「最近の若いやつは…」。年配者のこういう嘆き節は、古くから繰り返されてきた。
五十代前半になったわが世代の過去を振り返ると、「まとまりが悪い」だの「個人主義的」だのと目上の人から指摘された。近ごろは愚痴をこぼす側の年齢になり、同世代の間でよく嘆き合う。
おおむね一致する内容は「最近の若いやつは、他人のせいにばかりする」というものだ。自らの力不足や不手際は棚に上げて「上司や先輩が分かってくれない」と不満を募らす態度に首をかしげることが多い。
問題の原因を周囲に押しつけるような風潮は、最近の若者だけではないようだ。突然、退陣を表明した福田康夫首相は「民主党が重要案件の対応に応じず、審議引き延ばしや審議拒否を行った」と退陣の理由の一つに民主党の抵抗を口にした。
録画テープを再生しているようだった。一年ほど前に突如、身を引いた安倍晋三前首相は、退陣決断の理由に小沢一郎民主党代表が党首会談に応じてくれないことを挙げた。衆参の「ねじれ現象」の中で国会運営に苦労するのは理解できるが、一国のトップが当て付けがましい泣き言を相次いで言うとは驚いた。
「責任転嫁の逃げ口上」としか思えない。「最近の首相も、他人のせいにばかりする」と嘆きたくなる現実が情けない。