チャンゴのひとりごと

一言メッセージ :ご訪問ありがとうございます。普段の生活で起こったことや感じたことの記録です。

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退職勧告 -あとがき-

ある日突然、会社から退職勧告を受けることになったことをきっかけに始まった激動の日々。漠然と会社に不満を抱き機会があれば転職したいと考えていたとはいえ、いざ解雇となると気持ちは全然違ってくる。しかも当人だけでなく、あるいは当人以上に、周囲の人が真剣に会社の危機を訴え行動を起こす。
平凡な日常を送っていた自分にとって、思いがけないことの連続だったこの2か月間の、その時々での状況や心境の変化の記録を書き連ねてみた。
想定する読者は将来の自分のつもりだったが、意外にも定期的に訪問してくれている人がいたおかげで、途中で投げ出すことなく完結させることができた。
その意味で、訪問していただいた方々には大感謝ですね。

ちなみに退職勧告を拒否した中田も、この後すぐ自力で転職先を見つけて退職。他にこの騒ぎに嫌気がさして会社を去った人間も。
新しいメンバー中心のチームの中で、自分だけがいまだにこの会社で古株の一人として働いている。今となっては、解雇の一歩手前まで追い込まれたことは遠い昔のことのよう。常に転職を頭の片隅に置きつつも、最近は嫌な思いをすることも少なく業務に没頭できているのがせめてもの救いかな。

この記録がひと区切りついたので、今後は仕事や日常生活の中での出来ごとを日記代わりに書き留めていこうかと。
ご縁があればこれからもご訪問よろしくです。

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退職勧告 -41-

全社に大きな衝撃を与えた3名への退職勧告から数週間が過ぎた。年末年始の休暇もまもなくである。

北野は勧告を受けたその日のうちに勧告に従う意思を表明し、会社に姿を見せることも少なくなっていた。
小笠原はしばらく迷った末に退職を決断した。ただし要領の良い小笠原のことである。簡単には認めず、人事部長の江藤の助けも得て落合社長との駆け引きした末、数か月分の退職手当の上積みに成功した。
中田は最初から一貫して拒否の姿勢を崩さず、結果的に居残ることになった。しかしその一方で転職活動には熱を入れていた。
そのように三者の対応が別れる中、落合社長の方は管理職向けに、仮に勧告に従わない者がいても当社では嫌がらせや配置転換などを行なうつもりはないからそのつもりで対応してほしい旨のメールを発信していた。一見、物分かりの良さそうな対応に見えるが、内実は問題をこれ以上大きくすることが怖いだけなのだろう。どこまでも自分の保身を最優先に考えているようにしか思えなかった。

そして自分だけが周りの心配をしつつも年末ぎりぎりまで仕事に追われ、業務に没頭していた。年が明ければもう川上課長も小笠原もいない。逆に落合社長と旧知の仲という営業部長が赴任する。不安をあげればきりがないが、誰に気を使う必要もない。やれるところまでやって後は野となれ山となれである。
そう思いながらこの退職勧告を過去のものとして葬り去ることにした。

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退職勧告 -40-

会社近くのタイレストランに全員が揃い、あらためて小笠原と中田から詳しい話を聞いた。2人とも面談前の緊張した面持ちとはうって変わり、お互いの話し合いの内容を競うように、テンション高く話していた。
この2人にこんな強さがあったとは。自分としては、圧倒されるばかりだった。

また彼らのちょっとした問いにも答えに窮していたという落合社長の様子も聞いた。何しろ2人あわせて3時間半である。落合がこの勧告を非常に簡単に考えていたことは知っていたから、長時間の話し合いの末に当事者から予想外の反抗にあったことで疲労困憊していることも容易に想像できた。それはそれでいい気味である。

事前に情報伝達したことが明るみに出てしまうことを心配していたが、そんな心配をしていたこと自体を恥ずかしいと思わせるほど、立派にやり遂げたようだ。2人とも会心の思いだったのか、自画自賛していた。
高い緊張感の中で過ごした数日が終わり、久しぶりに楽しい思いで酒を飲めた夜だった。
もちろん彼ら2人はこれからが勝負である。明日以降どんな結論を出しどういう方法を取ろうとも、自分にできることはサポートしてあげよう、自分のことはその後だ、と心に誓った。

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退職勧告 -39-

中田もまた一時間半を費やした後で戻ってきた。それだけ抵抗していたということであろう。今回も川田に見せつけるようにして中田を外へ連れ出した。

中田も小笠原と同様に録音していたが、それ以上に過激な行動に出ていた。退職勧告の書類を突き返し、自分から辞める気は毛頭ないと言い切ったそうだ。
2日前に勧告のことを初めて話した時はたしかに2人とも動揺し、その姿に心配もしたが、今日の話を聞く限りまったくの杞憂だったようだ。
むしろ落合社長を前に自分なんかよりもはっきりと、自分たちだけが悪いわけではないと言い切れるその強さには本当に頭の下がる思いがした。

安子と小笠原が待っているからと中田を連れてオフィスに戻ると、このわずか10分の間に落合も川田取締役も帰宅していた。おそらくどこかに飲みにでも行ったのだろう。
人事部長の江藤だけがまだ残っていたので、疲れをねぎらう言葉をかけに行くと、中田も後から付いてきて、さっき付き返したばかりの書類をちゃっかり受け取りコピーを取った。弁護士に見せるためらしい。
その後、まだ仕事があるという江藤を残し、中田とともにタイレストランへ行き、先に入っていた安子や小笠原と合流した。

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退職勧告 -38-

ようやく小笠原が出てきたときには2時間が経過していた。
このころまでには多くの社員が帰宅し、オフィスもだいぶ静かになっていた。しかし川田取締役だけは落合社長を待っているのだろう。暇そうに新聞をパラパラめくりながらも帰る様子はまったく見られなかった。
入れ替わりに中田が会議室へ入っていくのを見届けると、川田に見せつけるようにして小笠原を外へ連れ出した。

小笠原はボイスレコーダまで用意して面談の一部始終を録音していた。落合の話を一方的に聞くのではなく、ずいぶん反論もしたようである。結果的に長時間の話し合いを経ても結論は出ず、またあらためて話し合うことになったそうだ。
小笠原自身も辞めるべきか居座るべきかを決めかねているようだが、これから弁護士に会うことを強調するなど、落合に対して大きなプレッシャーはかけてきたらしい。

小笠原が帰り支度をして安子の待つ近くのタイレストランへ行ってしまうと、また一人で席に座りイライラしながら中田を待つことになった。中田もまた粘っているらしく、なかなか出てこない。
話し相手もいないが仕事をする気にもなれない。しかも川田は相変わらず時間を持て余している様子で新聞を読みあさっている。その新聞をめくる音が自分の神経を逆撫でした。

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