緑土が塗られていた盾の破片。まだら状に黒ずんで見える
鳥取県埋蔵文化財センターは3日、鳥取市青谷町青谷の青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡から出土した弥生時代後期(1〜3世紀)の木製の盾に鉱物の緑土が塗られていたことが分かったと発表した。緑土は砕いてニカワなどと混ぜると緑色を発色する。北朝鮮・南浦にある徳興里(とっこうり)古墳の壁画(408年)が緑色の顔料の使用例としては東アジアで最も古いとされてきたが、今回の盾はこれを100〜300年さかのぼる。
顔料が検出されたのは、遺跡の溝から98年度に掘り出された盾の破片2点。成瀬正和・宮内庁正倉院事務所保存課長がエックス線で分析した。盾は祭事の道具や武器として使われていたとみられる。同センターでは「色を塗る行為は縄文時代に確認されているが、弥生時代はベンガラや炭を使う『赤と黒の時代』とされてきた。緑色の使用が分かったことは顔料史上、画期的な発見だ」としている。
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〈水野正好・奈良大名誉教授(考古学)の話〉 色を塗る行為には装飾や魔よけの意味がある。使う色が多くなるということは色彩感覚の豊かさや文化の高さの表れといえる。弥生時代に高い発色技術があった可能性を示す発見だ。