9月末の民主党役員人事で、財政規律を重視する岡田克也副代表を政調会長に起用する案が浮上してきた。積極財政で地方を支援するよう唱えてきた民主党内では、財政規律を重んじる路線への転換の機運が高まりつつあり、岡田氏起用で与党に対して「バラマキ批判」を展開する狙いがありそうだ。
小沢代表は9月8日告示の党代表選で無投票3選が確実になっており、同21日の臨時党大会で正式に選出されたあと、役員人事を行う意向だ。次期衆院選マニフェスト(政権公約)づくりで焦点となる政調会長ポストについて複数の党幹部は、代表選立候補を見送った岡田氏が有力候補となっていることを認めた。
民主党は昨年の参院選公約に子ども手当の創設や農業者の戸別所得補償など15.3兆円が必要な政策を盛り込み、与党から「バラマキ」と批判された。「小沢流の政策は財政規律を重んじる民主党の伝統に反する」との見方は党内にもあり、与党に「バラマキ批判」を浴びせにくい事情がある。
一方、岡田氏は11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標の維持を主張するなど財政再建が持論だ。「(次期衆院選公約では民主党が掲げる)政策の優先順位をつけるべきだ」と主張しており、参院選公約との整合性をとりながら、財源問題を克服するのに適任と見られている。党幹部は「都市部のインテリ層は財政規律に敏感。民主党がバラマキ批判を始めるときだ。岡田氏は『選挙の顔』として政調会長にもってこいだ」と期待する。
民主党は定額減税を盛り込んだ政府・与党の総合経済対策に対しても批判を強めており、鳩山由紀夫幹事長は29日の記者会見で「選挙対策だ。国民の歓心を買うために打ち出してきた」と指摘。党税制調査会の藤井裕久会長も「選挙向けの『格好つけ』だ。赤字国債の発行や『埋蔵金』の取り崩しは断固反対する」と語った。