうれしいです!
ほんとうれしい。
就職説明会とかで語ってくれる人は一杯いるんだけど明らかに若手の中でもサラブレッドっぽい人が熱く語るので面喰うよねー。もっとダメ社員のいいトコ語るべきだよねー。と思ったので書きました。
うむ。中小挟む必要は無いけど可能ならコレがいいと思います。大企業出身てそれなりに看板になるしコネもできるから。
>ポジティブな大企業観
一つの大企業にずっといると、周りが見えなくなるから「隣の芝生は青い」状態に陥っちゃうのかも。私は会社に寄りかかる気はないし、「だる…」って思った瞬間に何か始めるか会社辞めちゃうので、ネガティブなことを吹聴してる余裕があんまないのですわー。
外資の話はまたおいおい。コメントありがとうございました。