静岡大人文学部考古学研究室は3日、静岡市駿河区手越の佐渡山にある手越向山遺跡で、弥生時代中期後半以前の畑とみられる遺構が見つかったと発表した。畑の遺構としては東日本最古級で、東日本では古代人が本格的な稲作を始める前に畑を耕して生活していたことを裏付ける資料として注目される。
稲作中心の文化は、東日本では弥生中期中ごろから本格的に広まったとされている。丘陵地の遺跡から畑作に使ったとみられる弥生中期前半の石斧(せきふ)(石のくわ)が見つかることが珍しくなく、稲作移行前に小規模な畑作をした時期があると想定されていた。
静岡大研究室は、佐渡山でも弥生中期初頭の石斧が発掘されたため調査。弥生中期後半(約2000年前)の方形周溝墓の下に、掘り返したような跡がある土壌を発見し、畑を耕した跡と判断した。
畑跡は縦3~4メートル、横10メートル。篠原和大准教授は「中期初頭の約2300年前の畑の可能性もある」とみている。
全国的には、三重県松阪市の筋違遺跡の畑跡が弥生前期中ごろで日本最古級とされている。東日本では、静岡県沼津市の植出遺跡など、弥生後期後半(約1800年前)のものまでしか見つかっていなかった。
石川日出志・明治大文学部教授(考古学)は「東日本では稲作前に畑作が一定の役割を果たしていたという想定をこれから議論できるようになる」と評価している。【望月和美】
毎日新聞 2008年9月4日 東京朝刊