警察庁は、道路交通法施行令でシートベルトの着用義務を免除している妊婦に対して、警察官が着用を指導するよう運用を見直す方針を固めた。自動車の安全運転のマナーを定める交通教則の該当部分も近く改正する。産婦人科医などから「着用しないと事故時に妊婦も胎児も危険が高まる」と指摘があり、見直しを検討していた。指導はするが、取り締まりは行わない方針。
警察庁によると、道交法施行令は妊婦のほか、肥満やけがなど健康保持上の理由がある場合はシートベルトの着用義務を免除している。
妊婦の安全とシートベルトの関係を研究している独協医大の一杉正仁准教授(法医学)は「妊婦がシートベルトを着用していないと、時速十数キロ程度で起きた軽微な事故でも、おなかにハンドルがあたり胎児に影響を与える事故につながる危険がある」と指摘。一杉准教授の調査では、シートベルトの着用で、おなかへの衝撃を未着用時の3分の1に軽減できることも判明した。
毎日新聞 2008年9月4日 2時30分(最終更新 9月4日 8時24分)